自由人で我が道を進むタイプのうさぎは1人で行動することが多く、いつも誰かと一緒に行動したり自ら深く関わったりすることをしません。そのため、初めの頃はちいかわに対してもあまり優しさが感じられないところがあり、意地悪をされてちいかわが涙することもあったのです。

 ですが、ちいかわやハチワレと一緒に過ごすことが増えたことで理解を深められるようになったようで、原作やアニメが進むにつれて信頼関係やうさぎなりの優しさを感じられるようになりました。そんな信頼関係の中にはこれまでのうさぎからは想像ができないような、ちいかわやハチワレを助ける行動であったり寄り添うシーンがありました。

 自由と意味の分からないものを好むうさぎですが、大切な友達だと認めるちいかわとハチワレにどんな優しさを届けているのでしょうか?

◆傷つけられないように敵から守ってくれる

©ナガノ/ちいかわ製作委員会

<画像引用元:『ちいかわ』アニメ公式Twitter(@anime_chiikawa)より ©ナガノ/ちいかわ製作委員会>

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 警戒心が強いことも影響して誰かと馴れ合うことを避けていたのか、初めの頃のうさぎはちいかわやハチワレとの間に距離感が感じられました。2人のことがどんな子なのか分からなかったこともあり、少しずつ関わりを増やしながら様子を見ていたのかもしれません。

 そのため、以前のうさぎは誰かが困っていても自ら進んで助けるようなことはなく、危機的状況な場面であっても見ていることが多かったのです。特にちいかわとは早くに出会って顔を合わすことが多かったものの、優しさを向けるようなことはなく意地悪をしては怒られることがありました。

 ですが、ちいかわやハチワレと一緒に過ごす時間が増え、2人を友達と認めることができたからこそ信頼関係が生まれたのでしょう。大きな討伐に向かうエピソードではこれまで以上にちいかわやハチワレに向けたうさぎの優しさが感じられました。

 以前から「3人で大きな討伐をしてみない?」と、心の中に抱いている想いをたびたびこぼしていたハチワレ。念願の大きな討伐に向かうと初めてだからこそ、不安や緊張そして恐怖心を抱くちいかわとハチワレでしたが、いつもと変わらずどこか余裕のうさぎがいました。

 一人だけ余裕のうさぎだったこともあり、恐怖や不安からちいかわが涙してしまったときには「無理だったらリタイアすれば良いよねッ!」と、ちいかわに寄り添う言葉をかけてくれたハチワレ。ですが、何か呟くようなことはなかったものの、同じように大きい討伐を楽しみにしていたのかハチワレの言葉を聞いたうさぎは「ハァ?」と、戦うことを訴えるかのように繰り返し呟いていました。

 敵が現れると誰よりも早く戦闘モードに切り替えて、持っていた武器を持ち替えるうさぎ。すると、緊張していたハチワレと同時に駆け出すと「周り込め……ッ!」というハチワレの言葉の通り、うさぎは自ら進んで敵の正面に回り込みます。

 攻撃をしかけるチャンスをうかがいながら追いかけていると、タイミング悪く敵のしっぽに当たって飛ばされてしまうハチワレ。そんなハチワレの姿にびっくりしながらも涙を流してちいかわが駆け寄る中、うさぎが2人を大切に想う優しい行動がみられました。

 ハチワレが飛ばされてちいかわが寄り添っていると、敵に襲われないように武器を構えて2人を守るように立ってくれていたうさぎ。以前のうさぎであれば危険が起これば助けてはくれたものの、ちいかわやハチワレを守る行動は見られなかったでしょう。こうしたささいな行動から、ちいかわやハチワレだけではなく、うさぎも2人のことを大切に想っていることが感じられました。

 普段は自由な振る舞いばかりで意地悪をしてしまううさぎですが、うさぎも2人のことを大切な友達だと想っているためこのような行動が取れたのでしょう。だからこそ、敵が現れたときには「2人を守らなければ……!」「先陣切って戦わないと!」などと想っていたからこそ、誰よりも早く戦闘モードに気持ちを切り替えられたのかもしれません。

 また、敵が現れる前には「リタイアしたくない!」と、不満をハチワレに嘆いていました。ですが、ちいかわやハチワレの状態を見てリタイアを選択するシーンも、うさぎがどれほど2人を大切に想っているのかという優しい気持ちが感じられました。

 ちいかわやハチワレのように友達に対する想いを素直に出す子ではないものの、いざというときには間に入って守ってくれる優しさを持っているのです。

◆独り占めせずに友達と共有するうさぎ

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<画像引用元:『ちいかわ』アニメ公式Twitter(@anime_chiikawa)より ©ナガノ/ちいかわ製作委員会>

 食べ物には目がなく食欲旺盛な性格のうさぎは初めの頃「たくさん食べたい!」「誰にも分けたくない!」という気持ちが大きく、誰かと仲良く分け合うということがありませんでした。そのため、まだそれほど仲良くなかった頃にちいかわが近寄っても、独り占めして分けてくれることがなかったり意地悪や騙してしまうことがあり、弱いちいかわから食べ物を奪ってしまうこともしばしば。

 ですが、ちいかわやハチワレとの関わりが増えて2人のことを「大切な友達」と、認識するようになると「自分だけで食べたい」「独り占めしたい」という気持ちよりも、みんなと一緒においしいを共有したいと感じられる行動が増えました。

 これまでは誰かと深く関わることがそれほどなかったからこそ、正しさや間違いが分からなかったのでしょう。みんなで一緒に過ごすことが増えてお互いにどんな性格で、どのような考えを持っているのかを理解できるようになったことが大きいのかもしれません。

