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※この記事には複数の作品のネタバレが含まれます。ご注意ください。

 鍋で具材を炒めた後、自らの口からカレーを「注いで」完成させる──。子ども向けの国民的アニメ『アンパンマン』のカレーパンマンが、かつてやっていたカレー作りの工程です。彼の必殺技は口から激辛カレーを浴びせる「カレー攻撃」。となると、カバオくんたちが食べていたあのカレーの正体は……。

 放送回数が積み重なる国民的アニメには、思わず二度見してしまう“あの場面”がいくつも眠っています。作画事故、実写との合成、ロボットだから許されているのか分からない描写まで、4つのシーンを掘り下げます。

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◆口から「注ぐ」カレー作り──『アンパンマン』カレーパンマンの素材問題

 カレーパンマンが初登場した第3話「アンパンマンとカレーパンマン」。鍋に材料を入れて炒めるところまでは普通の調理ですが、仕上げに彼は自分の口からカレーをドバドバと注ぎ込みます。カバオくんたちと一緒に作った別の回でも同じ工程が踏まれているため、これがカレーパンマン流の“王道”だったようです。

 アンパンマンが自分の顔をちぎって分け与える行為が世界観として成立している以上、口からカレーを出すこと自体は否定しづらいところ。とはいえ画面で見ると、放送事故スレスレと感じる視聴者がいてもおかしくありません。

 そして気になるのは中身の辛さです。カレーパンマンの代名詞となっている必殺技「カレー攻撃」は、口から激辛カレーを噴射して敵を撃退するというもの。同じ口から出てくるのですから、カバオくんたちの口に運ばれていたあのカレーも、本来は激辛仕様であるはず。水で薄めて辛さを抑えていたのか、それとも調理用にジャムおじさんが事前にマイルドなカレーを充填していたのか──作中では語られない謎が残ります。

 現在の放送ではこのくだりは見直されており、鍋をかき混ぜるだけの描写に差し替えられている模様です。コンプライアンス的にも妥当な落ち着きどころ。ただ、画面に映らないだけで、彼が自らの“中身”を削ってカレーを作り続けている可能性は否定できません。

◆ゾロが2人? 画面端に紛れ込んだ“もう一人”──『ONE PIECE』第226話

 アニメ『ONE PIECE』第226話「最も無敵に近い奴?と最も危険な男!」では、画面の中にゾロが2人映り込むという珍事が起きています。一瞬のカットだったため放送当時は「見間違いか?」と困惑する視聴者が続出し、ネット上には目を疑う声が並びました。

 舞台は海賊団フォクシーの船。落とし穴に落とされたルフィたちが壁を破って脱出した先で、フォクシーが変装して待ち構えています。ルフィに斬りかかろうとするフォクシーの剣を、ゾロが刀で受け止める──ここまではいつものバトルシーンです。

 問題は引きの構図に切り替わった瞬間でした。手前ではサンジが剣を受け止め、その横にルフィ。少し離れた後方にナミ、ウソップ、そしてもう一人のサンジ……ではなく、青い髪と腹巻という見間違えようのないシルエットのゾロが立っていたのです。原作を読み込んでいるファンならすぐ作画ミスと判別できるところですが、アニメから入ったファンには「分身の術を覚えた?」「後の伏線か?」と一瞬本気で考えさせる破壊力がありました。

 次のカットでは何事もなかったように1人に戻っており、原因の詳細は明かされていません。麦わらの一味の戦力バランスが崩壊しかねない“増殖事件”は、笑い話としてファンの記憶に刻まれています。

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◆お皿の上に突如“実写のメンチカツ”──『あたしンち』の謎演出

 アニメ『あたしンち』第569話「母、ちょっとさみしい」の冒頭。母が夕食の食卓に出した一皿に、視聴者は目を奪われました。ご飯もみそ汁も付け合わせの千切りキャベツもトマトも全部アニメーションで描かれているのに、メインのメンチカツだけが、なぜか実写写真。揚げ色も妙にリアルで、「うまそう」という感想と「なぜここだけ実写?」という困惑がネット上で同居しました。

 次の引きカットではメンチカツもきちんとアニメで描かれているので、作画を省略したかったのか手間を惜しんだのか、意図が読みづらい一瞬の演出です。

 『あたしンち』は過去にも実写を差し込んできた前例があります。第174話「母、罪悪感っ」では、母が水島さんと買い物に出た先のスーパーに貼られたチラシが実写で登場。イチゴ、肉、野菜、惣菜コーナーのジャンボフランクバイキング(1本100円)、チキンスナックバイキング(1本60円)まで細かく載っていて、リアル感が突き抜けていました。

 第202話「母、見せたくないっ」では、ユズヒコが眺めている握り寿司の写真集がまるごと実写。大トロ、中トロ、コハダ、サバ、イカ……種類も豊富で、ネタの艶までしっかり伝わってきます。

 スーパーのチラシも寿司写真集もストーリー上の重要アイテムで、種類が多くアニメで描き切るのは骨が折れたはず。だからこその実写採用と推測できますが、メンチカツに関しては筋立てとの関連がほぼなく、しかもアップのカットだけ実写という変則ぶり。理由が掴めないからこそ、ファンの間で語り継がれる名場面になっています。

◆“部屋を明るくして離れて見てね”──そのテロップ中、当のドラえもんは至近距離

 子ども向け番組ではおなじみの「テレビを見る時は、部屋を明るくしてはなれて見てください」というテロップ。『ドラえもん』でも当然のように表示されますが、画面の中ではドラえもん自身がブラウン管にかぶりつくようにテレビを観ている──そんなタイミングで注意書きが流れてしまった回が存在します。

 このテロップが導入されるきっかけになったのは、1997年に発生したいわゆる「ポケモンショック」。点滅する映像で体調不良を訴える子供が多数出た事件を受け、各局がテロップ表示や登場人物による呼びかけで注意喚起を行うようになりました。

 とはいえ、放送局側の事情でのび太の家が急に広くなるわけでも、居間のレイアウトが変わるわけでもありません。画面の構図やキャラの配置の都合で、テレビの目の前に集まって観るシーンが今も普通に描かれます。何を観ているのか、どれだけ夢中なのかを視聴者に伝えるには、画面の前にギュッと集めて映したほうが分かりやすい、という制作側の事情もあるはずです。

 ただ、作中の家電は時代に追従しており、薄型テレビが登場するシーンも増えてきました。広いリビングのソファに腰掛けたドラえもんが、画面から十分な距離を取って優雅に番組を楽しむ──そんな“理想形”が描かれる日もそう遠くないのかもしれません。

 

 ──長く続く国民的アニメは放送回数が膨大なぶん、作画のほころびや時代に合わなくなった描写が顔を出すのは避けられない部分があります。放送当時はスルーされていた表現が、コンプライアンス意識の変化に合わせて静かに描き直されていく。そんな“アップデート”の積み重ねもまた、長寿アニメならではの歩みなのかもしれません。

〈文/秋山緑〉

《秋山緑》

アニメ・漫画・ゲームを中心に、エンタメ領域の記事制作に携わるライター。話題作から長年愛される名作まで幅広く扱い、作品の魅力やキャラクターの関係性、印象的なシーンを読者目線でわかりやすく伝える記事制作を得意とする。アニギャラ☆REWでは、アニメ・漫画作品のコラムや解説記事を担当している。

 

※サムネイル画像:Amazonより 『「がんばれ!カレーパンマン アンパンマンアニメギャラリー」(出版社:フレーベル館)』

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