劇場版『名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック)』の公開が、きょう4月18日から始まりましたが、原作では、長年の謎だった黒ずくめの組織のボスが烏丸蓮耶だと分かりました。そんな中、気になるのが「あの方のお気に入り」と呼ばれるベルモットの存在。二人の関係にはどんな秘密が隠されているのでしょうか。

◆「お気に入り」といわれる烏丸とベルモットの特別な関係

 黒ずくめの組織の中でも、烏丸から信頼を寄せられているベルモット。ジンはベルモットについて、「あの女が……あの方のお気に入りだとしてもな……」 と口にしており、ベルモットと烏丸の特別な関係がうかがえます。

 またバーボン(安室透)が発した、「組織のメンバーが知ったら驚くでしょうね……まさかあなたがボスの……」 というセリフも意味深です。

 ここで気になるのは、「ボスの……」のあとに続く言葉。娘、母親、妻、恋人など、血縁や親密な関係を連想させるものが浮かびます。

 またバーボンの消息が絶たれた場合、組織内にベルモットとボスの関係がリークされる手筈になっていると言われ、バーボンに手出しができなくなったベルモット。つまりベルモットにとって「烏丸との関係」は、それほどまでに隠さなくてはいけない秘密だということ。

 仮に恋仲であれば、既に「お気に入り」として知られている以上、隠す必要性も薄いはずです。

 年齢や幼児化の秘密と密接に関わる血縁関係だからこそ、徹底的に伏せているとは考えられないでしょうか。

 2018年12月に出版された『名探偵コナンBLACK PLUS SDB(スーパーダイジェストブック)』(出版社:小学館)の青山剛昌先生のコメントも気になる点です。読者からの「ベルモットとボスの関係」に関する質問に対し、「えええ!?そ、そうなのか……って感じです」という返答をしていました。

 ただの組織内の上下関係であれば、このようなリアクションは生まれないでしょう。ですが血縁関係であるとしたら、この反応も納得です。

◆「私の元へ帰って来ておくれ」の真意とは?

 ベルモットと烏丸の関係性を考察するにあたって見逃せないのが、作中に登場した一通のメール。「どうやら私はお前を自由にさせ過ぎたようだ。私の元へ帰って来ておくれ」という烏丸からベルモットに送られたメール からは、強い支配と帰属のニュアンスを感じます。

 「自由にさせ過ぎた」「私の元へ帰って来ておくれ」など、ベルモットを「自分のモノ」のように認識しているような文面であり、血縁者など身内への言葉として捉えると、非常にしっくりくる内容です。

 一方で、ベルモットも烏丸について「ボスは慎重居士……石橋を叩きすぎて壊しちゃうタイプだから……」 と、その性格を熟知している様子。二人の間には、長年の付き合いや深い関係性があることが分かります。

◆ベルモットが“シルバーブレット”に新一だけを望むワケ

 コナン(工藤新一)に対し、「長い間待ち望んでいたシルバーブレットになれるかもしれない」 と期待を寄せているベルモット。なにかしらの理由で「組織の壊滅」を望んでいると考えられます。

 「組織の壊滅」を望むのであれば、同じく“シルバーブレット”と称される赤井秀一でも良さそうなもの。しかし彼女は「シルバーブレットは……1発あれば十分よ……」と新一だけに賭けているのです。

 その理由はやはり、ニューヨークでの一件が大きく影響していると考えられます。ベルモットを命がけで救った新一の「悪人でも助けるのに理由は要らない」という信念こそ、彼女が求めているものなのでしょう。

 もしベルモットが烏丸の血縁者であり、組織のプロジェクトには反発しつつも、ボスを直接傷つけることは望んでいないとしたら。烏丸の命を奪わずに組織を壊滅させられる唯一無二の存在として、新一の活躍を切望しているのかもしれません。

◆ベルモットが灰原哀を憎むホントの理由

 「彼女だけはこの世にいてはいけないのよ......」 とまで語るほど、ベルモットが強く憎んでいる人物が、灰原哀(宮野志保)。

 「こんな愚かな研究を引き継いだあなたの両親を……」 という発言も見られ、どうやらベルモットの憎しみは灰原自身というより、薬の研究やその継承に向けられているようです。

 この憎しみの理由はどこにあるのか。注目すべきは、コミックス第106巻に登場した「黒塗りの赤ちゃん」です。読者の間では、この「黒塗りの赤ちゃん」が、幼児化した烏丸蓮耶ではないか、という考察が広まっています。

 もしも烏丸が薬によって赤ん坊にまで幼児化しているとしたら──。灰原がAPTX4869の解毒薬を完成させてしまうことで、烏丸を元の姿に戻す可能性が生まれてしまいます。

 つまり、ベルモットにとって灰原は「組織を壊滅させる望み」に対する最大の障害なのです。彼女が望む組織壊滅の未来をすべて台無しにしてしまう存在。それが、灰原哀だといえます。

 

 ──ベルモットと烏丸蓮耶の関係には、まだ明かされていない謎が残されています。多くの意味深なセリフや思いが交錯する中で、少しずつ物語の核心に迫る『名探偵コナン』。コナンが本物の“シルバーブレット”となり、ベルモットの真意が明かされる日も近いのかもしれません。

〈文/鷹野あやね〉

 

※サムネイル画像:Amazonより

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