『ちいかわ』の新作アイテムが発表されるたびに、SNSでは歓喜の声と同時に「今回も買えないかも……」という不安の声が上がります。一瞬で完売し、数分後にはフリマアプリに定価の数倍で並ぶ光景に、心を痛めている『ちいかわ』ファンも多いでしょう。

<画像引用元:ちいかわマーケット 公式グッズショップより 『「Chiikawa Baby(ちいかわベビー)」第2弾グッズ (C)nagano』>
現在、『ちいかわ』の人気は日本国内のみならず海外にも広がっており、転売目的の買い占め行動は以前にも増して巧妙になっています。
しかし、運営側も黙って見ているわけではありません。2025年から2026年にかけて、ファンの手元に直接グッズが届くような強力な対策が次々と導入されています。
この記事では、アニメ・漫画業界の動向に詳しいライターが、転売を巡る最新のルールや公式の動き、そして何より大切な「自力で定価でゲットするための具体的なテクニック」を徹底解説します。
◆1 なぜ『ちいかわ』はこんなに狙われるの? 背景にある問題
転売ヤーが『ちいかわ』を狙うのは、たんに人気があるからだけではありません。そこには、ファンの「どうしても欲しい」という心理を巧みに突いた、計算された仕組みがあります。
●希少性と「ランダム」の心理学
『ちいかわ』グッズの多くは、特定のイベントや期間限定のコラボで販売されます。特に「中身を開けるまで何が入っているか分からない」ランダム仕様(ブラインド形式)の商品は、コンプリートを目指すファンの心理を強く刺激します。転売ヤーはこの「揃えたいけれどなかなか揃わない」というもどかしさを利用し、あらかじめ全種セットを高額で用意するなど、ファンの弱みに付け込む形で利益を得ようとします。
●過去の大きな騒動から学んだこと

<画像引用元:日本マクドナルド公式X(@McDonaldsJapan)より (C)nagano/chiikawa committee>
2025年5月に起きたマクドナルドのハッピーセット騒動では、わずか3日間で全国的に完売する店舗が続出しました 。この際、特典だけを抜いて食品を大量廃棄する様子が拡散され、企業の設計ミスを指摘する声や、「本当に欲しい子供たちが買えない」という悲痛な叫びがあふれました。こうした苦い経験を経て、2026年現在の『ちいかわ』関連ビジネスでは、「ファンの手に直接、確実に届く仕組み」がより一層強化されています。
ハッピーセット®ちいかわは、5/16(金)から!#ちいかわ pic.twitter.com/YmrYVspA0w
— マクドナルド (@McDonaldsJapan) April 15, 2025
◆2 実はリスクだらけ? 転売にまつわる「これだけは!」というルール
「不要になったものを売る」のは個人の自由ですが、はじめから利益目的で行う転売行為は、法的に厳しく制限される場合があります。
●「趣味」の範囲を超えると法律違反になる可能性
自分のコレクション整理でメルカリに出すのは問題ありませんが、「転売目的で仕入れ、反復継続して売る」行為は、法律上「古物営業(こぶつえいぎょう)」とみなされる場合があります。この営業を行うには警察の許可(古物商許可)が必要で、無許可で行っていると判断された場合、「3年以下の懲役または100万円以下の罰金」という非常に重いペナルティが課される可能性があります。
●偽物(コピー品)を売る・買う怖さ
最近は、公式の商品をコピーした偽物が驚くほど精巧になっています。ぬいぐるみの手触りが本物より硬かったり、タグのフォントが微妙に違ったりと、一見しただけでは判別できないものも増えています。
こうした偽物であることを知りながら正規品と偽って売ることは、詐欺罪や商標法違反に問われ、実際に逮捕者も出ています 。
2025年2月には、アニメグッズの無許諾複製物を販売目的で所持していた大学生が、著作権法違反の疑いで逮捕される事例も起きました。
また、転売品を買う側も「初期不良があっても公式の交換サポートを一切受けられない」という大きなリスクを背負うことになります。
●稼ぎすぎたら「確定申告」が必要
転売での所得(売上から経費を引いた利益)が年間20万円を超えた場合、原則として所得税の確定申告が必要になります。
2026年現在はフリマアプリのデータ監視も強化されており、税務署は個人の取引を把握しやすくなっているため、ルールを軽視するのは禁物です。
◆3 【実践】転売ヤーに頼らず「定価」でグッズを手に入れる攻略法
転売ヤーに利益を渡さず、定価でグッズを手に入れて公式を応援するための、具体的なテクニックを紹介します。
●公式サイトの「再入荷通知」と「メルマガ」をフル活用する
