昨今、映像配信サービスの普及などもあり、日本のTVアニメなどが海外で大人気となる例をよく聞きますが、一方で日本にもとある国からアニメーション作品が続々と上陸している例があります。それが中国。
TVアニメ作品でも中国発の作品が既にいくつも日本での放送がされているのですが、2025年の年末にかけては劇場公開作品がかなり充実しています。日本でもヒットした『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来』の続編となる『羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来』が日本上映を控えていますが、実はそれ以外の中国作品も日本興行を予定しています。
◆日本人気では筆頭の中国作品 『羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来』が11月公開
日本の人気では圧倒的とも言える支持を得ているのが、2019年に製作され、劇場版が日本でも話題となった『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)』シリーズ。
劇場版第1弾となる『羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来』は日本語吹替版の上映が一年越しの2020年でした。しかし、劇場版第2弾となる今年中国で7月に公開されたばかりの続編『羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来』は、早くも11月7日に日本語吹替版と字幕版の同時上映が発表されています。
前作よりも早いタイミングでの本格的な興行ということで、どれだけ注目作となっているのかがよく分かりますが、今回はさらに映画だけではなく、新たにTVアニメを同時期に放送します。
今回放送されるのはシリーズの発端となったWebアニメシリーズ『羅小黒戦記』を、TVサイズに編集し日本語吹替版として10月から放送をするというもの。実はこのWEBアニメシリーズの前日譚として製作されたのが、劇場版の『羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来』でした。日本では公開の順番としては逆ではありつつも、時系列的には合っているという少し不思議な上陸の仕方を果たします。
映画とTVアニメという2つのメディア展開で次なるロシャオブームに火を点けようとしています。
◆『羅小黒戦記』だけじゃない! 中国の二大ビッグタイトルも興行に参戦
驚くべきは『羅小黒戦記』だけでなく、他の中国のビッグコンテンツも同じように年末にかけて日本での興行を予定していることです。
11月28日からは中国のアニメ映画『くまじろう!ちきゅうをすくえ! ~ 熊出没 ~』が全国公開を予定しています。本作は中国でも国民的アニメとして人気を誇る『熊出没』シリーズの劇場版第8弾。2022年に『熊出没 バック・トゥ・アース大作戦』のタイトルで限定的に日本でも上映されたのですが、今回は日本語吹替版を新たに製作した上で規模を拡大しての興行に挑みます。
第8弾とは言いつつも日本の『ドラえもん』や『クレヨンしんちゃん』のように、中国では毎年新作映画が公開されるシリーズ。TVシリーズなどを知らなくても、この映画からでもしっかり起承転結が楽しめる映画となっています。
そしてさらに2025年内には、アニメーション映画の世界歴代興行収入の記録の1位を塗り替えたことでも話題となった『ナタ 魔童の大暴れ』が再上陸を果たすと発表されました。4月に緊急公開として中国語・英語字幕版を先行上映し、遅れての日本語字幕版が公開された映画でしたが、今回はついに日本語吹替版が公開決定です。
『熊出没』も『ナタ』もどちらも中国では『羅小黒戦記』を超える成績で大ヒットを果たした映画です。そんな中国のビッグタイトルが年末にかけて日本では立て続けに味わえるということで、今秋は中国アニメ映画のかなり熱い時期となりそうです。
とはいえ、世界でもきってのキャラクター大国である日本では、なかなか海外作品の進出が難しい傾向にあるのも事実。『羅小黒戦記』ですら、今回の続編の興行でもどれだけ再ブームを引き起こせるのかは未知数です。
むしろ広い視点で見て、アジア作品が世界的にも力を持ってきているという見方の方が注目点かもしれません。
かつてこそハリウッド映画が世界で強い力を持っていたのに対して、近年は中国の映画市場の台頭であったり、前述のような日本の“アニメ”の活躍はアメリカにとってはある種の脅威ともなっているでしょう。
中国が世界に向けてどんな活躍をしていこうとしているのか、という視点でも“お隣さん”の作品を観に行ってみる価値はあるといえます。
〈文/ネジムラ89〉
《ネジムラ89》
アニメ映画ライター。『FILMAGA』、『めるも』、『リアルサウンド映画部』、『映画ひとっとび』、『ムービーナーズ』など現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。映画『ミューン 月の守護者の伝説』や映画『ユニコーン・ウォーズ』のパンフレットにライナーノーツを寄稿するなどその活動は多岐にわたる。noteでは『アニメ映画ラブレターマガジン』を配信中。X(旧Twitter)⇒@nejimakikoibumi
※サムネイル画像:『「羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来」ティザービジュアル第3弾 (C)Beijing HMCH Anime Co.,Ltd』