<この記事にはTVアニメ、原作漫画『ダンダダン』のネタバレが含まれます。ご注意ください。>

 かなり驚きの展開でTVアニメ『ダンダダン』の第1期が終わりました。

 第12話「呪いの家へレッツゴー」では、呪われているというジジの家のお祓いにモモとオカルンが訪れるというエピソードでしたが、単独行動で温泉を訪れたモモはそこでおじさんの集団に襲われ、一方のオカルンとジジは、家に隠された謎の空間の存在に気づくというところで終わっています。あまりにも話が途中だったので、今回が最終回だと思わなかった人も多かったでしょう。

 ただし、放送直後にTVアニメ『ダンダダン』第2期が来年7月から放送されることが発表されました。続きが観られることを喜ぶ一方、「これは2期ではなく分割2クールじゃないのか?」という声も上がっています。2期と分割2クールはどう違うのでしょうか。

◆分割2クールってなに? 実は近年増えてきた放送形態

 “分割2クール”とは本来半年間の放送予定を、毎週の放送を途中で一旦中断して期間を置いたのちに続きを放送するというもの。

 2010年以降、この放送形態を取る作品が増えていて、近年では『SPY×FAMILY』や『機動戦士ガンダム 水星の魔女』などのヒット作がこの形態での放送を行っています。

 分割して2クールで放送される作品が多いので、最近は “分割2クール”という言葉を聞きますが、もちろん必ずしも分割“2”クールに限られているわけではありません。

 前半2クールと後半1クールで分けられた『うしおととら』であったり、年に1クールペースで新作を放送していて現在第3クールまで制作されている『BLEACH 千年血戦篇』というシリーズなども存在します。

 かつてはエピソードの途中で毎週の放送を一旦中断することは滅多になかったのですが、制作環境を整えるためであったり、関連商品やイベントの実施などを挟むためであったり、人気の具合から作品展開の戦略を練り直せるといった複合的な理由で、こういった放送形態を取る作品が増えてきました。 

◆なぜ今回引っかかりは生まれた? 『ダンダダン』は分割2クールなのか?

 ではなぜ、今回のTVアニメ『ダンダダン』は第2期なのか分割2クールなのかといった点が話題になっているのでしょうか。

 理由は2つあって、まずTVアニメ『ダンダダン』第12話があまりにも話の途中で終わっているので、続きがすぐ作られる予定だったのでは? と推測しやすかったからでしょう。

 分割放送作品は、ある程度放送中断前で一区切りさせるようなエピソードを用意することも多く、TVアニメ『ダンダダン』のようなあまりにも話の途中を節目を例とすることは珍しいです。

 もう一つの理由は今回の続編の発表では、あまりにも続き物となっているのに公式で「2期」という呼称で発表しているせいでしょう。

 一年も経たないうちに続編が制作される上に、はっきりと続きものならもっと別の呼び方じゃないのか、という違和感が生まれているのでしょう。

 呼称についてはややこしい部分もあり、作品によっては第●期と呼んだり、第●シーズンと呼んだり、●●編といった独自の呼称を付けたりと呼び方はさまざまで、はっきりとした定義はありません。

 ただオフィシャルの立場から分割●クールとアナウンスすることはほぼないので、TVアニメ『ダンダダン』が2期と呼称しているのはおかしい話ではないです。

 しかしほかのアニメ作品たちの前例を踏まえると、ここまで話の途中で区切るのであれば「別の言い方にした方が違和感は生まれなかったかも」とも思えます。

 とはいえ、続編が作られることやそれがそう遠くない未来なのは嬉しい人が多いでしょう。実際に分割の“2”クールなのか放送予定は現時点では分かりませんが第2期ではまとまった形で、この続きが観られるでしょう。

◆分割が当たり前の時代に? ついにあの作品も中断中

 注目点として、今TVアニメ作品は人気作品や長期作品は分割して放送するのが普通になってきている点です。最近では総集編などを挟みつつ放送を継続してきたTVアニメ『ONE PIECE』がエッグヘッド編の放送を一旦中断すると発表しました。

 従来の放送枠では魚人島をリメイクした「SPECIAL EDITED VERSION『ONE PIECE』魚人島編」を放送し、エッグヘッド編の続きは来年4月から放送予定と発表されています。

 かつては毎週新作が楽しめるシリーズとして君臨していた『ワンピース』ですら、充電期間を設けてきたのは衝撃です。

 TVアニメ『ダンダダン』に限らず、人気作や話題作はどうしてもどこかのタイミングで放送の休止期間が設けられるのが当たり前になってくる時代が来ているのでしょう。

〈文/ネジムラ89〉

《ネジムラ89》

アニメ映画ライター。『FILMAGA』、『めるも』、『リアルサウンド映画部』、『映画ひとっとび』、『ムービーナーズ』など現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。映画『ミューン 月の守護者の伝説』や映画『ユニコーン・ウォーズ』のパンフレットにライナーノーツを寄稿するなどその活動は多岐にわたる。noteではアニメ映画ラブレターマガジンを配信中。X(旧Twitter)⇒@nejimakikoibumi

 

※サムネイル画像:©龍幸伸/集英社・ダンダダン製作委員会


TVアニメ『ダンダダン』
©龍幸伸/集英社・ダンダダン製作委員会

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