まず真っ先に実践すべきなのが、公式オンラインショップ「ちいかわマーケット」の機能を活用することです。
売り切れの商品ページにある「再入荷通知」ボタンを押しておくと、キャンセル分が復活した際などに最速で通知が届くようになります 。
これと並行してメールマガジンの登録も欠かせません。新商品の告知や受注販売のスタート時期は、SNSよりもメルマガのほうが詳細かつ確実に届くことが多いためです 。
SNSの情報の波に飲み込まれる前に、自分だけに直接届く公式からの情報を掴むことが、購入への近道になります。
●「受注生産」の発表を待つ粘り強さ
最近の運営は、ファンの強い要望を受けて「受注生産(予約すれば期間内は全員買える)」へと切り替えるケースが増えています。
2025年には、新作ぬいぐるみのランダム販売への批判を受けて、わずか1日で予約販売への切り替えが発表されました。
また、2026年のハッピーバッグ(福袋)も受注生産形式が取られており、期間内に申し込めば確実に手に入るようになっていました。
発売日に即完売したとしても諦めず、公式から受注販売のアナウンスが出ないか数日間は様子を見ることが、定価購入への鍵です。
●スマホアプリ『ちいかわぽけっと(ちいぽけ)』の連動

<画像引用元:ちいかわぽけっと公式Webサイトより (C)nagano / chiikawa committee Developed by Applibot, Inc.>
2026年から本格始動しているアプリ『ちいかわぽけっと』は、もはやたんなるゲームアプリではありません。
アプリ利用者限定の先行予約枠や、アプリユーザーだけが参加できるポップアップストアの入場抽選など、コアなファンを優遇する仕組みが取り入れられています。
アプリ内のニュース機能を毎日チェックすることで、一般公開前の貴重な情報を得られ、競争率を大幅に下げられます。
●各店舗のSNS「通知ON」設定
「ちいかわらんど」の各店舗は、その日の在庫状況や再入荷情報をリアルタイムで発信しています。
特によく行く店舗のアカウントをフォローし、投稿の「通知」をONにしておきましょう。
これにより、仕事や学校帰り、あるいはふらっと立ち寄ったタイミングで、運良く再入荷したばかりの商品を定価で手に入れられる確率が劇的にアップします。
●「LivePocket」での事前予約と本人確認
新商品の発売日などは、実店舗でも事前予約制(LivePocket)が導入されます。
これは入店時間を事前に決める仕組みですが、入店時に「公的身分証明書による本人確認」が極めて厳格に行われます。
名義を偽った多重予約は無効化されるため、以前のように転売グループが大量に人員を雇って並ばせることが物理的に難しくなっています。
◆4 2026年、さらに進化する「転売包囲網」の現状
企業やフリマアプリ側も、最新技術を駆使して転売対策を強めています。ここでは、2026年現在の主要な取り組みを詳しく見ていきましょう。
●メルカリのAIによる不正予兆検知と「全額補償」
「メルカリ」は、2025年から2026年にかけて「安心・安全なマーケットプレイスの実現」を掲げ、構造的な転売対策を導入しました。
・AIスコアリング: 過去の取引履歴や行動パターンをAIが分析し、違反が発生する前の「予兆」段階で不正な買い占めや大量出品を検知します。疑わしいアカウントは未然に凍結される仕組みです 。
・全額補償プログラム: eKYC(本人確認)を完了している正規ユーザーが万が一不正な取引に巻き込まれた場合、代金が上限なく補償される制度が整い、利用者が安心して使える環境が作られています。
●楽天ラクマの規約改定(2026年1月22日施行)
楽天グループが運営する「楽天ラクマ」も利用規約を大幅に改定し、2026年1月22日より適用されます。
今回の改定では、「健全な取引環境を確保することが困難である」と運営が判断した出品に対し、より広範かつ迅速に制限をかけられる体制を整えています。
これにより、社会的な問題となっている買い占め商品や、不適切な出品形態への規制がさらにスピーディーに行われるようになります。
●公式ショップの「自動キャンセル」と「個数制限」
「ちいかわマーケット」などの公式ショップでは、システムの裏側で高度な不正検知が稼働しています。
・重複注文の排除:1人あたりの購入個数制限を厳守させるため、複数のアカウントを使い分けたり、同じ配送先住所を指定したりする「多重注文」を自動で検知し、キャンセルするシステムが強化されています。
・カート確保の仕組み: カートに入れただけでは在庫が確保されない仕様により、一部の人が大量にキープして他者の購入を妨げる行為を防いでいます。
