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 『千と千尋の神隠し』(以下、『千と千尋』)が1月2日に『金曜ロードショー』で放送されましたが、『千と千尋』で描かれているような“神様たちをお風呂に入れてあげる”という文化にピンとこない人も多いでしょう。

 ですが、神様たちをお風呂に入れてあげるという考え方はちゃんと日本に存在する概念であり、それを知ることで、大根の神様である“おしらさま”たちが、油屋に来た本当の理由が分かるはずです。

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◆『千と千尋』の元ネタ? 神様をお風呂に入れてあげる「霜月祭」とは?

 神様たちをお風呂に入れて元気にしてあげる──という考えの元ネタがあることは、公開当時の劇場パンフレットをはじめ、多くの関連書籍で言及されています。

 その元ネタというのが静岡・岐阜・長野といった地域で旧暦の11月(現在の12月)に行われる民間のお祭りである“霜月祭”です。

 複数の地域で催されるお祭りではあるのですが、中でも有名なのが長野県南部の遠山郷に伝わる遠山祭です。

 小さなカマドに湯を煮えたぎらせて、日本全国の神々を招いて湯を献じ、さらにそのお湯を我々も浴びることで新年の生命再生を願うというものです。

 多くの神様を迎え、お湯に浸かってもらうというのは、まさに『千と千尋』の設定。宮崎駿監督も「そういうの大好きですから」と参考にしていたことを明言しています。

 具体的にどういった神様がやってくるのか、といった部分がまた『千と千尋』の面白いポイントです。

 鬼のような姿をしたものや、ヒヨコのような姿をしたもの、白くて巨大な得体のしれないものなど、古くから描き伝えられてきたような従来の妖怪や神様の造形とはまったく別の意匠を意識してデザインされているところが、これまた本作の注目しておきたい部分です。

 たとえば、千尋をエレベーターで救ってくれる白くて巨体の神様は“おしらさま”と命名されていて、大根の神様という設定があります。おしらさま自体は各地に農業の神様として伝承が残っているものの、独自の解釈で“大根”として描かれています。

 唯一、そのまま引用されている神様がいて、それが船から降りてくる紙のようなお面を付けた神様である“春日さま”です。

 このお面のデザインは春日大社のお面が元ネタであり、劇場パンフレット内でも監督自身が「ただ春日大社のお面だけは、写真を見て、こんなにすごいものがこの世にあったんだと思ってびっくりして、参考にさせて頂きました。」と明言しています。

 

 ──『千と千尋』は今や世界に誇るアニメーション映画の一つとなっていますが、日本人自身にとっても日本の国の文化を再発見できる映画となっているといえます。

〈文/ネジムラ89〉

《ネジムラ89》

アニメ映画ライター。『FILMAGA』、『めるも』、『リアルサウンド映画部』、『映画ひとっとび』、『ムービーナーズ』など現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。映画『ミューン 月の守護者の伝説』や映画『ユニコーン・ウォーズ』のパンフレットにライナーノーツを寄稿するなどその活動は多岐にわたる。noteでは『アニメ映画ラブレターマガジン』を配信中。X(旧Twitter)⇒@nejimakikoibumi

 

※サムネイル画像:スタジオジブリ公式Webサイトより 『「千と千尋の神隠し」場面写真 (C) 2001 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, NDDTM』

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