第2期の放送が7月3日から控えているTVアニメ『ダンダダン』ですが、実は放送に先駆けて、アメリカでは第2期の劇場公開が始まっていました。そんな第2期の先行上映……、しっかりアメリカでもヒットを果たしているようです。
◆『Dan Da Dan : Evil Eye』が初週末TOP10ランクインのヒット!
日本での放送に先駆けて、北米で6月6日から『ダンダダン』の第2期の内容にあたる『Dan Da Dan : Evil Eye』の北米プレミア上映が始まりました。
本作は『ダンダダン』第2期の第1話〜3話までを上映する企画で、5月30日より台湾を皮切りに世界各地で行われているもの。中でもこの北米での公開規模は約1000館にも及びます。
同時期上映の実写映画『リロ&スティッチ』や『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』などが4000〜3000規模の上映館で興行を行なっているのに比べると少ないですが、本作はあくまでもTVシリーズの上映であり完全新作の長編作ではないことや、第1期の放送前に行われた同様の先行上映企画の時には600館規模での上映だったのと比べると大幅に上映館数が増えています。
そんな北米での初週末の興行成績は約300万ドル(Box Office Mojo調べ)、日本円にして4億円以上となっており、週末の興行ランキングでは上映館数の差がありながらも初登場8位にランクインしています。
既に『ダンダダン』の第1期はNetflixの2024年下半期のエンゲージメントレポートにおいて、再生回数としては1960万再生にもなり、日本のTVアニメシリーズでは1位の再生数を誇るシリーズだと発表されていました。Netflix独占というわけでもない中でのこの数字は、はっきりと『ダンダダン』の世界的な人気を象徴しています。
そういった背景を踏まえると、満を持してのお披露目となった『ダンダダン』の第2期は、早くもさらなる飛躍に期待がかかる成績となっています。
◆TVアニメシリーズの先行上映は海外でも浸透していくのか!?
『Dan Da Dan : Evil Eye』の成績で注目したいのは、『ダンダダン』自体の世界的な人気だけでなく、TVアニメシリーズの先行上映という形態が海外でも浸透してきている点です。
日本でこそTVアニメシリーズの放送前に序盤の放送話数などを劇場で先行して公開する企画は当たり前のように行われています。
しかし、海外では日本のような先行上映の催しは近年やっと行われるようになったばかり。ことアメリカに関しては、新型コロナウイルス感染症の流行から、2023年に発生した米脚本家組合によるストライキであったり、そもそもの世界的な大ヒット映画の減少も相まって、現在国内の上映作品や企画が少ない状態です。
そこに日本と同じように日本のTVアニメシリーズがリアルタイムで追えるようになる映像配信サービスの普及が重なり、まさにTVアニメの先行劇場上映企画を持っていくには格好のタイミングを迎えたことが、今回の企画を促したともいえます。
そういったチャンスを見込んでか、東宝の子会社であるToho Internationalはアメリカの配給会社のGKIDSの買収をしたばかり。『Dan Da Dan : Evil Eye』もそのGKIDSが配給を担当しています。
『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』などまだまだ海外での人気の高い作品も多く、今後も『ダンダダン』と同じように海外展開の勢いは増していくことが予想されます。
アメリカだけではありません。中国でも4月4日にはあの『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』が劇場上映を果たしています。
大ヒットというほどの成績を残したわけではありませんが、長編一本で完結しておらずTVシリーズへと続いている本作が、中国での上映を果たしたという前例を残した意味は大きいでしょう。
──現在では、海外ではまだ珍しいTVアニメの先行上映企画ですが、日本のように普及が進み、いずれ当たり前になる日もそう遠くはないかもしれません。『Dan Da Dan : Evil Eye』の成功はまさにその足掛かりとなるような事件といってよいでしょう。
〈文/ネジムラ89〉
《ネジムラ89》
アニメ映画ライター。『FILMAGA』、『めるも』、『リアルサウンド映画部』、『映画ひとっとび』、『ムービーナーズ』など現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。映画『ミューン 月の守護者の伝説』や映画『ユニコーン・ウォーズ』のパンフレットにライナーノーツを寄稿するなどその活動は多岐にわたる。noteでは『アニメ映画ラブレターマガジン』を配信中。X(旧Twitter)⇒@nejimakikoibumi