夏アニメの放送が続々とスタートし、新シーズンを迎えたアニメーションも多い中、早々に前シーズンと比べられてしまうのが“主題歌映像”。本編に比べて短く、楽曲や映像などすぐに比較できてしまう分、そのギャップに驚きの声やショックの声などがあがる例が起きています。

◆『ウィッチウォッチ』のOPはクセが強すぎる「ダンス映像」へリニューアル!

 新シーズンに入り、あまりにも主題歌の方向性が変わって驚きの声が上がっているのがTVアニメ『ウィッチウォッチ』です。連続2クールでの放送ではあるものの、2クール目に入り、オープニングテーマははしメロさんの「ときはなて!」へと変わりました。

 そんな新オープニング映像ではキャラクターたちが主題歌に合わせて、印象的なダンスを踊る映像へと変わっています。キャラクターたちが黙々とダンスを踊る様子がシュールで、主題歌も相まってそのクセの強さから、一度見たら頭から離れない内容に仕上がっています。

 忘れられない映像という意味では成功しているとは思う一方、YouTubeやSNSでは第1クールのYOASOBIの「Watch me」と比較するコメントが多くあがっているのも見逃せない現象です。

 第1クールの映像を高く評価する声が多数上がっていたり、1クールだけで主題歌を変えてしまったことを残念がったり、もったいないという声が多数投稿される事態となっています。

 第1クールのオープニングでは作中のエピソードをイメージしたカットをこれでもかと詰め込んだような映像になっているほか、実は第1クール時点ではアニメ化しきっていないエピソードも多数演出に盛り込まれています。

 アニメーションとしてのクオリティの高さからも、いかんせん今回の第2クールの映像との方向性の落差に戸惑いを感じる人が多くいるようです。

 第1クールのオープニングの製作陣にとっては嬉しい反応ではある一方、第2クール目を担当した人たちには少し寂しく感じられる事態です。

 ただし、「Watch me」も『ウィッチウォッチ』とのコラボレーションMVでは先行してダンス要素を取り入れていました。いまいちそちらはダンス動画などへのブームの波及はしなかったのが残念な点です。せめて「ときはなて!」が挑戦した“クセの強い”ダンスが、「Watch me」ができなかったダンス動画の流行を生み出せると1期と2期のバランスが良くなるように感じます。

◆第2期『ダンダダン』も健闘! 第1期とは違った演出で挑む?

 同じく新シーズンを迎えて前シーズンとの比較の声が上がっているのが、去年ぶりに放送が再開された『ダンダダン』の第2期です。

 第1期の主題歌となったCreepy Nutsの「オトノケ」は「クランチロール・アニメアワード2025」の最優秀アニソン賞にも選ばれたほどの曲であるうえ、映像では円谷プロダクション作品のオマージュをふんだんに取り入れた演出でも注目を浴びました。

 そんな評価を受けた第1期に対して、第2期ではアイナ・ジ・エンドさんの「革命道中」に合わせて、“オカルン”視点の映像だったり、第1期にも寄せたと思われるようなメインキャラクターたちの鮮やかなカットが目まぐるしく変わっていく演出が盛り込まれていたりと、第1期とは試みは違う一方で、似た要素なども盛り込まれています。

 そういった点から『ウィッチウォッチ 』と同じく映像を第1期と比較する声もあがっている一方で、『ダンダダン』は好みの差はあれど、第2期の楽曲や映像に対して「これはこれで」と高く評価する声も多く見られます。前回の主題歌映像とも近しい要素を盛り込むことで前シーズンから見ていた人も自然と見やすい工夫といえるのかもしれません。

 逆に第1期から大きくコンセプトを変えたのがED映像。WurtSさんの「どうかしてる」が起用され、映像では本編とも画のタッチが変えられたキャラたちが登場し、映像の後半ではこちらでもダンス要素を盛り込んだ内容が展開されます。

 

 ──どうしても前クールなどで尖ったことをやったり、クオリティの高い映像を主題歌映像にしてしまうと、次のクールで比較されてしまうのはここで挙げた二例からも明確です。

 YouTubeなどの動画配信サービスが普及した現代では、放送開始に合わせてノンクレジット映像を当たり前のように発表するのが一般的になってきました。

 それだけにそのときの主題歌単体だけでなくほかのシーズンと兼ね合いをしっかり意識した映像制作をしていかないと、視聴者が「前と比べて」と同作品内で優劣を決め合ってしまうでしょう。

 主題歌映像は基本は毎週見ることになる存在。それだけにできるだけポジティブな印象を持てるよう同作品内でも気を遣っていく必要がありそうです。

〈文/ネジムラ89〉

《ネジムラ89》

アニメ映画ライター。『FILMAGA』、『めるも』、『リアルサウンド映画部』、『映画ひとっとび』、『ムービーナーズ』など現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。映画『ミューン 月の守護者の伝説』や映画『ユニコーン・ウォーズ』のパンフレットにライナーノーツを寄稿するなどその活動は多岐にわたる。noteでは『アニメ映画ラブレターマガジン』を配信中。X(旧Twitter)⇒@nejimakikoibumi

※サムネイル画像:YouTubeチャンネル『MBSanimation 公式チャンネル』より 「TVアニメ「ダンダダン」第2期オープニング映像|アイナ・ジ・エンド「革命道中」」 ©龍幸伸/集英社・ダンダダン製作委員会

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