現実の世界で本名を隠すと、やましいことがあるのではないかと疑われてしまいますが、実は有名なアニメ・漫画のキャラの中にも、一般的に知られている名前が実は本名ではなかったというケースも多く存在します。

◆ねずみ男の意外な本名──名前に込められた驚愕の意味合いとは?

 『ゲゲゲの鬼太郎』のねずみ男は鬼太郎や目玉おやじ、その他の妖怪たちから「ねずみ男」と呼ばれており、本人も自己紹介をするときには「ねずみ男」と名乗っていますが、実は「ねずみ男」という名前は本名ではありません。

 『ゲゲゲの鬼太郎 鬼太郎地獄編』では、ねずみ男の故郷を訪れる話があり、そこで彼は仲間たちから「ペケペケ」と呼ばれていました。

 なぜ「ペケペケ」なのかというと、「ねずみ男」というのは種族名のため、故郷の島に住んでいる仲間は全員「ねずみ男」なのです。

 この「ペケペケ」は、原作者・水木しげる先生が出兵していたニューブリテン島に住むトライ族の言葉で「大便」を意味するといわれています。

 言葉にするとかわいらしい印象を受ける「ペケペケ」ですが、意味を知ってしまうと、やっぱり彼は「ねずみ男」と呼ばれるほうが似合うのではないでしょうか……。

◆土井先生が本名を名乗れなかった理由とは?──その時、恩師の山田先生が言ったヒトコト

 TVアニメ『忍たま乱太郎』の土井半助(以下、土井先生)はもともと教師を志していたわけではなく、2011年出版のコミックス第50巻で、子供時代に襲撃されたことがきっかけで家や家族を失ったことが明かされました。

 その後、忍務に失敗したところをピクニック中の山田伝蔵(以下、山田先生)一家に助けてもらいましたが、当初は抜け忍ということもあり、本名である下の名前を名乗れませんでした。

 そのため忍術学園では「若い人」と呼ばれていた土井先生でしたが、そんな彼を見た山田先生が、まだ教師として半人前だからとの理由で「半助」と名付けたのです。

 元気いっぱいの子供たちと接するうちに土井先生も元気を取り戻したのか、今では日々明るく過ごせるようになり、境遇の似ている教え子の摂津のきり丸のことは特に気にかけています。

◆ミスター・サタンは作者が最も好きなキャラ?──本名は「あの言葉」をもじって……

 『ドラゴンボール』のミスター・サタンは、鳥山明先生が、20093月出版の『DRAGON BALL 超エキサイティングガイド ストーリー編』(出版社:集英社)で、「個人的に最も好きなキャラクター」だと語るほど、お気に入りのキャラクターだったようです。

 格闘技の世界チャンピオンでもあるミスター・サタンは本名ではなく、実はリングネームとのこと。

 彼の本名は「マーク」であり、鳥山先生は名前の由来について「サタン」を日本語訳にした「悪魔」をもじったものであると明かしています。

 名前は悪魔でも実際のミスター・サタンはかなりお調子者の性格で、常に力自慢を欠かさず、妻を亡くしたあとも女遊びがやめられず、娘のビーデルにあきれられることも……。

 ちなみにビーデルは「悪魔」の英語訳である「デビル」をもじった名前であり、のちにビーデルは孫悟飯と結婚したため孫一族とミスター・サタンは親戚となりました。

◆「ヒイロ・ユイ」の名前の由来はあの名著?──過酷な運命を背負った少年に与えられたコードネームは……

 『新機動戦記ガンダムW』の主人公であるヒイロ・ユイは、幼いころに本名も身元も一切不明の状態で拾われました。

 ヒイロ・ユイとはコードネームですが、これはかつてコロニーの自治独立を提唱し、志半ばで息絶えた同名の指導者から取られたものです。

 ヒイロ・ユイの名前の由来は199510月出版の『新機動戦記ガンダムW 設定記録集 PART-I』(出版社:ムービック)に掲載されている「インタビュー/隅沢克之」にて、コナン・ドイルの『緋色の研究』から取り、「ユイ」は『機動戦士ガンダム』の主人公であるアムロ・レイと同じく韻を踏んだとされています。

 20078月出版の竹書房、パーフェクト・アーカイブ・シリーズ第10弾『新機動戦記ガンダムW』(出版社:竹書房)によると、「ユイ」は「唯一」の「唯」から名付けたと明かされました。

 ヒイロ・ユイの本名は明かされていませんが、あえて公式から本名を公表しないことで、彼の謎めいたキャラクター性がより一層、引き立つのかもしれません。

 

 ──一般的に広く知られた「ねずみ男」や「土井半助」などの名前ですが、実は原作者がしっかりと理由を考えたうえで本名とは違う名前が存在します。

 「ヒイロ・ユイ」のように最初から最後まで本名を明かさないケースもありますが、「ミスター・サタン」のように本名があっても、ファンの間ではニックネームのほうが浸透する場合もあるようです。

 もしかしたら、「実はあのキャラの名前は偽名だった!?」というケースも今後あり得るのかもしれません。

〈文/花束ひよこ〉

 

※サムネイル画像:Amazonより

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