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 犬が放つ技が、巨大熊の首を斬り落とした。そんなシーンを成立させる力が、漢字4文字・5文字に込められた技名にはある──。

 『週刊少年ジャンプ』の歴史には、読者が思わず口に出したくなる「技名」が無数に存在します。音の響き、漢字の組み合わせ、そして背景にある物語──それらが絡み合って、子どものころに友達の前でポーズを決めながら叫んだ記憶を持つ人は少なくないでしょう。

 中でも「漢字の技名」には独特の引力があります。格好いいのに説明不要で、意味を知らなくても叫べる。そんな技を4つ、あらためて振り返ってみます。

◆「邪王炎殺黒龍波」──「悪い漢字」だけを集めたような完璧な技名(幽遊白書)

 飛影が自分の妖気を餌にして魔界の龍を呼び出す大技。「邪」「炎」「殺」「黒」「龍」と、禍々しくも格好いい漢字だけを並べたような技名は、ジャンプ史上でも最高峰の「叫びたい技名」といっても過言ではありません。

 暗黒武術会の是流戦では相手の影だけを残して焼き尽くし、その凄まじさを見せつけました。ただしこの時点では未完成で、決勝の武威戦では跳ね返された黒龍を飛影自身が取り込むことでさらにパワーアップ。黒龍をまとった姿で武威を圧倒して勝利しています。

 黒龍を放つ姿も、黒龍をまとう姿も絵になる二段構えの技。名前の迫力が映像の迫力と完全に釣り合っています。

◆「魔貫光殺砲」──「指一本」で宇宙を貫くロマン(ドラゴンボール)

 ピッコロが使うこの技は、技名だけで「貫く」イメージが浮かぶのが秀逸です。「魔」の一文字が醸す雰囲気と、指先に気を集中するという動作の渋さが合わさって、語感の格好良さが際立っています。

 気を集中するのに時間がかかるため、原作ではラディッツ戦でしか使われていません。一発目こそかわされますが、二発目はラディッツを押さえ込んでいた悟空もろとも貫通。もともとは悟空を倒すためにピッコロが秘密裏に編み出したとっておきの一撃でした。

 皮肉にも望んだ形とは異なる使われ方になりましたが、悟空の命を初めて奪った技というインパクトは今も色あせません。

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◆「天翔龍閃」──「訓読み」に込められた作者のこだわり(るろうに剣心)

 飛天御剣流の技名は「龍翔閃」「九頭龍閃」など音読みが基本ですが、奥義である天翔龍閃だけは「あまかけるりゅうのひらめき」と訓読みします。その一点だけで、作者・和月伸宏先生の技名へのこだわりが伝わってきます。

 師の比古清十郎から継承されたこの奥義は、左足を踏み込むことで超神速の斬撃を生み出す独自の抜刀術。初撃の太刀が生み出す真空領域で相手の自由を奪い、遠心力と踏み込みの推進力で二撃目を叩き込む二段構えの技です。

 9方向同時攻撃の九頭龍閃とは対照的に、奥義でありながらカウンター性を持つ構造も渋い。名前と技の設計、どちらも一流です。

◆「絶・天狼抜刀牙」──犬の技が熊の首を落とす説得力(銀牙 -流れ星 銀-)

 熊犬のリキ、そしてその息子・銀が使う技。7種ある抜刀牙の中でも最上位に位置する究極技で、名前の冒頭に「絶」の一文字を据えたセンスが群を抜いています。

 続編の「銀牙伝説WEED」でも唯一登場する抜刀牙であり、作者・高橋よしひろ先生の思い入れの深さがうかがえます。前転運動の縦回転と円を描く遠心力を利用して牙で切り裂くこの技は、主人公・銀が宿敵の巨大熊・赤カブトの首をはね飛ばすシーンで真価を発揮しました。

 犬が放つ技でありながら、名前負けしない威力と切れ味。「絶・天狼抜刀牙」という文字列の力強さが、そのまま作品の格を押し上げています。

 

 ──奥義クラスの技になると、威力やビジュアルの格好良さだけでなく、技名そのものにも作者の哲学が宿っているように思えます。『鬼滅の刃』の呼吸や『呪術廻戦』の領域展開など、現代の『ジャンプ』作品でも語感のよい技名が次々と生まれています。

 ストーリーもキャラクターも魅力的な作品ばかりですが、技名という小さな単位にも作品の面白さを底上げする力が詰まっている。それが『ジャンプ』作品が世代を超えて愛され続ける理由の一端かもしれません。

〈文/相模玲司〉

《相模玲司》

大学卒業後、編集プロダクションに入社。メンズファッショ誌の編集に従事したのち、フリーランスの編集・ライターとして独立。アニメ・漫画関連のムック本の制作や、週刊誌のWeb版でアイドルの取材記事やサブカルチャー記事の作成に携わる。

 

※サムネイル画像:Amazonより 『「幽☆遊☆白書 完全版 」第11巻(出版社:集英社)』

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