ライトノベル雑誌『ドラゴンマガジン』(出版社:KADOKAWA)5月号が3月19日に発売され、同号をもって休刊となりました。
『ドラゴンマガジン』といえば、『スレイヤーズ』や『フルメタル・パニック!』などを生んだ雑誌と知られていましたが、1988年の1月の創刊から約37年の歴史に幕をおろしました。
同誌は、累計発行部数が2200万部を突破した作品や、TVアニメなどのメディアミックス化を果たした作品が多くある雑誌でもあります。
◆『スレイヤーズ』 ライトノベルの金字塔として大人気に──累計発行部数2200万部を突破!
神坂一先生原作の『スレイヤーズ』シリーズは、2025年1月、スレイヤーズ公式X(旧Twitter)で、累計発行部数が2200万部を突破したことが発表されました。
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『#スレイヤーズ』
シリーズ累計2200万部突破🎉
◤◢◤◢◤◢◤◢◤◢◤◢◤◢メモリアルイヤーの始めは
ど派手な吉報から✨✌️✌️の2200万部突破🎊
皆さまの応援のお陰です。
本当にありがとうございます❣️35周年スペシャル企画の情報も
この後公開‼️ pic.twitter.com/AJpdsWZywS— スレイヤーズ 周年プロジェクト【公式】 (@Slayers_30th) January 18, 2025
『スレイヤーズ』は自称・天才美少女魔道士のリナ=インバースの活躍を描いた作品で、今年の3月の時点で53巻まで出版されています。
まだライトノベルの知名度が今ほど高くなかった平成初期のヒット作とあって、「ライトノベルの金字塔」という印象を持たれることが多い同作は、1995年から2009年にかけてテレビアニメシリーズが5作品放送、劇場版が5作公開されました。
リナ役を演じた林原めぐみさんは2020年に公開された動画配信サイト『dアニメストア』の「「スレイヤーズ」特集」でのインタビューで、『スレイヤーズ』への熱い想いを語っています。
林原さんはリリースしている楽曲の多くを自ら作詞していますが、「たぶん、私が本気で詞に取り組もうと思ったきっかけは、『スレイヤーズ』なんです」「もちろん、それまでもアルバムの中で、遊び……じゃないですけど、「一曲くらい書いてみれば?」みたいなことをいわれて、書いてはいました」「でも、今のように歌詞を書くようになったのは、リナの影響です」と、同作から受けた影響が強いことを明かしています。
2018年10月には18年ぶりとなる新刊『アテッサの邂逅』が出版されましたが、書店やネット販売はすべて完売し、出版社のKADOKAWAは重版することを決定。
1作目が出版されてから2025年3月で35周年を迎え、各地で「スレイヤーズ展」などのイベントが行われるなど、まだまだ『スレイヤーズ』は盛り上がりを見せています。
◆『魔術士オーフェン』 完全新作アニメが好評──累計発行部数1400万部超え!
秋田禎信先生原作の『魔術士オーフェン』は、2022年出版の『ライトノベルの新・潮流 黎明期→2021』(出版社:スタンダーズ)で、累計発行部数が1400万部を突破したことが明かされています。
同作は凄腕の魔術士にして暗殺技能者の主人公・オーフェンが、仲間たちと旅をするダーク・ファンタジーです。
1990年代のライトノベル界を『スレイヤーズ』とともに支えたといっても過言ではないほどの人気があり、主人公のオーフェンは2000年出版の『ドラゴンマガジン』2001年1月号に掲載された読者人気投票「ベスト・オブ・ドラゴンマガジン」で男性キャラクター部門1位を獲得。
さらに2005年出版の『スレイヤーズVSオーフェン』では『スレイヤーズ』との公式コラボが実現し、リナとオーフェンが冒険をするというストーリーはお互いの世界観が違和感なく描かれていてファンからも好評でした。
1998年と1999年に2度TVアニメ化され、2020年には完全新作版として『魔術士オーフェンはぐれ旅』、2021年には『魔術士オーフェンはぐれ旅 キムラック編』、2023年には『魔術士オーフェンはぐれ旅 アーバンラマ編』、『魔術士オーフェンはぐれ旅 聖域編』が作られました。
◆『SMガールズ セイバーマリオネット』シリーズ ブレイクのきっかけはラジオドラマ──小説、アニメ、OVAも人気を博す
あかほりさとる先生・ねぎしひろし先生原作の『SMガールズ セイバーマリオネット』シリーズは、1994年よりアニラジ『まんがの森シアター あかほりさとる のわぁんちゃってSAY YOU!』(文化放送)で、ラジオドラマとして企画がスタートしました。
同作は戦闘能力を持った女性型アンドロイド「セイバーマリオネット」の活躍を描いたアクションストーリーで、先にアニメが放送終了したことで、小説版はあえてストーリーが変更されている部分があります。
1994年に『ドラゴンマガジン』で、小説『SMガールズ セイバーマリオネットJ』の連載が始まりました。
その後、1995年には『SMガールズ セイバーマリオネットR』がOVAとして発売され、1996年に『セイバーマリオネットJ』がTVアニメ化、1997年に『またまたセイバーマリオネットJ』のタイトルでOVA化。そして、1998年に『セイバーマリオネットJ to X』のタイトルでTVアニメ化され人気を博しました。
◆『フルメタル・パニック!』シリーズ 「このライトノベルがすごい! 2008』で作品部門ランキング1位!──2024年には続編も出版
賀東招二先生原作の『フルメタル・パニック!』シリーズは、2024年1月の時点で累計発行部数が1150万部を突破した『ドラゴンマガジン』の生んだ人気作品です。
ミリタリーアクションの同作は、2007年出版の『このライトノベルがすごい!2008』(出版社:宝島社)において、作品部門ランキングで1位を獲得したほか、主人公の相良宗介が男女総合キャラクターランキングで1位を獲得し、ダブル受賞となりました。
同作は2002年に『フルメタル・パニック!』としてアニメ化し、2003年に『フルメタル・パニック? ふもっふ』、2005年に『フルメタル・パニック! The Second Raid』、2018年に『フルメタル・パニック! Invisible Victory』が放送されています。
2024年には、本編のクライマックスからおよそ20年後を舞台とした後日談の小説『フルメタル・パニック! Family』が出版されました。
──数々の名作を世に送り出した『ドラゴンマガジン』ですが、特に『スレイヤーズ』の功績は計り知れないものがあります。
いつかまた復活し、読者の心を掴むライトノベル作品が掲載されることをファンは願っていることでしょう。
〈文/花束ひよこ〉
※サムネイル画像:Amazonより