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 今月から“月1エヴァ”と題して『エヴァンゲリオン』シリーズの劇場版シリーズをリバイバル上映する企画が始まり、24日(金)からは『新世紀エヴァンゲリオンAir/まごころを、君に』の上映が始まりました。何を隠そう本作は“かつての”『エヴァンゲリオン』シリーズの最終作でした。本作が与えた衝撃とはなんだったのでしょうか。

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◆長かった最終回までの道のり そのラストが“これ”だった

 今となっては『シン・エヴァンゲリオン劇場版』がシリーズ完結作となってますが、新劇場版シリーズが始まるまでは、『エヴァンゲリオン』の最後を描いたのは1997年に公開された映画『新世紀エヴァンゲリオンAir/まごころを、君に』でした。

 この完結作に至るまでがまず長い道のりです。1995年に放送を開始したTVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』は、その翌年の春に第26話目にあたる最終話「世界の中心でアイを叫んだけもの」で完結を迎えます。

 ただこの最後を描いた第25話と第26話の内容がかなりトリッキーな内容で、主人公のシンジを中心とした登場人物の心中を描くといった内容で、突飛な出来事や抽象的な表現に、視聴者に衝撃を与えた結末となりました。その異色の内容が話題を呼び、再放送やリリースされたソフトの反響はたちまち『エヴァンゲリオン』ブームを表出させる結果となりました。

 そこでこの最終回の“外”では実際に何が起きていたのかが気になってくるわけですが、それを完全新作としての映像化が発表されます。ただ、発表から制作状況は一転して、当初の発表通りとはいかない事態を迎えました。

 当初は1997年に第25・第26話をリメイクした内容ということであった『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生 DEATH & REBIRTH』が春に公開予定でした。しかし“REBIRTH”にあたる後半部分の製作が間に合わないと判明し、劇場公開予定だったわずか1ヵ月前のタイミングで春時点では途中までのバージョンをTVシリーズの総集編と併映し、夏に改めて“完全版”として途中だった“REBIRTH”編の公開が発表されます。

 そんな“完全版”として公開された映画こそ改められた第25話「Air」と第26話「まごころを、君に」を合わせた『新世紀エヴァンゲリオンAir/まごころを、君に』だったのです。

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◆二度目の最終回でも衝撃を与える!? やっぱり劇場版も普通じゃなかった

 公開に辿り着くまでも紆余曲折あったわけですが、今なお本作が語られるのはそれ以上にTV版の最終回に負けず劣らず、この劇場版で描かれた最終回も衝撃的な内容だったからです。

 TV版の最終回自体がかなり実験的な内容だったのに対し、具体的に登場人物に何が起きたのかを描いたはずの『新世紀エヴァンゲリオンAir/まごころを、君に』も超常的な内容に困惑や度肝を抜く結果をもたらします。

 展開の異様さだけではなくその手法もまた異様。本編中には実写の映像や当時アニメーションの制作をしていたGAINAX社に送られてきたメールや手紙、オンライン上での書き込みであったりと“現実”の描写が盛り込まれていました。

 当時から『エヴァンゲリオン』シリーズの人気が高かった一方で、わずかな映像からも察するに作品や発表体制であったりといった部分に批判的な声や過剰なまでの中傷があったとこれらの映像からも分かります。

 そのうえでさらに迎える結末は、決してハッピーエンドとは言い難い趣の事態を迎え、映画の最後のセリフを誰が何を言うのかについてもTV版とはまた違う内容ながらもその意図に思いを巡らせずにはいられないような、考えさせられるものとなっていました。

 今となってはこのラストシーンで描かれる情景や迎える結末は、現在の『エヴァンゲリオ』ンシリーズの完結作にあたる『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が呼応するような内容でもあるので、『シンエヴァ』は観たけれども“こっち”の最終回を観ていないと言う人にも、新鮮で発見のある体験になっています。

 

 ──30年という節目を迎える遥か昔に『エヴァンゲリオン』シリーズがどうピリオドを打たれたのかは、新劇場版シリーズから観始めたと言う人にこその面白味も生まれています。配信サービスなどで視聴はしやすくなりましたが、当時を疑似体験できるという点でもこのリバイバル上映は貴重なものとなるでしょう。

〈文/ネジムラ89〉

《ネジムラ89》

アニメ映画ライター。『FILMAGA』、『めるも』、『リアルサウンド映画部』、『映画ひとっとび』、『ムービーナーズ』など現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。映画『ミューン 月の守護者の伝説』や映画『ユニコーン・ウォーズ』のパンフレットにライナーノーツを寄稿するなどその活動は多岐にわたる。noteでは『アニメ映画ラブレターマガジン』を配信中。X(旧Twitter)⇒@nejimakikoibumi

 

※サムネイル画像:Prime Videoより 『「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」 (C)カラー』

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