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 『もののけ姫』や『エヴァンゲリオン』シリーズなど、近年は新作のアニメーション映画だけでなく、名作として名を残す作品のリバイバル上映の企画も次々と行われています。

 そんな中でTV放送の50周年を記念して2026年1月9日から『冒険者たち ガンバと7匹のなかま』が全国のイオンシネマを中心に上映されることが発表されました。

 本作は1975年に放送されたTVシリーズである『ガンバの冒険』を劇場公開用に再編集した1984年公開の総集編映画です。今でこそ“知る人ぞ知る”になってしまった本作がなぜ今なおフィーチャーされているのでしょうか。

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◆名クラシック『ガンバの冒険』が評価される理由とは?

 日本のTVアニメーション史において、たびたびピックアップされる作品が『ガンバの冒険』というアニメシリーズです。

 もともとは斎藤惇夫さんの書いた児童小説『冒険者たちガンバと15ひきの仲間』という原作があり、それをアニメーション化したものです。

 日本テレビ系列で1975年の4月から放送され、9月いっぱいまでの2クールにかけて放送された作品なのですが、その後も再放送などが何度も行われていたり、放送後も新たな製作チームで劇場版が製作されたり、放送から時を経た00年代にはタイアップゲームや漫画が連載されるなど、50年という歴史の中でもチームやメディアを変えてはたびたびその名前が上がる作品でした。

 比較的最近の作品では2015年に『ゴジラ−1.0』でも注目を浴びたプロダクション、白組が製作を務めた3DCGアニメーション映画『GAMBA ガンバと仲間たち』が製作されています。

 さまざまな形でリメイクを経ていった『ガンバの冒険』ですが、結局は1975年のTVアニメ版が名クラシックとして確固たる地位を築いており、後続の作品たちが結局それ以上の爪痕を残すことができていないというのが実情といえます。

 というのも元のアニメシリーズの何がすごいかといえば、今となっては製作陣に名を連ねるスタッフがとても豪華な点です。

 キャラクター原案や構成、チーフディレクターには『エースをねらえ!』や『あしたのジョー』などで知られる出崎統さんが務め、作画監督には『ルパン三世 ルパンVS複製人間』などでも活躍した椛島義夫さん、画面設定やレイアウトには映画『ドラえもん』シリーズでも有名な芝山努さんなどなど、詳しい人にはびっくりするぐらいに今となっては豪華なメンバーが集ったアニメーション作品でした。

 それだけの人材が集っていた作品というだけあって、今なおそのクオリティーに圧倒されるような映像と、ある意味直球ともいえるロードムービーぶりは後世に語られるだけの重厚なドラマを感じさせます。

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◆アニメ史に残る“凶悪”なキャラ「ノロイ」の存在

 そんな『ガンバの冒険』について語る上で避けては通れない存在がガンバたちの宿敵として登場する白イタチの“ノロイ”です。

 ノロイというキャラクターは当時放送を見ていた子供たちに強烈なインパクトを与え、今でも“トラウマキャラクター”として名を残しています。

 というのも、このノロイというキャラクターがめちゃくちゃ怖い! 私怨などではなく動物としての立ち位置として、絶対的に主人公たちを狩る側の存在として登場。

 性格も残虐非道であり、その上に知性も持ち合わせた上に狡猾なキャラクターなので存在として厄介です。

 そもそも主人公たちとの体格差も圧倒的な上に、キャラクターデザインもかわいらしい見た目の主人公サイドとも対極的な見た目をしているので、恐怖をそのまま体現したような存在感を放っています。

 前述の3DCG版でもこのノロイがスタイリッシュなビジュアルで再登場していたものの、オリジナル版と比較するとやはり細かなニュアンスの違いは感じられるもので、当時多くの子供達に恐怖を植えつけたワケは、このTVアニメシリーズ版を観てこそ分かる部分でしょう。

 そういった意味でも、ノロイの島までの旅を一気に見せて、ノロイとの戦いに焦点を絞った『冒険者たち ガンバと7匹のなかま』はノロイの存在を知るという体験にはちょうど良い作品といえます。

 

 ──アニメーション関連でもアニバーサリー企画がどんどん増えている昨今ですが、“50周年”はなかなか出てこない数字。それだけの年月を重ねてもなお、ピックアップされるというのは、それなりの“代え難い見応え”が映像に残されているのです。

〈文/ネジムラ89〉

《ネジムラ89》

アニメ映画ライター。『FILMAGA』、『めるも』、『リアルサウンド映画部』、『映画ひとっとび』、『ムービーナーズ』など現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。映画『ミューン 月の守護者の伝説』や映画『ユニコーン・ウォーズ』のパンフレットにライナーノーツを寄稿するなどその活動は多岐にわたる。noteでは『アニメ映画ラブレターマガジン』を配信中。X(旧Twitter)⇒@nejimakikoibumi

 

※サムネイル画像:トムス・エンタテインメント公式X(旧Twitter)より 『劇場版「冒険者たち ガンバと7匹のなかま」リバイバル上映キービジュアル (C)斎藤惇夫/岩波書店・TMS』

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