 3人で何かを食べるときにはちいかわが言い出せないこともあり「ウインナーひとり一個ねッ!」「レモンここまでお願いッ」など、ケンカをしないようにハチワレが教えてくれるシーンがありました。うさぎの性格を少なからず理解しているからこそ、みんなで平等に分けられるように言ってくれたことが感じられます。

 このように一緒に過ごす時間が増えて「友達とは分け合うもの」といって理解できるようになったからこそ、うさぎの行動には素直に心からの想いが感じられるようになったのでしょう。

 普段からいろんなところに出かけているうさぎは、ちいかわやハチワレが知らない場所を知っていることが多いもの。そのため、食べ物がある場所を見つけると「こっち! こっち!」といって2人に教えてくれたり、分け合わないといけないときには空気を読んでちいかわやハチワレに譲ることが多くなりました。

 こうして友達の2人には心を開いていることもあり、以前よりもかなり優しさを与えてくれるようになったうさぎ。ですが、友達と認識していない相手には当然冷たく厳しい対応をするシーンもあったのです。

 モモンガは、誰に対してもなんでももらおうとねだってしまうことがあり「よこせッ!」と、うさぎにも食べ物を求めていました。ですが、うさぎはモモンガのことを友達と認めていないことで分け合う気持ちがなく、うさぎのいたずら心が顔を出して煽ったりしてしまうようなこともあったのです。

 友達と認めていない相手には、おちょくっているような接し方をしてしまうもの。ですが、うさぎの中で大切だと気持ちが変化したときには「みんなで気持ちを共有したい」という優しい想いが存在しているのでしょう。

◆心配して元気づけようとしてくれる

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<画像引用元:『ちいかわ』アニメ公式Twitter(@anime_chiikawa)より ©ナガノ/ちいかわ製作委員会>

 自由人なうさぎは馴れ合うことを好まず一人で行動することばかりでした。そのため、これまで誰かに心配や気にかけてもらったり、反対に誰かを強く意識したり寄り添えなかったのです。

 だからこそ、ちいかわやハチワレとの距離をどのように縮めていけば良いのかなど、分からなかったのかもしれません。何度もちいかわにちょっかいをかけては、目撃されたくりまんじゅうに怒られてしまうシーンがありました。

 ですが、ちいかわやハチワレと友達になって一緒に過ごすことが増えると、お互いにさまざまなことを教え合っていく中で、これまでうさぎがしなかったような行動が何度もあったのです。

 とあるスイッチがきっかけで怪しげな洞窟にたどり着いた3人。ただならぬ雰囲気に、ちいかわとハチワレが不安そうに眺めていると、好奇心旺盛なうさぎは突っ走って洞窟の中に入ってしまいます。そんなうさぎのあとを慌てて追いかけるハチワレと、涙を流しながらも着いていくちいかわ。

 そんな洞窟の中で出会った小さなカブトムシの子。一度は洞窟の中で「また来るねッ」と告げて別れたものの、いつの間にかちいかわに着いてきてしまったようで、一緒に過ごす生活が始まります。

 ちいかわだけではなく、ハチワレやうさぎとも仲良くなり、いつしか大好きな友達になっていた中……労働の鎧さんの言葉でカブトムシが擬態型だと分かりました。

 せっかく仲良くなれたのに別れたくない想いから、ちいかわがカブトムシの子を連れて逃亡してしまいます。ですが、カブトムシからおもてなしをされたことで「勘違いしちゃって、すまん」と、労働の鎧さんに友好型の判断をもらえて安心します。

 この安心した瞬間を狙っていたかのように突然、カブトムシが擬態型に変化してしまったのです。追いかけてくるカブトムシに捕まらないように労働の鎧さんに抱えられながらみんなで逃げる中、抱えられているからこそ余裕の表情を見せていたうさぎ。

 こうして突然にもカブトムシとお別れになってしまったことで、特に一緒に過ごしていたちいかわは深く落ち込んでしまいます。誰かと一緒にいるときは笑顔を見せているものの、一人になると涙があふれてしまうちいかわ。

 そんな元気に振る舞う姿を心配してハチワレと一緒に、うさぎは、ちいかわの元へ来てくれたのでした。馴れ合うことを嫌っていると「大丈夫かな……」などと心配することもなく、ハチワレに付き添うこともないハズ。

 ですが、ちいかわを元気づけるためにハチワレと一緒に何かを持って行く姿は、うさぎからも心配の気持ちと優しさがとても感じられました。自己主張が強いうさぎだからこそ嫌なときは無理に付き添うこともなく、はっきりハチワレに断ってしまうでしょう。

 こうして馴れ合いが苦手だったうさぎが友達の心配をして寄り添う姿に、温かさと優しさが感じられたはずです。

 ──自由人で我が道を進むタイプのうさぎ。ですが、一緒に過ごす時間が増えてちいかわやハチワレのことを、大切な友達だと想っているからこそ、困っていたら助けたり気持ちに寄り添うことができるようになったのかもしれません。

 時には暴走してちいかわやハチワレが振り回される姿がたびたび見られます。こうしたときにも自分の気持ちだけではなく2人を気遣ったり、心の奥に隠している気持ちの存在を知ると奇声を発したりするのは、ちいかわとハチワレを想うゆえの照れ隠しだと思うと愛おしく感じてしまうでしょう。

〈文/柳瀬蓮 @_prince0807_

《柳瀬蓮》

元キャバ嬢ライター。脚本、エッセイ、アニメ以外では主にスピリチュアルや恋愛について、さまざまなメディアで執筆中。赤髪やピアスで派手な見た目をしているものの中身はふわふわしている人。誰かを傷つけてしまわないような記事を心がけています◎。10年の夜職経験を生かし『アニギャラ☆REW』では「アニメで学ぶ恋愛術」を連載中。

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