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 悟空は主人公ながら負けた相手は多いですが、手も足も出なかった強敵といえば心臓病でしょう。ウイルス性にもかかわらず、家族のチチや悟飯が感染して死んだという話はありません。感染源や本編世界で発症が遅れた原因、サイヤ人にはウイルスが効かないという設定との矛盾など多くの謎が残っています。

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◆心臓病の感染源と特効薬

 悟空の心臓病の感染源として思い当たるのはブルー将軍との戦いで口の中に入れたネズミ、ナメック星からの帰りに立ち寄ったヤードラット星です。しかし、特効薬が作られていたということは、地球で生まれたウイルスによって未来でパンデミックが起こっていた可能性も考えられるでしょう。

 潔癖症のブルー将軍は悟空との戦いを有利に進めながら、突然出てきたネズミにひるんでチャンスを逃してしまいます。悟空は自分を救ってくれた恩あるネズミを口の中に入れて、崩れる洞窟から脱出しました。

 このとき心臓病の原因となるウイルスに感染したのなら、発症まで15年ほどの潜伏期間があったことになります。ヤードラット星で未知のウイルスに感染した場合は、発症まで4年ほどの計算となるためこちらのほうが現実的かもしれません。

 また、心臓病は悟空だけがかかったものではなく、未来の世界でパンデミックが起こって大勢の人が死んでいた可能性もあります。しかし、この場合は悟空に近しいチチらも死ぬ可能性がありますが、トランクスが特効薬を渡したときにそれらしい警告はありませんでした。

 ただ、風邪のようなウイルスが心臓に到達して、ウイルス性心筋炎が起こることはリアルの世界でもあります。重度のものとなれば、心不全や不整脈で死亡するケースもある病気です。

 残念ながら細菌と違ってウイルスを直接攻撃する薬は現代には存在せず、抗ウイルス薬と呼ばれるインフルエンザの薬などはウイルスの動き(細胞から細胞への移動)と増殖を阻害して悪化しないようにする仕組みとなっています。つまり、ウイルスを倒すのはあくまでも人間が持つ免疫力です。

 このことから悟空は必ずしも特殊なウイルスで死んだとは限りません。また、トランクスが悟空に渡した未来で開発された特効薬も、現代で白血球のようにウイルスを直接攻撃して排除する機能を持つ薬が開発されればそれはまぎれもない特効薬です。

 そのため、悟空の死因は現代でもありふれたウイルスによる心臓病だった可能性も考えられるでしょう。ただ、サイヤ人である悟空が普通のウイルスで死んでしまうというのは、よほど免疫力が弱っている状態でないと考えづらいです。

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◆心臓病の発症が遅れた理由

 未来世界では人造人間が現れたときに、悟空は既に心臓病で死んでいました。これに対して本編世界で発症が遅れたのは、本来悟空がスーパーサイヤ人になって倒すはずだったフリーザとコルド戦がなくなったためと考えられるでしょう。

 仮に感染源がネズミやヤードラット星だったとすると、フリーザ襲来のときには既に悟空はウイルスに侵されていることになります。トランクスが過去に来ない本来の世界線であれば、悟空が瞬間移動してフリーザとコルドと戦っていたはずです。

 当然、スーパーサイヤ人となって戦闘していたでしょうが、悟空の性格からするとトランクスのように瞬時に倒したとは考えられません。12でフリーザ側が悟空と渡り合えるようなら戦闘を楽しむか、力の差があったとしても彼らに逃げるチャンスを与えていたと思われます。

 そうなった場合、このときにスーパーサイヤ人になっている時間は、未来トランクスがやって来た世界線より長くなっていたはずです。もしスーパーサイヤ人になって激しい戦闘をすることで体内にいるウイルスも活性化されるとしたら、フリーザ・コルド戦がなくなった分発症が遅れたというケースも考えられるでしょう。

◆サイヤ人には効かないジャコの絶滅爆弾との矛盾

 『銀河パトロール ジャコ』で銀河パトロール隊員ジャコは、ウイルスをばら撒いて人類を根絶やしにできる絶滅爆弾を持っていることが明らかになっています。しかし、サイヤ人には効かないといっており、このことから悟空はウイルスへの強い耐性を持っている可能性が考えられるでしょう。

