漫画家として活動している人たちの中には、兄弟姉妹そろってデビューしている人もいます。
特に『HUNTER×HUNTER』の原作者・冨樫義博先生と、弟の冨樫先生(本名:冨樫秀昭)や、『タッチ』の原作者・あだち充先生と、兄のあだち勉先生は有名だといえるでしょう。
中には、双子で漫画家デビューした作家もおり、国民的ヒット作を生み出したあとに兄弟で対談した人もいます。
◆『NARUTO -ナルト-』作者の弟もヒットメーカー──岸本斉史先生と岸本聖史先生
『NARUTO -ナルト-』の作者・岸本斉史先生は同作での功績が認められ、2015年に「芸術選奨文部科学大臣新人賞」を受賞しています。
そんな斉史先生には双子の弟・岸本聖史先生がおり、聖史先生は『月刊少年ガンガン』で『666~サタン~』などを連載していました。
連載当初、『666~サタン~』の読者からは『NARUTO』と作風や設定が似ているのではないかとファンレターなどで指摘されることが多かったらしく、聖史先生はコミックス第1巻のおまけページで斉史先生と双子であることを明かし、「ガキのころから受けていた影響が同じだから似ているかもしれません」と言及しています。
さまざまな誤解はあったかもしれませんが、『666~サタン~』は全19巻まで出版された人気作となり、聖史先生の努力や実力あってこそ、ファンを増やしたといえます。
2015年には斉史先生と聖史先生の対談がスクウェア・エニックスのWEBマンガサイト『ガンガンONLINE』に公開され、兄弟の絆や漫画に対する熱意が語られ、胸を熱くしたファンも多かったようです。
◆本当の双子なのに読者から疑われる?──ミキマキ先生
少女漫画雑誌『りぼん』でデビューしたミキマキ先生は、「双子の漫画家」として同誌で宣伝され、作者の自画像も2人分描いています。
執筆は主に姉の美樹先生が原案を、妹の麻樹先生が作画を担当していると公表しているにもかかわらず、なぜか一部の読者には信じてもらえなかったのだとか。
ミキマキ先生の初の連載作品『サザンクロス』のおまけページによると、ファンレターには「どうやって漫画を描いているんですか」という質問が多く寄せられたようです。
さらに『PARA★ダイス』第2巻では「どうして本当は双子じゃないのに双子って嘘をついているんですか?」という驚きのファンレターが届いたことも明かし、プロになってから時間が経っていたものの、ミキマキ先生は再度双子であると自己紹介をしたのでした。
デビューからしばらくの間は少女漫画を中心に執筆していたミキマキ先生ですが、徐々に活動の幅を広げ、ラブコメディーやボーイズラブも執筆し、ファン層を広げています。
現在、ミキマキ先生のX(旧Twitter)のフォロワー数は約11万人、YouTubeチャンネルの登録者数は7万人を超えており、頻繁に情報発信も行っています。
◆師匠から双子で『のらくろ』の執筆権を譲り受ける──山根青鬼先生と山根赤鬼先生
山根青鬼先生(兄)と山根赤鬼先生(弟)は、昭和初期に人気を博した『のらくろ』の作者・田河水泡先生に弟子入りし、ペンネームを名付けてもらった経緯があります。
田河先生はのちに『のらくろ』の執筆権を青鬼先生と赤鬼先生に譲っています。
田河先生亡きあとも青鬼先生と赤鬼先生は交代で『のらくろ』を描き続け、コミックスもさまざまな出版社から発売されました。
兄の青鬼先生は2010年にこれまでの功績が評価され、「第39回日本漫画家協会賞特別賞」を授与されています。
また、代表作でもある『名たんていカゲマン』(出版社:小学館)は、2001年、『探偵少年カゲマン』(NHK教育テレビ)のタイトルでTVアニメ化を果たしています。
弟の赤鬼先生も1988年に『まんが5・7・5』(出版社:ポプラ社)で、「日本漫画家協会賞優秀賞」を受賞しています。
〈文/花束ひよこ〉
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