ニンジャバットマンが帰ってきた──!

 2018年に劇場公開された映画『ニンジャバットマン』の続編として、3月21日より『ニンジャバットマン対ヤクザリーグ』が配信限定でリリースを果たしました。

 本作では前作の『ニンジャバットマン』のその後を描いた作品となっているのですが、ジャスティス・リーグの面々や前作には登場していなかったヴィランの登場、さらにはかなり変則的な“ニンジャ”作品として登場しています。

 このシリーズは前提となるキャラクター設定を作中で説明しないシリーズにもなっているので、「これは誰?」という反応も有りかねないので、視聴前に予習が必要かもしれません。

◆今回のヤクザリーグメンバーの“是鹿”とは何者?

 今作の目玉はやはりジャスティス・リーグのメンバーの参戦です。バットマンも所属するヒーローチームであり、近年でも実写映画が製作されていたりと“存在は知っている”という人も多いでしょう。ただ、その構成メンバーは作品によっても違いがあり、今回も独自の選出になっています。

 直近で単独映画が作られているワンダーウーマンやアクアマン、フラッシュこそ分かりやすいですが、「緑光の是鹿」として登場するキャラクターは見慣れないという人も多いハズ。

 彼女こそ不思議な力を持った指輪で戦うグリーンランタンという組織の一員、ジェシカです。グリーンランタン自体は単独作も製作されていたり、アニメーションシリーズでのレギュラー出演もしていたりしました。ただし、長らく男性キャラクターとしての活躍が目立っていたのですが、2014年には女性キャラクターとしてジェシカが登場しており、今作ではそんな彼女を一員としたジャスティス・リーグという前提になっています。

 作品ごとの設定違いがあるのは、アメコミ原作作品では今やお馴染みですが、本作はそういった世界線の違いが設定やクライマックスの“とある”演出にも活かされてました。

◆満を持してラーズ・アル・グールが登場!

 意外なキャラクターの選出では、今作のヴィランとして登場するのが『バットマン ビギンズ』などでも姿を現したラーズ・アル・グールです。作中でも随一の組織力を持っているキャラクターであったり、大物ヴィランの一角を担うキャラクターとして知られています。

 ラーズの娘であるタリアは、バットマンの妻という設定もあり、その息子のダミアンが次世代のロビンになったという設定があり、本作もその設定を踏襲しています。なので、ラーズがロビンのことを孫として扱うシーンが登場しています。

 『ニンジャバットマン』シリーズは歴代のロビンが集結していることが前提となっている珍しいアニメシリーズです。バットマンの相棒である“ロビン”のポジションも実は複数人いる、ということを知らないとビックリするところ。レッドロビン、レッドフード、ナイトウィング。それぞれ別人ではありつつも実は全員“ロビン”でもあるので、実は四人のロビンが一挙に参戦している稀な作品となっています。

◆“科学忍法”ってなんだ?唐突に挟まれるアニメーションの意味

 そして、本作最大の仕掛けとも言えるのが、今作のバットマンがどう忍者なのかという点。前作の和風ナイズされたバットマンは、分かりやすいアプローチでしたが、今作ではそういった方向性ではありません。むしろ、ヤクザリーグたちに対して、現代科学や文明の差で挑んでいきます。そして、その見せ方に仕掛けがあり、バットマンファミリーの活躍を“科学忍法”という体裁で見せていきます。

 中盤で唐突にレトロな雰囲気のミュージックビデオが登場するのですが、これがまさに本作の“目配せ”の部分。タツノコプロダクションの名作『科学忍者隊ガッチャマン』のオマージュであることを示唆しています。

 一見、今作のバットマンは前作の忍者らしい素振りはしないものの、そもそもバットマン自体が“科学忍者”であるという解釈か、お馴染みの知識と起点で戦う様子はまさにバットマンならでは。

 “ニンジャバットマン”という変則的な作品ではありつつも、バットマンやDCヒーローを見つめ直す作品になっていたといえるでしょう。

〈文/ネジムラ89〉

《ネジムラ89》

アニメ映画ライター。『FILMAGA』、『めるも』、『リアルサウンド映画部』、『映画ひとっとび』、『ムービーナーズ』など現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。映画『ミューン 月の守護者の伝説』や映画『ユニコーン・ウォーズ』のパンフレットにライナーノーツを寄稿するなどその活動は多岐にわたる。noteではアニメ映画ラブレターマガジンを配信中。X(旧Twitter)⇒@nejimakikoibumi

※サムネイル画像:YouTubeチャンネル『Warner Bros. Japan Anime』より

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