漫画やアニメで描かれたフィクションが、現実世界で起きるできごとを予言したかのような結果になることがあります。ときに「ただの偶然」では片づけられないほど、未来のできごとが詳細に描かれていた作品が存在します。
◆『AKIRA』 偶然とは思えない「2020年 東京オリンピック」にまつわる多くの一致……
崩壊した東京が、「ネオ東京」へと生まれ変わる未来を描いた『AKIRA』には、「2020年 東京オリンピック」に関する詳細な予言が含まれていました。
復興を目指すネオ東京で、2020年にオリンピックが開催されるという描写は、現実世界の「2020年 東京オリンピック」を予見しているかのようです。連載は1982年から1990年だったため、約30年も先の未来を予見していたことになります。
多くの候補国の中から東京が選ばれ、2020年という開催年が一致するのは、ただの偶然で片づけるには少々違和感があるほどです。
また、作中に登場した「開催まであと413日」と書かれた看板の横にある「中止だ中止」との落書きは、コロナ禍での東京オリンピック開催に反対する声があったことと重なります。
ちなみに現実世界では、「東京オリンピック」開催予定日だった2020年7月24日の413日前、2019年6月7日は「裏金問題」が話題になった時期です。アニメ映画版の同シーンでは、看板の文字は「開催迄あと147日」ですが、現実世界の147日前である2020年2月28日は、WHOが新型コロナウイルス感染症の危険度を最高レベルの「非常に高い」に引き上げた日でした。
原作者・大友克洋先生は、紫綬褒章を受章した際、これらの類似点について「全然知らなかったです」「偶然ですから気にしないでください」と語っていますが、その真相は謎に包まれています。
◆『ジョジョの奇妙な冒険』で「9.11」を暗示!?
『ジョジョの奇妙な冒険』の「Part3 スターダストクルセイダース」では、2001年にアメリカで起きた「同時多発テロ」を予言するような描写があります。
承太郎たちをねらうスタンド使い「オインゴ・ボインゴ兄弟」の弟・ボインゴは、持ち歩いている漫画を通して未来を予知する「トト神」というスタンドの持ち主です。
ボインゴの漫画には、「911」と書かれた服を着た男が電柱に首が突き刺さって命を落とすというシーンが描かれました。男の「おっ10時半だ!」というセリフは、世界貿易センタービルの北棟が崩壊した午前10時28分とほぼ同じです。
また、男が電柱に首が突き刺さっているシーンの背景には、笑っている飛行機のイラストとイスラムのシンボルである三日月が描かれていました。
「同時多発テロ」の発生日、発生時刻、犯人の人種・思想、犯行手段のすべてが偶然とは思えないレベルで一致しています。
未来を予知ができる、ボインゴのスタンド「トト神」が現実世界で発動したのか、それとも『ジョジョの奇妙な冒険』自体に未来を予知する能力があったのか……。真相は闇の中です。
◆『ブラック・ジャック』の作中で「あの大地震」を予知していた?
手塚治虫先生の代表作『ブラック・ジャック』には、2008年に東北地方を襲った「岩手・宮城内陸地震」を予見していたかのような描写があります。
1978年の『週刊少年チャンピオン』に掲載された「もらい水」というエピソードでは、物語の後半で地震が発生し、「6月14日午前8時ごろ、東北一帯にマグニチュード7.5の地震発生」と説明があります。
これは、実際に岩手・宮城内陸地震が発生した6月14日、地震の発生時刻午前8時43分とほぼ一致しています。また、地震のエネルギーや規模を表すマグニチュードも、実際の7.2とかなり近い数値でした。
連載直前の「1978年宮城県沖地震」が影響したという説もありますが、真相は不明。
しかし、偶然とは思えない一致に多くの読者が気づき、岩手・宮城内陸地震の発生から数日後、『ブラック・ジャック』は注目を集めることとなりました。
◆『私が見た未来』 もはや預言書! 残された予言は現実になるのか?
「未来予知」というワードから連想される漫画の中で、もっとも有名な作品の一つが『私が見た未来』でしょう。現実世界で2011年3月11日に日本列島を襲った「東日本大震災(3.11)」を予見していたとして大きな話題を呼びました。
漫画の表紙に描かれた6枚の「夢日記・夢の記録」の中の1枚に、「大災害は2011年3月」と不気味な文字が記されています。
原作者・たつき諒先生は、「“2011年3月”という年号は、『私が見た未来』の単行本の〆切の日に見た“夢”でした」と復刻版『私が見た未来 完全版』(出版社:飛鳥新社、2021年出版)の中で明かしており、「とても重要な日付だと思い、急遽、年月だけを付け加えたのです」と語っています。
同書には、ほかにも原作者が見た「ダイアナ妃の死」や「富士山大噴火」に関連する「夢」の内容と、2025年7月に「日本列島の南の位置する太平洋の水が盛り上がる」という不吉な予言も掲載されています。
また、このときに発生する津波の規模は「東日本大震災の3倍はあろうかという巨大な波」とも語られており、現実にならないことを祈るばかりです……。
──フィクションが現実となる不思議な現象。それは「未来予知」なのか、「単なる偶然」なのかは誰にも証明できません。もしかすると、漫画作品の持つ不思議な力が、読者だけに伝わる形で「警告」をしてくれているのかもしれません。
〈文/lite4s〉
《lite4s》
Webライター。『まいじつ』でエンタメ記事、『Selectra(セレクトラ)』にてサスペンス映画、韓国映画などの紹介記事の執筆経験を経て、現在は1980~90年代の少年漫画黄金期のタイトルを中心に、名作からニッチ作品まで深く考察するライター業に専念。 ホラー、サスペンス映画鑑賞が趣味であり、感動ものよりバッドエンド作品を好む。ブロガー、個人投資家としても活動中。
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