悟空が神龍とともにどこかへ飛んで行ってしまう『ドラゴンボールGT』の最終回。放送された当時多くのファンに衝撃を与えると同時に、悟空の最期についてさまざまな意見が飛び交いました。最終回のこのシーンが何を意味するのか考察していきます。

◆『ドラゴンボールGT』の最終回

 一星龍を倒したあと、悟空は神龍の背中に乗り1人でどこかへ行ってしまいました。その際に描かれた悟空が死んだかのようなシーンに賛否が巻き起こり、いまでも熱い考察がされています。

 悟空がどこか遠くへ行ってしまう前にカメハウスにいるクリリン、地獄にいたピッコロのもとを訪問。クリリンとの組み手、ピッコロとの握手のあと悟空が突如消えるという演出がされています。

 また、ベジータやピッコロ、亀仙人は悟空の何かしらの変化に感づいた様子でした。さらに悟空が去ったときには服を着ていたにもかかわらず一星龍と戦った場所に道着が残されており、ベジータがそれをまるで形見であるかのようにパンに大事に取っておくよう言っています。

 このような意味深なシーンが多いラストゆえに、悟空の最期についてはさまざまな議論が飛び交うことに。最後は100年後の世界が描かれており、悟空やベジータの子孫が戦う天下一武道会を見に来ている悟空の姿がありました。

◆一星龍との戦いの最中に悟空は既に死んでいた?

 形見や霊体っぽい演出から悟空は、既に死んでいたのではないかという考察が多いです。そして、命を落としたのは一星龍の攻撃をくらって、大きく深い穴に沈んだときだと考えられています。

DRAGON BALL Q 前川淳ストーリーQ&A』、『ドラゴンボールGT DVD-BOX特製ブックレットDragonbook』では、脚本担当の前川淳さんが最終回の意味についてコメント。「そこで死んだのかもしれないし、そうでない別のものになったのかも知れない」と述べています。

 続けて「その判断は、ご覧になられた皆さんの想像に、おまかせします」と発言していました。そのため、死者が生者のもとに幻想や霊体として現れるのと同じ演出だったのではないかと考えるファンも多いです。

 しかし、悟空が100年後に変わらない姿で現れていることから、普通の人間に訪れる一般的な死を迎えたわけでないことは明らか。そのなるとやはり、「別のものになった」と考えるのが自然かもせんしれません。

◆悟空は神のような存在になった?

「別のもの」として、まず考えられるのは神のような存在です。実際に、孫であるパンが一星龍と戦っている悟空を見て「おじいちゃん、神様になったみたい」と発言しています。

 人類や星を救った英雄が死んだ後に神になるというのは、アニメやマンガでも珍しくないパターンです。地球を何度も救った悟空であれば、神になる資格も十分でしょう。

 ただ『ドラゴンボール』の神といえば、地球の神や界王神など星や宇宙を管轄、管理するような仕事をしています。勝手気ままにしている破壊神ビルスでさえも、本来は悟空たちの暮らす第7宇宙を担当する神です。

 悟空の性格からすると、管理職のような仕事をするとは思えません。また、神というスケールにすら収まらないほどの特別な存在といってよいでしょう。

◆悟空はドラゴンボールと一体となった?

 悟空が神龍とともに去ったことから、ドラゴンボールと一体となったのではないかという考察も多いです。これは一星龍たちと戦うことになった経緯を考えると、もっとも可能性が高いと考えられます。

『ドラゴンボールGT』ではドラゴンボールによって願いを叶えると、その度に負のエネルギーが貯まっていくという設定が明らかにされました。そして、ブルマがドラゴンレーダーを発明したことで、あまりにも短期間に多くの願いを叶えられることに……。

 その結果、負のエネルギーが貯まってドラゴンボールから邪悪龍が登場したという経緯になっています。そのため、地球の人たちがドラゴンボールに頼ることなく、強く生きていけるように悟空が守り人のような役割を担ったのではないでしょうか。

 そういった気持ちをこめて、悟空は最後の願いとして神龍に地球の人たちを蘇らせてくれるよう頼んだのだと推察されます。また、神様になるよりはドラゴンボールの守り人のほうが、気楽に過ごせると思われるため悟空に合っていそうです。

 脚本担当の前川淳さんによれば、最終回の演出は「苦境を切り抜けた先に夢を掴むのは、最終的に人の力なんだ」という意図を感じ取ってもらいたかったとのこと。自らの力で未来を切り開いて来た悟空であれば、人類の力で乗り切れる危機なのか、ドラゴンボールの助けが必要な事態なのかを見極められることでしょう。

 そう考えると、悟空はドラゴボールの守り人として適任だと思われます。将来ドラゴンボールが必要なほどの窮地に人類が陥ったときには、きっと悟空が神龍とともに助けに来てくれるのでしょう。

 

 ──放送当時は賛否両論を巻き起こした『ドラゴンボールGT』の最終回。しかし、鳥山明先生が関わる『ドラゴンボール』作品が『ドラゴンボールDAIMA』で最後となった今、悟空と作中のキーアイテムであるドラゴンボールの最期がしっかり描かれた作品が生まれていた意味は大きかったように考えられます。

〈文/諫山就 @z0hJH0VTJP82488

《諫山就》

アニメ・漫画・医療・金融に関するWebメディアを中心に、フリーライターとして活動中。かつてはゲームプランナーとして『影牢II -Dark illusion-』などの開発に携わり、エンパワーヘルスケア株式会社にて医療コラムの執筆・構成・ディレクション業務に従事。サッカー・映画・グルメ・お笑いなども得意ジャンルで、現在YouTubeでコントシナリオも執筆中。

 

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