『ちびまる子ちゃん』にスポンサーがつかないことが、X(旧Twitter)などのSNSでたびたびトレンドに浮上しています。『ちびまる子ちゃん』は、原作者のさくらももこ先生の幼少期のできごとを面白おかしく描いた作品ですが、中にはそのまま登場させることのできない実在の人物も存在します。また、コンプライアンスが叫ばれる現代、今では放送できないエピソードもいくつかあります。
◆『ちびまる子ちゃん』2つの衝撃的な裏話
『ちびまる子ちゃん』は原作者のさくらももこ先生の幼少期をモデルにした作品ですが、実際は意地悪だったといわれている祖父のさくら友蔵をはじめ、そのままマンガに登場させるには問題があると判断され、実在の人物とは異なる設定のキャラクターが多く存在します。さらに、作風からは想像もつかないような裏話もあります。
●戸川秀之先生──生徒に飲酒させる怖い先生だった?
まる子のクラスの担任である戸川秀之先生は、いつも温厚で冷静沈着な男性です。
自分が受け持っている児童に対して決して感情的になることなく、叱るときも優しく諭すような言い方をしています。
ですが、実際にさくらももこ先生が小学校3年生のときの担任は非常に怖い先生だったそうで、『20周年記念 ももこのおもしろ本』(出版社:さくらプロダクション、2000年1月出版)の中で「いつも怖い先生が登場するのは嫌だから、どんな児童が相手でも威厳を一切見せないとても優しい先生に変えた」という旨を綴っているのです。
また、さくらももこ先生の同級生であり「はまじ」のモデルでもある浜崎憲孝さんも、自著『僕、はまじ』(出版社:彩図社、2002年2月出版)の中で「小学3年生のときのクラスの担任は、理由もなく児童に平手打ちをするような人だった」「秘密の飲み物と称して児童にウィスキーを飲ませたり、ヘビースモーカーであり教室内で喫煙したりしていた」と驚きの告白をしています。
浜崎さんはこの担任に心を傷つけられたことで不登校になり、担任は翌年度に違う学校へと飛ばされてしまったのだとか。
1980年代、元担任は30代という若さだったにもかかわらず、飲酒や喫煙が原因で亡くなったことを明かしています。
●はまじ──さくらプロダクションとトラブルになっていた?
クラスのお調子者・はまじのモデルの浜崎憲孝さんは、大人になってから自費出版で自伝『僕、はまじ』を出版しています。
その出版社(彩図社)は当時、商業出版をしておらず、出版に際してさくらももこ先生は「自費出版だから」との理由で破格のギャランティでイラストを描き下ろしてくれたそうです。
しかし、浜崎さんの本は予想に反して売り上げが良く、自費出版とは思えないほどの展開に。さらに、当時新人編集者だった草下シンヤさんは、ちびまる子ちゃんのイラストを無断で書店販促用のPOPに使い、さくらももこ先生が経営する「さくらプロダクション」から猛抗議を受けてしまいます。
のちに草下さんは、『文春オンライン』で2023年5月7日に配信された「「ちびまる子ちゃんの“はまじの自伝”」を出版→大ヒット→権利会社が激怒…ベテラン編集者が明かした「若かりし頃のあやまち」」という記事で、自分の無知と非常識さについて明かしています。
すぐさまPOPを回収し、出版社の社長と謝罪に赴くも、さくらももこ先生が存命の間に和解することはできず、2023年に浜崎さんも孤独死してしまいました。
ほほえましい話の多い『ちびまる子ちゃん』ですが、大人の事情が絡んだ衝撃的な裏話だといえるでしょう。
詳しく読む⇒『ちびまる子ちゃん』4つの衝撃的な裏話 「戸川先生は教室で児童に……」「姉・さきこは問題児だった」ほか
◆今の時代では放送できない? 『ちびまる子ちゃん』2つの問題エピソード
