『ドラゴンボール』にはコミック完全版で追加されたシーンや鳥山明先生がインタビューで明かした意外なキャラクターの関係性など、まだあまり知られていない設定があります。次のエピソードは、『ドラゴンボール』に関する4つの裏話です。
◆ブルマにはタイツという姉がいる
ブルマには10歳以上年の離れた姉がおり、その名はタイツ。
彼女は『ドラゴンボール』シリーズの前日譚を描いた作品『銀河パトロールジャコ』において、ヒロインのポジションとして登場しています。
初登場のときは17歳の美少女で金髪ということもあって、正直なところブルマとはあまり似ていません。しかし、『ドラゴンボール超』で出て来たショートヘアの大人の姿は、年を重ねたブルマと似ていて実の姉妹であることを感じさせます。
アニメではブリーフ博士が水色の髪、ブルマの母が金髪です。そのため、ブルマは父親似でタイツは母親の血を濃く継いでいるのでしょう。
タイツは16歳で大学を卒業するとSF作家になるため東の都で一人暮らしを始め、不良にからまれていたところをジャコと大盛徳之進に助けられます。
その後は大盛の住む島に引っ越したり、SF小説の取材のためアイドルにすり替わってロケットに乗り込んだりするなど、頭の良さと行動力、大胆さ、好奇心はさすがブルマの姉といったところでしょう。そんな彼女は夢を叶えて最終的に人気のSF作家になったそうです。
『ドラゴンボール超』では、ブルマから姉がいることを知らされた悟空やベジータも驚いていたほどでした。そのため、タイツの存在自体が、『ドラゴンボール』の世界でもSFチック、都市伝説的なものといえるのかもしれません。
◆アックマンは天下一武道会で2度優勝している
悟空たちがまだ出場する前の第20回までの天下一武道会は5年に一度開催されており、この期間にアックマンは2度優勝しています。そのため、この実績を買われて、占いババにスカウトされた可能性も考えられます。
アックマンは占いババのもとで普段は大将のポジションとなる5人目を担っているだけあって、実力はかなりのものだといえるでしょう。なお開催会は不明ですが、第20回までにチャパ王も1回優勝しています。
アックマンもチャパ王も、悟空に実力差を見せつけられて負けてしまいました。このことから悟空たちが出場していた第21回から第23回が、突出して大会のレベルが高かったことが分かります。
アックマンの得意技といえば、悪の心を増幅させて相手の体ごと爆発させるアクマイト光線。悪の心がない悟空には効果がなかったですが、普通の相手ならこれ1本で勝ち上がっていけそうです。
ただ、第20回までの大会でも「相手を死に至らしめると失格」というルールはあったでしょうから、アックマンも普通に体術を使って戦っていたと思われます。実際に悟空との戦いでも、最初は肉弾戦を仕掛けていました。
さらに亀仙人が「やつは過去天下一武道会で二度も優勝したほどの達人じゃよ」と実力を認めていることから、アックマンが武道家として優れていることは間違いないでしょう。
また、アックマンには翼があり空を飛べるので場外負けがないというのは、圧倒的なアドバンテージです。そして、アクマイト光線以外にもかめはめ波のような気功波による技を持っているのだとしたら、第20回大会までの出場者の中でもズバ抜けた実力者だった可能性もあります。
◆コミック完全版で悟空はウーブに筋斗雲を譲っている
『週刊少年ジャンプ』連載当時とアニメ版の最終話では、悟空がウーブを背中に乗せて舞空術で飛んでいくシーンで終わっていました。しかし、コミック完全版では加筆修正がされ、悟空からプレゼントされた筋斗雲にウーブが乗って飛んでいくシーンが追加されています。
筋斗雲は心が清い者でないと乗れません。そのため、作中でも筋斗雲に乗れるのは悟空とその息子たち、青い髪状態のランチ、ウパや則巻アラレなどごく一部です。
コミック完全版の第34巻でウーブも筋斗雲に乗ったことで、清い心を持っているメンバーに加わりました。これには邪悪な存在だったブウの魂が転生した姿であるウーブが、きちんときれいな心の持ち主になっていることを読者に示したいという鳥山明先生の意図があったのではないでしょうか。
また、ウーブは身内以外では悟空の初めての弟子であり、次世代ヒーローのバトンを受け継ぐ人物です。そのため、筋斗雲に乗せることで悟空がウーブを選んだのは間違いがなく、これからの地球の平和は彼によって守られるというメッセージを伝えたかったのではないかと考えられます。
そう考えると連載時のラストシーンももちろん良かったのですが、完全版はさらにエモいエンディングになっているといえるでしょう。
◆サタンの師匠は桃白白に命を奪われている
ミスター・サタンは若い頃に「サタンの城」と呼ばれる道場で武術を習っていました。サタンが南の都に遠征に行っていたとき、同行していた道場の師範がなんと桃白白によって命を奪われてしまいます。
サタンと桃白白にこのような衝撃的なつながりがあったという事実が明かされたのは、『最強ジャンプ』2014年6月号の「鳥山明先生 魔人ブウ編(秘)一問一答!」というコーナーです。
鳥山明先生によると、「うっかり桃白白の髪型をからかってしまった」とのことなので、桃白白のおさげ髪、もしくはきれいな富士額を笑いものにしてしまったのでしょう。この結果、師匠は命を奪われ、サタンも重傷を負ってしまいます。
この経験によってサタンは、正体の分からない相手やメチャメチャ強そうな相手とは絶対に戦わないと固く誓うようになったそうです。
サタンはメチャクチャ強い魔人ブウに下手に出ることで取り入り、しぶとく生き残りながら最終的には地球を救うキーマンとなりました。
これには桃白白によって師匠を失い、自身も手痛い目にあわされた経験が魔人ブウ相手に役立ったといえるでしょう。そう考えると、悪逆非道の桃白白も地球を救うのに一役買っていたといえるのかもしれません。
──新アニメ『ドラゴンボールDAIMA』でもナメック人のルーツや魔人ブウの秘密など、隠された設定が明らかになっています。昔から多くの人に親しまれている『ドラゴンボール』ですが、まだまだ意外な事実が飛び出しそうです。
〈文/諫山就 @z0hJH0VTJP82488〉
《諫山就》
アニメ・漫画・医療・金融に関するWebメディアを中心に、フリーライターとして活動中。かつてはゲームプランナーとして『影牢II -Dark illusion-』などの開発に携わり、エンパワーヘルスケア株式会社にて医療コラムの執筆・構成・ディレクション業務に従事。サッカー・映画・グルメ・お笑いなども得意ジャンルで、現在YouTubeでコントシナリオも執筆中。
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