<この記事にはTVアニメ、原作漫画『ダンダダン』のネタバレが含まれます。ご注意ください。>
TVアニメ『ダンダダン』では、EDで描かれた謎の招き猫が第4話でターボババアだと発覚して驚いた視聴者も多いでしょう。
招き猫に意識だけが乗り移ったターボババアは、高倉健(以下、オカルン)たちが力を返す代わりに、落としたオカルンの「タマ」を返却することを条件に協力関係となりました。しかし、そんなターボババアはいまだ多くの謎に包まれています。
◆なぜターボババアはイチモツをねらうのか?
TVアニメ第1話ではオカルンと綾瀬桃(以下、モモ)がそれぞれ宇宙人や幽霊がいることを証明するために、モモがUFOスポットへ、オカルンが心霊スポットへ向かいました。そこで、モモはセルポ星人に、オカルンはターボババアに襲われ、モモは超能力を、オカルンは呪いの力を手に入れます。
このとき、セルポ星人は生殖機能を取り戻すために、モモを襲ったと理由を明かしました。しかし、ターボババアは遭遇したオカルンへ「イチモツしゃぶらせろ」というだけで、なぜイチモツをねらって奪ったのか理由を明かしていません。
おそらく、ターボババアがイチモツをねらっていた理由は、彼女が乱暴されて理不尽な死を遂げた女の子の霊を慰めまわっていたことが関係しているでしょう。
ターボババアとの戦いが終わったあと、モモとオカルン、モモの祖母である星子はターボババアがテリトリーとしていたトンネルへお参りにいきました。
このとき、星子はターボババアが出現する場所には、理不尽な死を遂げた少女の霊がいるという共通点を挙げ、ターボババアは成仏できない少女たちの霊を慰めてまわっていたのかもしれないと語っています。
このことから、ターボババアは少女たちを悲惨な目に遭わせる男性へ恨みが募り、イチモツをねらっていたのかもしれません。
◆少女たちの霊を慰めまわっていた理由は?
それでは、なぜターボババアは少女たちの霊を慰めまわっていたのでしょうか。これは単行本1巻の裏表紙に記載されたターボババア発祥の説となっている姥捨伝説が関係しているのかもしれません。
姥捨伝説とは、食料が乏しかった時代に口減らしのため、山奥に年寄りを捨てていたという伝説です。若者が入山すると置き去りにされた年寄りに追いかけられたという伝説が、ターボババア類の妖怪の発祥とされています。
ターボババアの過去は作中で語られていませんが、伝説通りに山奥へ捨てられて理不尽な死を経験したからこそ、同じように理不尽な死を遂げた同性の少女を慰めているのかもしれません。
作中やおまけでは、そんなターボババアの人柄の良さを裏付けるシーンがあります。
たとえば、原作第34話では、モモが男性に襲われかけた際、招き猫になったターボババアの幸運を招く能力でモモは助かりました。このときモモがお礼を言うと、ターボババアは「この器の能力が勝手に出ただけだぜ」と否定しましたが、モモが助かったことに変わりはありません。
ほかにも、単行本7巻のおまけではターボババアが捨て猫を拾うシーンがありました。雨の日にターボババアが出かけていると、捨て猫を発見して連れて帰ります。そして、モモたちが暮らす神社の境内に猫を匿い、牛乳をあげながら「あきらめるんじゃねえぜ」と励ましてあげるのです。
これらの描写からもターボババアの人柄が十分に伝わってくるでしょう。
◆ターボババアは妖怪の中でも強い?
また、作中の様子から人柄の良さだけでなく、作中上位の実力の持ち主ということも伝わってきます。
たとえば、ターボババアはアニメ第3話で、呪ったオカルンを媒介してオカルンが見たものは全員呪い殺せると豪語していました。
このときにはターボババアとモモの時間しか流れておらず、作中でも屈指の実力を持つ星子の時間ですら静止しています。この呪いだけでも相当に凶悪な能力といえるでしょう。
ほかにも、作中ではどのような状況でも時速100キロを出せる能力や、自在に姿形を変える能力、霊たちを操る能力などを発揮しています。挑発するとすぐ乗ってしまうのが弱点ですが、その点さえなければこの多彩な能力で作中でも上位の実力を持っているでしょう。
それを裏付けるように、作中でターボババアはかなりの強さをみせたアクロバティックさらさらを三下呼ばわりしたり、強力な妖怪からは「さん」付けで呼ばれたりしています。
さらに、作中最強の候補に挙げられるサンジェルマン伯爵と因縁がある様子で、彼を「ハイパージジイ」と呼んでいました。
これらの実力をうかがえる描写から、ターボババアにはこの先に見せ場が待ち受けているかもしれません。そのときには、挑発に乗らず、圧倒的な実力で敵を倒すターボババアの活躍を見たいものです。
〈文/林星来 @seira_hayashi〉
《林星来》
アニメ・漫画に関するWebメディアを中心に、フリーライターとして活動中。葬儀会社やベンチャー企業での社会経験を生かしたビジネス系の記事や、FP2級を保有し金融の知識を生かしたマネー系記事を執筆。また、人には言えない恋愛経験も多く持っており、恋愛系の記事を執筆することもある。