劇場版シリーズとしては28作目となる『名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック)』が4月18日(金)より公開が始まりました。今回の映画では、普段は情けない場面が多い毛利小五郎にフィーチャーしているほか、シリーズとしては初めて長野県警の面々の活躍を描く映画となっています。
『名探偵コナン』の劇場版シリーズといえば、原作者である青山剛昌先生が製作にも密接に関わっていることでもおなじみの作品。今回の映画でも実は原作でも明かされていない長野県警チームの過去が明かされている映画となっていたのです。
◆17年越しに明かされる!大和警部の隻眼の秘密
今回の映画で活躍する長野県警チームの登場は遡ること17年前。原作コミックス59巻に掲載された「風林火山」のエピソードにて初めて大和勘助警部と上原由衣刑事が登場しました。
このころはまだ上原刑事は一時的に刑事を辞めていた時期であったり、諸伏高明警部は未登場。諸伏警部は2年後の原作コミック65巻で初めて登場します。
『名探偵コナン』は基本的に作品の舞台が東京ということもあり、長野県警の面々の出番はどうしても不定期になりがちです。しかしそれでいて、大和警部は意味深に隻眼という設定があったり、諸伏警部は黒の組織にスコッチとして潜入していた公安の景光と兄弟という設定があったりと、ただのサブキャラクターとも言い難い特徴を持っているのも特徴。幼馴染であったりライバルであったりと3人の関係性にも見所が用意されていたりと、コアな人気を獲得しているとも納得のメンバーです。
そして、『名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック)』ではついにそんな設定の中でも長らく具体的な内容が描かれてこなかった大和警部が隻眼となってしまった事件が描かれると発表されました。
これまで雪崩の事故に遭い、隻眼と杖をつくようになってしまったことは明かされていましたが、過去のできごととして軽く語られるのみでした。しかし、今回の映画では満を持してその事故の具体的な内容が描かれます。
⋱ #隻眼の残像 公開記念❄️ ⋰
青山剛昌先生 ⋆͛本作でのこだわりポイントや
舞台となる長野県での思い出など
聞いてみました— 劇場版名探偵コナン【公式】 (@conan_movie) April 17, 2025
この設定に関して、原作者の青山先生はもう原作内で描くことはないだろうと考えていたよう。今回の映画で脚本を担当した櫻井武晴さんと相談のうえ、設定を練りこんで今回の映画に盛り込まれたと明かしています。まさに原作では描かれなかった内容が、映画で判明しています。
◆TVアニメやYouTubeチャンネルでも長野県警プッシュ!
今回の映画に合わせて実はTVアニメ『名探偵コナン』の放送でも長野県警チームをピックアップした企画が展開されていました。
今年3月22日の放送からは、大和警部と上原刑事が初登場となった「風林火山」シリーズをデジタルリマスター版として3週間に渡って放送。
実は2008年の初放送時は、1時間スペシャルで2回分の放送となっていたのですが、今回の放送で3回の放送になったことで新たに設けられたネクストコナンズヒントのコーナーには、当時はまだ未登場だった諸伏警部が登場するサプライズが用意されていました。
また、放送に合わせて名探偵コナンの公式YouTubeチャンネルでは、青山先生が監修したという撮り下ろし短編トーク動画「長野県警組のナイショ話」が公開。しっかり映画の予習に向けた施策が盛り込まれています。
既に「風林火山」リマスター版の放送は終了していますが、公式YouTubeチャンネルでは映画の公開に合わせた特別セレクションの配信が行われています。
きょう4月20日(日)からは、“風林火山!長野県警セレクション”と題して、「風林火山」のエピソードを皮切りに長野県警チームが出演するエピソードが一日一本ずつ配信されています。
劇場版最新作『名探偵コナン #隻眼の残像』の公開を記念して
公式YouTubeで特別セレクションをお届け‼️4月は…
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放送を見逃したという人も後追いで長野県警チームのこと追っていけるような施策を用意してくれているところがさすがの『名探偵コナン』。普段あまり『コナン』シリーズをマメに追えていないという人にとっては、今年の映画は「知らない」キャラクターの回と思って尻込みしてしまうかもしれないですが、むしろこの機会は入り口にしやすいタイミング。もしかすると長野県警という新たな“沼”にハマれるかも知れません。
〈文/ネジムラ89〉
《ネジムラ89》
アニメ映画ライター。『FILMAGA』、『めるも』、『リアルサウンド映画部』、『映画ひとっとび』、『ムービーナーズ』など現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。映画『ミューン 月の守護者の伝説』や映画『ユニコーン・ウォーズ』のパンフレットにライナーノーツを寄稿するなどその活動は多岐にわたる。noteでは『アニメ映画ラブレターマガジン』を配信中。X(旧Twitter)⇒@nejimakikoibumi