映画館で上映する“ドラえもん映画”を決める投票企画が公式でスタートしています。
「映画ドラえもんまつり」と題して、『映画ドラえもん』シリーズの45周年を記念した企画が開始。歴代の『映画ドラえもん』全43作品の中からWeb投票を募り、その結果から5本の映画を映画館で上映するというものです。
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シリーズ45周年記念!
映画ドラえもんまつり開催!
\これまでの『映画ドラえもん』全43作品の中から5本、 映画館で上映するよ!
上映作品をみんなで選ぼう!
この機会にぜひ投票してね♪
▼投票はこちらhttps://t.co/0PN2viHIab#映画ドラえもん #ドラえもん pic.twitter.com/s2dqKPUaWF
— 映画ドラえもん【公式】 (@doraeiga) September 26, 2024
『映画ドラえもん』ほどシリーズ数が多いアニメーション映画も珍しく、一方で作品ごとにテーマや作風もさまざまで突出して評価を獲得しそうな金字塔的な作品もあるわけではないため、この5本に何が選ばれることになるのか正直見当がつきません。
投票する側としても「どれに投票すればいいんだろう?」という人も居ると思うので、ここで“こんな視点で選出してみては?”という作品を紹介します。
◆懐かしの大山ドラえもん!印象的な作品として名前が上がりやすい映画は?
『ドラえもん映画』は大きく2種類に分けられるわけですが、2004年まで大山のぶ代さんがドラえもんを演じており、2006年以降は水田わさびさんが演じています。
一方で、今となってはリニューアル以前のドラえもんにあまりピンと来ない世代も増えてきています。そんな若い世代にもリニューアル以前のドラえもんの雰囲気や味を知ってもらうには、今回の企画は絶好の機会ともいえます。
中でもいくつかの作品は今なお“ドラえもん映画と言えば……”という話題でよくタイトルが上がる作品でしょう。
たとえば『映画ドラえもん のび太の海底鬼岩城』(1983)は、ドラえもんたちが太平洋の海底でキャンプに臨もうとするのですが、そこで未知の存在と巡り会う海中を舞台にした物語となっています。
本作が特筆して話題に上がる理由として、意思を持った車である“水中バギー”という名キャラクターの存在が大きいです。
ドラえもんの道具でありながら、時に反抗的だったり、時に人間に憧れたりと異様なほどに個性を発揮し、クライマックスに至ってはある決断をして多くの人に衝撃を与えました。未だリメイクが成されていないのが不思議なほどの一作です。
またリニューアル直前の『映画ドラえもん のび太のワンニャン時空伝』(2004)も面白いバランスの映画。
のび太が子犬のイチと出会ったことをきっかけに、人間たちに捨てられてしまうペットたちに自由に暮らしてもらえるように3億年前の世界に送り届けるのですが、それが事件に発展するという内容です。
リニューアル直前のドラえもんということでこれまでのシリーズの節目という前提で作られていることや、既に制作はセル画からデジタルへと移行しているので、リニューアル前と言いつつルックはそこまで古く感じさせないビジュアル面でもシリーズ中でも特に異質な作品です。
どちらも手堅い名作としてぜひピックアップされてほしい作品です。
◆リメイク作品対決というラインナップもあり?大胆にアレンジされた映画もあった!
複数作品上映されるという意味ではぜひやって欲しいのが、リメイク前後の作品対決。『映画ドラえもん』シリーズのいくつかの作品は、リニューアル以前に制作された映画を、リニューアル移行に再度リメイク上映しています。
中でも大胆にアレンジされているのが『映画ドラえもん のび太と鉄人兵団』(1986)と『映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団〜はばたけ天使たち〜』(2011)です。
北極に巨大ロボットのパーツが放置されているのをのび太が見つけたところから、地球の命運を握る戦いに発展していくという内容なのですが、リメイク前後では登場キャラクターに大きな違いがあり、リメイク版ではヒヨコ型のロボット・ピッポとのドラマが加わったものとなっています。このキャラクターの存在が際立った違いを生んでいるので、比較して鑑賞しがいがあるでしょう。
『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争(リトル・スター・ウォーズ)』(1985)と『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争(リトル・スター・ウォーズ)2021』(2022)のアレンジも必見。
のび太が小さな宇宙人・パピと出会い、彼らの星で起こった戦争と対面していくという内容なのですが、戦争というデリケートな内容を描いているだけあって、ストーリーの大筋はほぼ同じでありながら、随所の事件や意匠が大きく変更されているところに注目です。リメイク版はまだ新型コロナウイルスの流行の直後だったこともあり、劇場で観れなかった人も多いでしょうから、ぜひこの機会に大スクリーンで観て欲しい作品でもあります。
──今でこそ配信サービスの普及で歴代の『映画ドラえもん』に触れやすい時代になりましたが、やはり映画館という環境で作品と向き合って体験する時間は、自身の端末で体験する時間とは違ったものになります。せっかくの機会ですので、ぜひ大画面・大音量で楽しみたい『映画ドラえもん』に票を投じてみてはいかがでしょうか。
〈文/ネジムラ89〉
《ネジムラ89》
アニメ映画ライター。『FILMAGA』、『めるも』、『リアルサウンド映画部』、『映画ひとっとび』、『ムービーナーズ』など現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。映画『ミューン 月の守護者の伝説』や映画『ユニコーン・ウォーズ』のパンフレットにライナーノーツを寄稿するなどその活動は多岐にわたる。noteでは『アニメ映画ラブレターマガジン』を配信中。Twitter⇒@nejimakikoibumi
※ドラえもんの声を約26年間にわたり演じていた、声優・大山のぶ代さんが2024年9月29日に90歳でご逝去されました。ここに謹んで大山さんのご冥福を心からお祈りいたします。アニギャラ☆REW編集部
サムネイル画像:YouTubeチャンネル『東宝MOVIEチャンネル』より
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