●プロの転売ヤー(事業者)への徹底した規制
2025年後半から、主要なフリマアプリでは「事業者による個人アカウントの利用」が原則禁止されました。
転売を「ビジネス(事業)」として行っている人は個人アカウントを使えなくなり、より審査の厳しい専用アカウントへの移行が義務付けられています。これにより、組織的な転売グループの活動が可視化され、規制しやすくなっています。
◆ちいかわの未来を守るために
ちいかわたちが不条理な世界でも懸命に、そして仲間を思いやりながら生きる姿に、私たちは日々癒やされています。その大切な世界観が、転売という「誰かを悲しませる行為」によって損なわれてはいけません。
私たちファンができる最も強力な対策は、シンプルですが「転売品には一切手を出さない」という選択を貫くことです。転売ヤーは利益が出るからこそ買い占めを行いますが、私たちが買わない選択を貫くことで、彼らの不当なビジネスは成立しなくなります。その結果、市場には定価の商品が残り、公式による再販や受注生産の機会がさらに増えるという、ファンにとっても運営にとっても良い循環が生まれます。
これからも公式が発信する正確な情報を信じ、入店予約や購入制限といったルールを一人ひとりが誠実に守りながら、みんなで仲良く「ちい活」を楽しんでいきましょう。
私たちの正しい行動の積み重ねこそが、ちいかわたちが長く愛され続け、誰もが笑顔でグッズを手に取れる明るい未来を作っていくのです。
〈文/士隠カンナ 編集/水野高輝(マネーWebメディア コンテンツディレクター)〉
《士隠カンナ》
1990年〜2000年代に放送されたアニメに中学・高校の頃にどっぷりとハマり、その後フリー編集・ライターに。主にアニメ・漫画のムック本のブックライターといて活動中。最近のマイブームはもっぱら『ちいかわ』。
※サムネイル画像:ちいかわマーケット 公式グッズショップより 『「Chiikawa Baby(ちいかわベビー)」第2弾グッズ (C)nagano』
▼参考Webサイト等
・古物商許可申請をされる方へ(警視庁)
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/kobutsu/kaisetsu/kobutsu_shinsei.html
・古物営業法 第六章 罰則 第三十一条
・MRO北陸放送 6ch 「「ぼっち・ざ・ろっく!」「推しの子」の偽キーホルダーをフリマで販売した疑いで大学生逮捕 金沢市」2025年2月28日配信記事
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/mro/1759502
・国税庁Webサイト「スマホで確定申告(副業編)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2019/kisairei/sp/pdf/03.pdf
・メルカリ、安心安全に関する新たな2つの約束と3つの取り組みを公開(メルカリWebサイト)
https://about.mercari.com/press/news/articles/20250521_anshinanzen/
・【重要】ラクマのルール改定に関する事前お知らせ(ラクマplus)
https://fril.jp/magazine/rule-20251222/
▼参考Webサイト等
・古物商許可申請をされる方へ(警視庁)
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/kobutsu/kaisetsu/kobutsu_shinsei.html
・古物営業法 第六章 罰則 第三十一条
・MRO北陸放送 6ch 「「ぼっち・ざ・ろっく!」「推しの子」の偽キーホルダーをフリマで販売した疑いで大学生逮捕 金沢市」2025年2月28日配信記事
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/mro/1759502
・国税庁Webサイト「スマホで確定申告(副業編)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2019/kisairei/sp/pdf/03.pdf
・メルカリ、安心安全に関する新たな2つの約束と3つの取り組みを公開(メルカリWebサイト)
https://about.mercari.com/press/news/articles/20250521_anshinanzen/
・【重要】ラクマのルール改定に関する事前お知らせ(ラクマplus)
【重要】ラクマのルール改定に関する事前お知らせ