TVアニメ『ちびまる子ちゃん』は、現在の平和な雰囲気とは異なり、平成初期は毒の強いエピソードが数多くありました。
『ちびまる子ちゃん』は過去の放送回がリメイクされることもある一方で、あまりにも衝撃的な内容で、もはや封印状態のエピソードもあります。
●永沢君がおしっこまみれに!?──第2期第227話「ハチの巣を見にいこう」の巻(1999年6月6日放送)
第2期第227話「ハチの巣を見にいこう」の巻では、神社にできたハチの巣をまる子、ハマジ、山田、ブー太郎の4人で見に行くことになりました。
ところが、巣を見ている最中に山田がくしゃみをしてしまい、怒ったハチが次々と飛び出し、たまたま近くを通りかかった永沢君の全身を何度も刺したのです。
顔や両手、両足をハチに刺されて痛がっている永沢君を見て、何を思ったのか、ハマジは「そうだ、おしっこだ!!」と言います。
なんとハマジは、ハチに刺された対処法として、自分の尿を永沢君にかけると言うのです。
当然ながら全力で嫌がる永沢君を、山田とブー太郎が押さえつけ、その隙にハマジは荒療治を決行。
神社には永沢君の絶叫が響き渡り、次の場面では全身ずぶ濡れの永沢君が白目を剥いていたのでした。
翌日、ハチの巣は専門業者の手によって取り除かれたのですが、そこでまる子たちは「ハチに刺された時におしっこをかけると良い」というのはただの迷信で、むしろバイキンが入る可能性があると教えられます。
ちびまる子ちゃんは夕方の午後6時台という食事時に放送されていますが、夕食をとりながらリアルタイムで視聴していた人たちは、さぞビックリしたことでしょう。
●いじめが原因で流血騒ぎに──第2期第40話「たかしくん」の巻(1995年10月8日放送)
第2期第40話「たかしくん」の巻は、『ちびまる子ちゃん』のアニメ史上最大の「流血事件」といわれており、胸が痛むエピソードとなっています。
クラスメイトの西村たかしくんは非常におとなしい性格で、気の強い関口君や佐々木君たちから嫌がらせにあってもやり返したりせず、いつもじっと耐えていました。
まる子と同じく朝起きるのが苦手なたかしくんは遅刻をすることが多く、それを関口君たちに責められ、手をあげられる日々が続きます。
あるとき、クラスメイトたちは、たかしくんが給食の時間に苦手な牛乳を残しているのを目ざとく見つけ、彼はいつものように嫌がらせを受けていました。
さらに、関口君たちはたかしくんが大切にしている犬のアップリケがついた給食袋を「女みたい」と笑い、踏みつけてしまいます。それはたかしくんの母親のお手製の給食袋でした。
その様子を見たまる子は激怒し、
「たかしくんに謝りなよ!毎日、いじわるしたことを謝りなよ!」
と叫びます。
逆ギレした関口君は「お前も痛い目に遭いたいか!」と怒鳴ってまる子を突き飛ばし、よろけたまる子は、掲示板に頭を打ち付け流血したのです。
その瞬間、クラスは騒然となり、親友のたまちゃんは悲鳴を上げました。
まる子は手に付着した自分の血を見て、「どうしよう、学校でぶたれてケガしたなんて言ったら、お母さん泣いちゃうよ……」と涙ぐみます。
その夜ぐっすり眠るまる子を見て、母のすみれが「まる子、もうケガなんてしないでよ……」と囁くのでした。
このエピソードは、いじめについて考えさせられる一方、視聴者からは「関口と佐々木が不快すぎる」「胸糞悪い」との声があったとされています。
普段、愉快な話が多いからこそ、『ちびまる子ちゃん』の世界観の中では異端なエピソードといわれているのかもしれません。
詳しく読む⇒不謹慎、過激……今の時代では放送できない? 『ちびまる子ちゃん』4つの問題エピソード
〈文/アニギャラ☆REW編集部 @anigala01〉
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