誰もが子供時代に一度は触れたであろう『それいけ!アンパンマン』(以下、『アンパンマン』)の世界。そんな『アンパンマン』ですが、実は初期のころは今では考えられないようなエグい方法で、ばいきんまんを懲らしめていました。
◆初期のアンパンマンは意外とズル賢かった?
アンパンマンとばいきんまんの対決といえば、アンパンマンが「アンパンチ」を繰り出して、「バイバイキーン」とばいきんまんがやられるのがお約束……。
しかし、1988年に放送された第1話では、アンパンマンは正義のヒーローらしからぬ方法でばいきんまんを倒します。
ある日、ばいきんまんがてんどんまんの天丼を食べてしまい、助けに入ったアンパンマンも返り討ちにします。一度敗北したアンパンマンですが、その後ジャムおじさんのパン工場に戻り名案を思いつくのです。
それが、まさかの罠を仕掛けるコト。その後、アンパンマンはばいきんまんを罠の天丼で誘き寄せ、食べている隙を突いて倒します。さらに驚くことに、倒したばいきんまんを大型の洗濯機に放り込むのです。
そして、待ち構えていたジャムおじさんたちとともに大量の石鹸を入れてばいきんまんを除菌してしまいます。子供向け番組で正義のヒーローが罠を仕掛け、寄ってたかって悪を懲らしめるというちょっとエグい方法は、当時にしかできない表現だったのではないでしょうか。
──NHKの連続テレビ小説『あんぱん』で原作者のやなせたかし先生夫妻が描かれ、今年は改めて注目度が高かった『アンパンマン』。ドラマを通して、アンパンマンが空腹や困っている人たちに、見返りを求めず区別なく助ける存在として生み出されたキャラクターだと知った人も多かったと思います。そんな絶対正義の激レアな一面は、令和の時代では決して見ることができないでしょう。
〈文/fuku_yoshi〉
《fuku_yoshi》
出版社2社で10年勤め上げた元編集者。男性向けライフスタイル誌やムックを中心に、漫画編集者としても経験を積む。その後独立しフリーライターに。現在は、映画やアニメといったサブカルチャーを中心に記事を執筆する。YouTubeなどの動画投稿サイトで漫画やアニメを扱うチャンネルのシナリオ作成にも協力し、20本以上の再生回数100万回超えの動画作りに貢献。漫画考察の記事では、元編集者の視点を交えながら論理的な繋がりで考察するのが強み。最近では、趣味で小説にも挑戦中。X(旧Twitter)⇒@fukuyoshi5
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