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※本記事には複数の作品のネタバレが含まれます。ご注意ください。

 アニメや漫画のキャラクターに感じる「どこかで見たことがある」という既視感は、実在の有名人が関係している場合があります。『SPY×FAMILY』のエミール&ユーインや、『美少女戦士セーラームーン』のタキシード仮面にも、作者や関係者が語ったモデルの話が残されていました。

 キャラクターの髪型、立ち姿、雰囲気に注目すると、作品を見返すときの印象も少し変わります。単行本の裏話や作者コメントをもとに、有名人を参考にしたとされるキャラクターを振り返ります。

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◆エミール&ユーインはなぜ見覚えがあるのか 単行本11巻で明かされた“お笑いコンビ”の影

 『SPY×FAMILY』で、アーニャの同級生ダミアンのそばにいるエミール・エルマンとユーイン・エッジバーグ。2人はダミアンを慕う取り巻きとして登場しますが、どこか親しみやすい顔立ちや雰囲気も印象に残るキャラクターです。

 その理由は、単行本第11巻の表紙裏にある「情報屋フランキーの極秘メモ」で語られています。そこでは、エミールとユーインのキャラクターデザインについて、お笑いコンビ・バナナマンの設楽統さんと日村勇紀さんのビジュアルを参考にして描かれたことが明かされています。

 もちろん、そのまま似せすぎるのではなく、作中キャラクターとして成立するようにデフォルメされた形です。それでも、設楽さんを思わせる知的な雰囲気や、日村さんを連想させる丸みのある髪型など、モデルを知ると見え方が変わる部分があります。

 作中では脇にいることが多い2人ですが、こうした制作上の小さな遊びを知ると、ダミアンを囲むクラスメイトたちにも別の面白さが見えてきます。既視感の正体が分かると、何気ない場面でもつい表情を確認したくなるキャラクターといえるでしょう。

◆タキシード仮面のモデルは誰だったのか 『セーラーV』1巻に残る元アイドルの名前

 『美少女戦士セーラームーン』で、月野うさぎを支える存在として知られる地場衛ことタキシード仮面。黒いタキシードに身を包み、ピンチの場面で現れる姿は、作品を象徴するイメージの一つです。

 このタキシード仮面にも、実在の有名人をモデルにしたという話があります。『セーラームーン』のプロトタイプにあたる『コードネームはセーラーV』単行本第1巻で、作者の武内直子先生は、タキシード仮面のモデルとして男性アイドルグループ・少年隊の東山紀之さんの名前を挙げています。

 さらに、東山さんは1986年から1995年までバーモントカレーのCMキャラクターを務めており、そのCMで披露したタキシード姿が、まさにタキシード仮面のようだったという裏話もあります。

 長身で整ったシルエット、黒髪の印象、アイドルらしい端正な雰囲気。そうした要素を重ねると、タキシード仮面がただの王子様的キャラクターではなく、当時のスター像も反映した存在だったことが分かります。作品が放送された時代の空気まで感じられるモデル話です。

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◆リツコ先生の初期イメージはなぜ「今井」だったのか 30周年回答で見えたモデルの話

 『地獄先生ぬ〜べ〜』に登場する高橋律子、通称リツコ先生も、有名人がモデルとして語られたキャラクターの一人です。童守小学校のマドンナ的存在で、ぬ〜べ〜が思いを寄せる相手としても物語に関わっていました。

 2023年に連載30周年記念としてX(旧Twitter)でファンの疑問に回答した際、作画担当の岡野剛先生は、リツコ先生のモデルとなった芸能人について触れています。岡野先生によると、原作者の真倉翔先生が抱いていた初期イメージは、歌手・女優の今井美樹さんだったそうです。

 そのため、リツコ先生の名前は当初「高橋」ではなく「今井」だったとも語られています。最終的に採用された「高橋」という名字は、当時のアシスタントさんに由来するものだったそうです。

 リツコ先生は、美人で大人っぽく、作品内でも先生らしい落ち着きを持ったキャラクターです。モデルの話を踏まえると、当時の読者が抱いていた“理想の先生”像や、時代ごとの女性像がキャラクターに重ねられていたことも見えてきます。

◆馬村大輝はなぜ“塩顔イケメン”に見えるのか 坂口健太郎さんとの意外な接点

 少女漫画『ひるなかの流星』では、主人公・与謝野すずめに恋するクラスメイト、馬村大輝にも実在のモデルがいます。無愛想でクールながら、不器用な優しさを見せる馬村は、作品の中でも高い人気を集めたキャラクターです。

 行本第9巻のフリートークで、作者のやまもり三香先生は、馬村のモデルが俳優の坂口健太郎さんであることを明かしています。さらに、少女漫画誌『マーガレット』(2014年4/5号)では、坂口さんが馬村のコスプレを披露しました。制服姿に白いヘッドフォンを首元にかけたビジュアルは、まさに馬村を思わせるものでした。

馬村は、いわゆる“塩顔イケメン”として語られることの多いキャラクターです。坂口さんもまた、清潔感のある雰囲気ややわらかな表情で支持を集めてきた俳優です。作者がモデルを明かす前から、2人の印象が似ていると話題になっていたのも自然でしょう。

 

 ──モデルがいると知ることで、キャラクターの魅力が現実の空気とつながって見えることがあります。エミール&ユーイン、タキシード仮面、リツコ先生、馬村大輝。どのキャラクターも、ただ有名人をなぞっただけではなく、作品の世界に合うように再構成されていました。

 顔立ちや髪型だけでなく、その時代に親しまれていたスターの雰囲気まで取り込まれているからこそ、キャラクターには不思議な説得力が生まれます。モデルの存在を知ってから読み返すと、何気ない表情や立ち姿にも新しい発見があるかもしれません。

〈文/秋山緑〉

《秋山緑》

アニメ・漫画・ゲームを中心に、エンタメ領域の記事制作に携わるライター。話題作から長年愛される名作まで幅広く扱い、作品の魅力やキャラクターの関係性、印象的なシーンを読者目線でわかりやすく伝える記事制作を得意とする。アニギャラ☆REWでは、アニメ・漫画作品のコラムや解説記事を担当している。

 

※サムネイル画像:Amazonより 『「TVアニメ『SPY×FAMILY』公式スタートガイド ANIMATION×1st MISSION」(出版社:集英社)』

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