今、『スーパードンキーコング』が熱い──!

 ついに12月11日からユニバーサル・スタジオ・ジャパン内のスーパー・ニンテンドー・ワールド™に、新エリア『ドンキーコング・カントリー』がオープンします。

 そのタイミングに合わせてか、Nintendo Switch Online向けに『スーパードンキーコングGB』を始めとした携帯機向けに発売されたゲームシリーズが立て続けにリリースされたり、来年1月16日には、Wii向けに発売されたソフトをHD化させた『ドンキーコング リターンズHD』が発売予定だったりと、歴代の『ドンキーコング』の思い出を振り返させられる出来事が目白押しとなっています。

 1994年に『スーパードンキーコング』を発売した本シリーズは今年で30周年を迎える節目でもあり、アニバーサリーイヤーにふさわしい熱量です。

 そんな30年という長い年月の中、「あれはなんだったのだろう」と、今思うとほかのシリーズにも派生していない不思議なシリーズが存在します。それがTVアニメ『ドンキーコング』です。

◆実は海外生まれで日本は2年遅れだった! TVアニメ『ドンキーコング』

 1999年にテレビ東京系列の18時30分から3クールにかけて放送されたアニメが『ドンキーコング』です。

 フル3DCGアニメーション作品でおなじみのドンキーコングやディディーコングはもちろんのこと、シリーズ1作目の宿敵キングクルールやゲーム2作目から登場のディクシーコングなども登場しました。

 ドンキーコングと敵対するクルールといった構図は原作のゲームと同じながら、ストーリーは、コンゴ・ボンゴ島を舞台に強大な力を持ったクリスタル・ココナッツをドンキーコングがクルールの魔の手から守りきるといった内容になっていました。

 日本の放送ではローカライズが徹底されていたので気づきにくかったかもしれませんが、実はこのアニメシリーズはカナダとフランスの合作、後半は台湾による制作という特殊な経緯を持つ海外アニメーションでした。

 海外での放送は1997年と日本よりも2年早いタイミングで、実際の人間の動きを取り込むモーションキャプチャー技術を取り入れたアニメ作品としては実は最初期に当たる作品でもある、という実は技術面でも挑戦的なアニメーションでした。

◆当時の日本の徹底ローカライズとタイアップがすごかった『ドンキーコング』

 前述したように、このTVアニメ『ドンキーコング』の日本向けのローカライズはなかなか力が入っていました。

 主人公のドンキーコング役には山寺宏一さん、相棒のディディーコング役には林原めぐみさんといった実力派声優が並ぶ中、ファンキーコング役には下町兄弟のラッパー・BANANA ICEさんや、ディクシーコング役には朝の子供向け番組『おはスタ』にもレギュラー出演していたベッキーさんなど、今見ても驚きを感じるメンバーが日本版のアフレコに集められています。

 しかも驚くべきは吹替だけでなくオープニングテーマやエンディングテーマを歌うのも声優陣だということ。両曲ともにドンキーとディディー名義で山寺宏一さんと林原めぐみさんがデュエットするという豪華なものになっていました。

 しかも放送当時タイアップ商品として「ドンキーコングカードゲーム」が発売されたのがまた衝撃的。

 のちにゲームシリーズの要素も加わっていくことになるのですが、リリース第1弾では完全にTVアニメ『ドンキーコング』の関連キャラクターや内容でまとめられていました。

 いくら既に人気ゲームだったからといって、オリジナル要素も多分に加わったアニメシリーズをいきなり前面に押し出してくるのは、かなり挑戦的だったように思えます。

◆幻のエピソードも存在した!? そもそもシリーズが今では視聴困難?

 そんなTVアニメ『ドンキーコング』には実は放送回に収まらなかった欠番エピソードが存在します。

 それが40話目にあたる「Message in a Bottle Show」というエピソード。日本ではソフト化も果たしていないので、気軽に観られない幻のエピソードとなっています。それどころか実はこのアニメシリーズ自体が今、視聴困難状態にあります。

 日本向けの放送回はすべてVHS化こそ果たしたものの、それ以降のソフト化は一切なし。配信サービスなどにおいても日本では提供されていないのでかなり視聴のハードルが高い状態に陥っています。

 今、歴代の『ドンキーコング』を振り返る流れの中、ぜひTVアニメ『ドンキーコング』にも目を向けて欲しいところ。長い『ドンキーコング』の歴史の中にこんな一ページがあったと多くの人に届くよう、再ソフト化や配信解禁を願います。

〈文/ネジムラ89〉

《ネジムラ89》

アニメ映画ライター。『FILMAGA』、『めるも』、『リアルサウンド映画部』、『映画ひとっとび』、『ムービーナーズ』など現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。映画『ミューン 月の守護者の伝説』や映画『ユニコーン・ウォーズ』のパンフレットにライナーノーツを寄稿するなどその活動は多岐にわたる。noteではアニメ映画ラブレターマガジンを配信中。X(旧Twitter)⇒@nejimakikoibumi

※サムネイル画像:YouTubeチャンネル『ユニバーサルスタジオジャパン公式チャンネル』より


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