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 『ダンダダン』の妖怪たちですが、怪異らしく物語でも明かされていない「謎」や「不思議」を秘めています。ターボババアの第一声に込められた本当の意味、アクロバティックさらさらの娘のその後など、作中では明かされていない「裏テーマ」が存在すると考えられます。

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ターボババアの第一声の謎

 ターボババアの第一声「イチモツしゃぶらせろ」という名(迷?)セリフ……。2024年11月にポッドキャストで配信された『ダンダ談話室』では、ターボババア役の声優・田中真弓さんが「決め台詞なのに(いろいろなところで)言っていいの?」と確認したくなる面白エピソードを語っていましたが、実はこのセリフには大きな意味が含まれていると考えられます。

 作中でターボババアは全国各地に神出鬼没に現れていることが明かされています。しかし、第8話で綾瀬星子がターボババアの行動にある共通点があることを見つけているのです。それが理不尽な死を遂げた少女の霊がいる場所にババアが現れること……。実際、オカルンが訪れた廃トンネルには、乱暴された上に命を奪われた十数人の少女たちの霊がいました。

 このことから星子は、ターボババアが少女たちの霊を慰めてまわっていたと推察しています。つまりターボババアは、そんな場所に侵入してきた男たちに少女と同じ恐怖を味わわせるために、あえて男を怖がらせるセリフを言っていると解釈できるのです。

 また、発言の内容が能力の発動条件になっている可能性も考えられます。第4話の描写からも分かるように、ターボババアはイチモツを奪った相手に取り憑けます。ターボババアといえばどこでも時速100kmで走れる能力に目が行きがちですが、実は憑依した相手を呪い、命を奪える能力も持っているのです。

 さらに「ワシの呪いは感染する。このガキを媒介してな。」と語っており、憑依した人間が見た者全員を呪えます。実はこの能力が肝で、仮に少女への暴行犯が複数だった場合、一人さえ捕まえれば残りの仲間たちを連鎖的に呪うことが可能になります。このことから、一見卑猥に思えるターボババアのセリフには多くの意味が込められていたのかもしれません。

 ちなみにターボババアの過去に関しては現在のところ明かされていません。しかし、ほかの妖怪たちを見る限り悲劇的な過去を経験している可能性が非常に高いと考えられます。雑誌『SWITCH Vol.42 No.10』(出版社:スイッチ・パブリッシング 2024年9月発売)の特集で作者の龍幸伸先生は妖怪について「元人間であり、苦悩と葛藤の末に意図せず妖怪になってしまった者たち。なので妖怪を“悪者”とは思えない」と考えていることを明かしています。また、「彼らの過去をきちんと描写し、物語のどこかで救われるように描きたい。」とも語っているのです。

 もしかしたら今後物語の中で、ターボババアの「イチモツしゃぶらせろ」というセリフの真の意味が明かされるのかもしれません。

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アクロバティックさらさらの娘のその後は?

 アクロバティックさらさら(以下、アクさら)と言えば、SNSでも話題になったようにその過去が非常に重いものでした。特に、借金取りに連れ去られた生前のアクさらの娘のその後については、原作やTVアニメでも描写されなかったので多くの読者が気になったハズ。

 結論からいうと、アクさらの娘は既に命を落としている可能性が高いと考えられます。その根拠は大きく2つあります。

 まず1つ目は、アクさらが身につけている赤いドレスです。このドレスはアクさらが娘にプレゼントしてあげたドレスとまったく同じデザインになっています。そして娘が借金取りに連れ去られた際、身に纏っていたのが赤いドレスでした。そんなドレスと同じものを悪霊となったアクさらが身に纏っている時点で察せてしまいます。

 そして2つ目は、第17話でアクさらが成仏する際に手を引いていたのが娘だったからです。描写からしても、先に成仏した娘が最後にアクさらを導いたと考えるのが自然ではないでしょうか。

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邪視の目が縦になっている理由とブリーフ姿である理由

 おかっぱ頭にギョロリとした縦長の目、そしてなぜかブリーフ一丁という見た目が印象的な邪視……。実は、この出で立ちになったのには大きな理由があると考えられます。

 そこで重要になってくるのがやはり邪視の過去です。生前の邪視は、大蛇信仰のあった村で大蛇の供物に選ばれた子供の一人として小屋に閉じ込められていました。

 そんな邪視にとって唯一の楽しみが、同世代の子供たちが遊ぶ姿を小屋の格子窓から眺めることです。このときの格子はいわゆる木を縦に組み、均等に並べた縦格子になっていました。そのため、そこから外を覗いていた邪視の目は次第に縦型になったと推察できるのです。

 そしてブリーフ姿については、邪視が供物にされ怪異となったあとに出会った少年が大きく関わっていると考えられます。怪異となった邪視は、大蛇信仰の正体が鬼頭ナキたち地底人が崇拝していたモンゴリアンデスワームへの生贄信仰だという事実を知ります。

 邪視が怪異になって以降も子供が供物にされていたのですが、その時初めて出会った少年がブリーフ姿だったのです。また、この少年のおかっぱの髪型も邪視と共通しています。邪視は、鬼頭たちの生贄に捧げられた子供たちの怨念を吸収し現在の強さに至ったとも考察できるので、出で立ちも影響を受けていたと考えるのが自然でしょう。

 

 ──『ダンダダン』では、ほかにも既に原作で登場している妖怪たちもきちんとしたバックボーンが描かれています。妖怪たちの何気ない言動の背景にも人間だったころの過去が因果関係として関わっているのが本作の見どころの一つなのかもしれません。今後読み進めていく際に、そこに着目してみるのも面白いでしょう。

〈文/fuku_yoshi〉

《fuku_yoshi》

出版社2社で10年勤め上げた元編集者。男性向けライフスタイル誌やムックを中心に、漫画編集者としても経験を積む。その後独立しフリーライターに。現在は、映画やアニメといったサブカルチャーを中心に記事を執筆する。YouTubeなどの動画投稿サイトで漫画やアニメを扱うチャンネルのシナリオ作成にも協力し、20本以上の再生回数100万回超えの動画作りに貢献。漫画考察の記事では、元編集者の視点を交えながら論理的な繋がりで考察するのが強み。最近では、趣味で小説にも挑戦中。X(旧Twitter)⇒@fukuyoshi5

 

※サムネイル画像:『TVアニメ「ダンダダン」第20話 場面写真 ©龍幸伸/集英社・ダンダダン製作委員会』


TVアニメ『ダンダダン』
©龍幸伸/集英社・ダンダダン製作委員会

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