無法者がひしめく「世界滅亡後」が舞台！　「YouTube再生3億回超え」のアニメ作品を作ったチームの新作が4月に配信スタート

　2023年のパイロット版の発表以来、YouTubeでは再生回数3億以上の人気作となった『アメイジング・デジタル・サーカス』。そんな人気作を手がけたグリッチ・プロダクションズが新たなアニメーション作品のパイロット版のリリースを発表をしました。その名も『ガスライトディストリクト（The Gaslight District）』。

　本作は今年4月18日の配信予定を前に予告映像が発表されました。パッと見では鮮やかな『アメイジング・デジタル・サーカス』に比べるとよりダークな雰囲気のある映像となっていますが果たしてどんな作品なのでしょうか。

◆アンデットキャラクターによるポストアポカリプスムービー！

　新シリーズとなる『ガスライトディストリクト』も『アメイジング・デジタル・サーカス』に続いてダークコメディに類する作品となるようです。

　公式からは“ゴシッククライム”と称されている通り、主人公たちはアンデッドのギャングたち。犯罪者やギャングたちがひしめく世界滅亡後を舞台に、残された世界の支配権を巡って戦う様子が描かれるアクション要素も盛り込まれた作品です。

　主人公はギャングチーム「スマイリング・デッド」のリーダーの娘であるメランコリー・ヒル。メランコリー・ヒルといえば、アニメーションバンドであるGorillaz（ゴリラズ）のサードアルバム『Plastic Beach』に収録された曲に「On Melancholy Hill」がありますが、そこから引用されているのかもしれません。

　彼女の他、異形のギャングメンバーたちが活躍する予定です。

◆原作者は『ヘルヴァ・ボス』参加のクリエイター！　カナダ生まれの作品

　『ガスライトディストリクト』はもともと“Part Time Seagull”名義でも知られるカナダのクリエイターであるニック・ソプコさんが制作したものを、グリッチ・プロダクションズがフル3DCGアニメーション化するという企画です。

　ニックさんのSNSアカウントなどでは2年以上も前からコンセプトアートや、ティーザームービーが発表されていたこともあり、配信前の現時点でもすでにファンアートが多数描かれている状況です。

　ニックさんの活躍としては自身でアニメーション制作活動をしている他、『ハズビン・ホテルへようこそ』と世界観を同じとするアニメーションシリーズ『ヘルヴァボス』にて3DCGアニメーターとしても参加していました。同じダークファンタジー作品という点でも『ヘルヴァボス』や『ハズビン・ホテルへようこそ』の作風が好みな人のツボにはハマりそうな予感はします。

◆『ガスライトディストリクト』はグリッジ・プロダクションの新たな起爆剤となるか？

　ジャンルとしてはインディーズアニメーションに類するとはいえ、もはや『アメイジング・デジタル・サーカス』のヒットはグリッチ・プロダクションズをそれ以上の存在に押し上げたことは、周知の通りです。

　『アメイジング・デジタル・サーカス』はYouTube配信での大ヒットから、かなりのスピード感で日本語吹替版の制作やグッズ化、ポップアップショップの開催などのローカライズが進められ、昨年末には『週刊コロコロコミック』と『月刊コロコロイチバン！』での漫画の連載が始まるなど、その広がり方は凄まじいです。作品の発表が2023年10月と考えると異様な早さでメディアミックス化を進めていますが、このスピード感が実現できるのは大手とは異なる独立系のアニメーションスタジオならではです。

　今回の『ガスライトディストリクト』はそんな『アメイジング・デジタル・サーカス』の国際的なヒットの後に続く直後の新企画であり、ヒットの最中に裏で実は作られていたという作品でもあるという点でも注目度が高いです。

　タイミングとしては一つのヒット作に注力してもいいとも言える中で、しっかり新プロジェクトを進めている点でも手堅いですし、複数のプロジェクトを並行して進められるというプロダクション自体のポテンシャルの大きさもこの新規タイトル投入からもよく分かります。

　あとはこの新規シリーズが成功できるかどうか。インディーズアニメーションの今一番の有力会社の大きな動きとしても注目です。

〈文/ネジムラ89〉