 その悟空がウイルス性の心臓病で命を奪われてしまったのは、スーパーサイヤ人が影響していると考えるとつじつまが合います。

 前述したようにスーパーサイヤ人になるとパワー増幅によってウイルスに侵された細胞が活性化、もしくはウイルス自体が増殖するようになれば病気は進行するでしょう。または、スーパーサイヤ人になったあとは、しばらく免疫力が極端に弱まるケースも考えられます。

 そうなればウイルスをばら撒く絶滅爆弾も、サイヤ人に効果を発揮するというわけです。悟空がウイルス性の心臓病で死んでしまったことも腑に落ちます。

 また、サイヤ人には絶滅爆弾は効かないというジャコの言葉も、スーパーサイヤ人が実在することを想定していないうえでの発言だとすれば矛盾は解決できるでしょう。本編世界では人造人間19号との戦いで悟空がスーパーサイヤ人となり、急激に心臓病を発症したように見えます。

 このことからもウイルスによる病気の進行とスーパーサイヤ人化には、何らかの関係があると考えられるでしょう。スーパーサイヤ人に覚醒してから数年はまだ体が追い付いておらず、負担の大きさから悟空の免疫力の低下して病気になりやすくなっていたのかもしれません。

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◆ドラゴンボールでの生き返りや仙豆も効果がないウイルスの脅威

 仙豆は病気には効かず、ナメック星のドラゴンボールで生き返らせてもウイルスで侵されたままでは意味がないのだと考えられます。この心臓病の本当に怖いところは、ドラゴンボールでの生き返りや仙豆など、これまでピンチを覆してきた手段がまったく通じないことでしょう。

 しかし、悟空の心臓病に関しては敵はウイルスです。そのため、悟空の体内に潜伏、もしくは発症している状態でドラゴンボールに願えばウイルスを退治して病気を治せていた可能性はあります。

 残念ながら未来世界では悟空の心臓病が発覚して死ぬまでそれほど猶予がなかったと思われ、ドラゴンボールを集めている時間はなかったのでしょう。また、本編世界では未来トランクスから特効薬をもらっていたため、ドラゴンボールに頼る必要性はありませんでした。

 ドラゴンボールで複数の願いを叶えられれば、悟空を生き返らせた後にウイルスを退治するお願いをして健康体に戻せたかもしれません。しかし、地球のドラゴンボールが進化したのは、悟空が瞬間移動で連れて来たデンデが神様になってからです。また、デンデによってパワーアップしたドラゴンボールは、一度死んだ人間を蘇らせる能力を持っていませんでした。

 そのため、未来世界も本編世界でもドラゴンボールではタイミング的に心臓病には対抗できないといえます。未来世界が人造人間に席巻されたのも、悟空が心臓病で死んでいた影響が多いです。

 ビルスやブロリーも強敵でしたが、悟空にとっての最大の敵はウイルスだったといえます。亀仙人が修行と同じくらい休養を大切にしていたのも、体が健康であるからこそ思い切り戦えるということを教えたかったのかもしれません。

 

 ──体を休めることも大事という亀仙人の教えを忠実に守っていた悟空も、スーパーサイヤ人に覚醒して体が慣れるまでは思っていた以上に大きな負担がかかっていたのかもしれません。働き盛りで仕事も快調なときこそ、人間ドックに行くなど健康に気を配ることが大切ということでしょう。

〈文/諫山就〉

《諫山就》

アニメ・漫画・医療・金融に関するWebメディアを中心に、フリーライターとして活動中。かつてはゲームプランナーとして『影牢II -Dark illusion-』などの開発に携わり、エンパワーヘルスケア株式会社にて医療コラムの執筆・構成・ディレクション業務に従事。サッカー・映画・グルメ・お笑いなども得意ジャンルで、現在YouTubeでコントシナリオも執筆中。X(旧Twitter)⇒@z0hJH0VTJP82488

 

※サムネイル画像:Amazonより 『「ドラゴンボール」第27巻(出版社:集英社)』

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