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 『ダンダダン』では、各キャラクターにはそれぞれに関連したオカルトが割り当てられていますが、そんな中で主人公の綾瀬桃は出自・能力ともに謎が多く、どのオカルトが設定されているのか分かっていません。しかし、よくよく見ていくと彼女の正体が実は「宇宙人」である可能性が見え隠れしています。

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◆ジャンプコミックス第1巻で描かれたイヤリング

 綾瀬桃(以下、モモ)といえばギャルっぽいコーディネートが特徴ですが、とりわけ目を惹くのが大きなイヤリングでしょう。実はこのイヤリング、ジャンプコミックス第1巻の表紙で描かれた物は作中の物と少しデザインが違っています。

 作中のイヤリングは楕円形ですが、表紙のイヤリングは卵を逆さにしたような円形をしています。さらにイヤリングの中に目と鼻と口が描かれており、いわゆる「グレイ」と呼ばれる宇宙人の顔が映っているのです。実は、これがモモの正体を示唆するヒントである可能性が考えられます。

 なぜなら表紙やイラストに伏線を仕込むのは、作者の龍幸伸(たつ ゆきのぶ)先生と非常に関わりがある人物もよく使っていた手法だからです。それが、『チェンソーマン』の作者である藤本タツキ先生。龍先生は、藤本先生の読み切り時代からアシスタントを務めており、代表作『チェンソーマン』ではメインアシスタントを任されていました。

 そんな藤本先生は、『チェンソーマン』の第1話が掲載された『週刊少年ジャンプ』2019年1月号の表紙に、デンジとポチタがチェーンソーを構えるイラストを描いています。そのチェーンソーには、当時ヒロインと思われていたマキマが反射して映っていました。

 しかし、第一部終盤でマキマの正体が明かされ最終決戦に入った第96話で全く同じ構図のカットが描かれたのです。つまり最初に公開されたイラストは、マキマが最初からチェーンソーを向けるべき「敵」だったからだと分かる仕掛けになっていました。

 藤本先生はこのほかにも表紙やイラストに意味を持たせることが多く、龍先生もアシスタント時代にノウハウを学んだ可能性は十分に考えられるでしょう。特に、数多くのオマージュを作中に落とし込んでいる『ダンダダン』なら、こういった仕掛けを用意していても不思議ではないのです。

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◆モモの超能力と近い「能力」にヒントが……?

 モモの能力は「超能力」ですが、公式ファンブック『ダンダダン ダイズカン』(出版社:集英社 2025年8月出版)での解説では、サイコキネシスに近い能力とも紹介されています。ちなみにサイコキネシスは直訳すると「念力」です。

 そして『ダンダダン』で「念力」といえば、第1話に登場した宇宙人「セルポ星人」が使っていた特殊な念力「六根」を想起します。つまり、モモの超能力をオカルトに分類すると、イメージ的には「呪い」や「霊気」を起源とした能力を持つ妖怪たちではなく、宇宙人の能力に近いと考えられるでしょう。

 また、謎に包まれているモモの両親についても宇宙人が関連している可能性が考えられます。第3話で綾瀬星子は「孫をたぶらかす男には制裁を加える」と宣言していました。実際第2話で示唆されていた通り、星子はモモの男性関係に対して過保護とも受け取れるほど厳しい態度を取っています。

 この理由が過去に男にたぶらかされた経験から来ていたと考えたらどうでしょう。つまり、星子にとっての娘(モモにとっての母親)が過去に男にたぶらかされて連れて行かれたとしたら筋が通ります。そして奇しくも宇宙人には作中に登場している「アブダクション」という誘拐方法があるのです。

 そうなるとモモは人間と宇宙人のミックスルーツを持った特別な存在となり、宇宙人に近い能力を持っていることにも説明がつきます。

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◆公式ファンブックで描かれたイラスト

 そして最も注目したいのが、公式ファンブック『ダンダダン ダイズカン』の巻頭見開きのイラストです。そこには各キャラの服やカバンに能力や出自となる単語が英語で描かれています。

 たとえば、オカルンなら“TURBO BBA”、アイラなら“AKUSARA”と書かれています。しかし、なぜか主人公のモモだけが謎めいた文言で書かれているのです。

 本来であれば、モモの能力は公式に「超能力」とされているので、その英訳“psychic”もしくは“supernatural power”となるはずです。しかし、モモのカバンに書かれていた文言は、“unidentified aerospace undersea phenomena”略して“UAP”……。直訳すると「未確認航空宇宙海中現象」となります。

 この“UAP”は第1話でオカルンがモモに近づく口実として話題に出していました。そして、“UAP”は私たちが馴染み深い“UFO”を含んだ総称です。これはオカルンも言っていた通り、実際にアメリカの国防総省が2021年に立ち上げた「全領域異常対策室(AARO)」が“UFO”に変わって“UAP”と言う呼称を使い始めたことに起因するそうです。

 つまり、イラストの文言にそれぞれの能力や出自が描かれているのであれば、モモの能力もしくはルーツは宇宙人である可能性が非常に高いことになります。

 ただし、第1話でオカルンが言っていた“UAP”は「未確認航空現象」“Unidentified Aerial Phenomena”の略でした。一方で公式ファンブックに描かれているのは“Unidentified Aerospace-Undersea Phenomena”。つまり、航空宇宙のみならず海洋も含めたさらに包括的な現象を総称する、いわば「未確認異常現象」を意味していると捉えられます。

 そう考えるとモモの正体は単純な宇宙人ではなく、先ほど触れた通りミックスルーツを持った作中でも特異な存在なのかもしれません。

 

 ──第1話でモモは「高倉健さんみたいな硬派な男と出会いたい」と言って、オカルンと運命の出会いを果たしています。そして、オカルンは「宇宙人と友達になりたい」と言っていました。仮にモモが宇宙人のルーツを持っていたとすると、実はオカルンも運命的な出会いを果たしていたことになるのかもしれません。

〈文/fuku_yoshi〉

《fuku_yoshi》

出版社2社で10年勤め上げた元編集者。男性向けライフスタイル誌やムックを中心に、漫画編集者としても経験を積む。その後独立しフリーライターに。現在は、映画やアニメといったサブカルチャーを中心に記事を執筆する。YouTubeなどの動画投稿サイトで漫画やアニメを扱うチャンネルのシナリオ作成にも協力し、20本以上の再生回数100万回超えの動画作りに貢献。漫画考察の記事では、元編集者の視点を交えながら論理的な繋がりで考察するのが強み。最近では、趣味で小説にも挑戦中。X(旧Twitter)⇒@fukuyoshi5

 

※サムネイル画像:Amazonより 『「ダンダダン」第1巻(出版社:集英社)』

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