“待望の”という表現がまさに似合う、TVアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』の2期の制作がついに発表されました。
『ぼっち・ざ・ろっく!』は2022年にTVアニメ第1期が1クールにかけて放送されましたが、放送当時だけでなくむしろ放送以降の熱気が凄まじい作品でした。
◆『ぼっち・ざ・ろっく!』の放送後の熱が凄まじい
『ぼっち・ざ・ろっく!』の活躍は放送中だけでなく、むしろ放送後の盛り上がり方が目覚ましいものでした。
たとえば、関連商品の人気です。放送直後に話題になったのが、コラボレーションモデルのワイヤレスイヤホンの発売でした。「ANIMA AOWO1」のコラボレーションモデルとして、作品の主人公である後藤ひとりのオリジナルシステムボイスや、作中に登場するバンド「結束バンド」のロゴが入った特別なものでした。
予約受付はTVアニメ放送終盤だったのですが、早々に予想を上回る受注が入り、受付を一時停止するほどの事態が発生。その後は何度も受注時期を再開したり、別のキャラクターの音声ガイダンスを追加したりと発展していき、現在は10回目の受注販売の開始をするほどです。
🎸10次受注のご案内🎸
アニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』新規録り下ろしボイス搭載ワイヤレスイヤホンの10次受注が決定しました!!
10次受注はデザインを一新し、計8モデルをラインナップ✨明日1月31日(金)15:00より、通販サイト「ONKYO DIRECT」、秋葉原店舗「#音アニ… pic.twitter.com/H78Dw72Yha— onkyodirect (@onkyodav) January 30, 2025
音楽関連では、作品を飛び出して実際に音楽活動を展開している「結束バンド」の活躍も大きいです。
TVアニメの放送を終えた2023年時点で年間Billboard JAPANダウンロード・アルバム・チャートではYOASOBIやAdoさんといった面々を抑え年間1位を獲得。ワンマンライブだけでなくロックフェスにも参加し大人気アーティストとして活躍しています。
そして去年、ついにアニメシリーズの新展開としてTVアニメシリーズに追加シーンなどを加えて再編集した『劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく!』を“Re”と“Re:Re:”の前後編で公開し、130館規模の上映館数ながら前後編合わせて興行収入11億円を超える成功を収めました。
銀幕という大舞台ということで、後編の最後に2期の発表があるのでは? という予想の声もありましたが残念ながらそれはなく、むしろ綺麗な着地を迎え、シリーズの一区切りの装いも感じられる状態でした。
しかし、そんな流れからの今回のニュースです……。
◆ついに発表された『ぼっち・ざ・ろっく!』第2期
そんな『ぼっち・ざ・ろっく!』の第2期の制作が2月15日に発表されました。
この日は、去年に行われた「結束バンド」のZEPPツアー“We will”の追加公演として、武蔵野の森総合スポーツプラザメインアリーナにて初めてのアリーナワンマンライブとなる「結束バンドTOUR“We wii B”」の開催日。ライブのサプライズとして満を持して第2期の制作発表がされたわけです。
そして見事なのがこの発表の直後に特別ウェブラジオ番組として「【緊急】ぼっち・ざ・らじお!【特別編】」を配信し、パーソナリティである後藤ひとり役の青山吉能さんの司会のもと、アニメシリーズ制作陣が出演して、ファンに向けて今回の2期について語る場を設けていました。
というのも今回の2期制作決定に合わせて発表されたこととして、第1期の監督を務めた斎藤圭一郎さんから第2期では監督を山本ゆうすけさんにバトンタッチ。さらにキャラクターデザインもけろりらさんから小田景門さんへと代わると発表されています。そこで斎藤さん・山本さん・けろりらさん3人が直接、自身の言葉で今回の制作陣の変更についての理由や思いをラジオで語ってくれたわけです。
制作陣がほかのアニメ制作でも活躍している中でスタッフの変更のみが発表されると「裏で何かがあったのでは」「ほかの作品との天秤にかけられてしまったのでは」と邪推されてしまうところですが、今回の試みで当事者からの声を届けることでできる限りポジティブに受け取ってもらえるようにという意図があったようです。
スタッフ変更などがあったとしても、コメント等の発表はあれどなかなか制作陣が生の声を視聴者に発信する例はありません。それだけに、今回の試みはぜひ今後も同例があった場合にはほかの作品でも取り入れてほしい部分です。
ただ、今回のラジオでは2期制作の決定が実際に2025年に入ってからであり、具体的なアニメーションの制作はこれからであることも明らかにされました。
まだ放送時期や発表形態も決まっていないことも番組内で語られ、2期自体の完成まではもう少し時間が必要でしょう。
とはいえ今回の発表の仕方からも、誠心誠意制作された作品が待っていることは想像できます。ていねいに歩みを進めてきた“ぼざろ”がここからどんな次のステージを見せてくれるのか引き続き要注目です。
〈文/ネジムラ89〉
《ネジムラ89》
アニメ映画ライター。『FILMAGA』、『めるも』、『リアルサウンド映画部』、『映画ひとっとび』、『ムービーナーズ』など現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。映画『ミューン 月の守護者の伝説』や映画『ユニコーン・ウォーズ』のパンフレットにライナーノーツを寄稿するなどその活動は多岐にわたる。noteでは『アニメ映画ラブレターマガジン』を配信中。X(旧Twitter)⇒@nejimakikoibumi
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