5月10日より『コードギアス 奪還のロゼ 第1幕』の劇場上映が始まります(その後、2024年6月下旬からDisney+にて独占配信予定)。この『コードギアス 奪還のロゼ』は“第1幕”と称しているように、連作で発表されるシリーズとなっていて、全12話のストーリーを四部作として毎月上映していきます。

 ただこのシリーズではこれまでのシリーズとも主人公が違ったり、これまでと描かれる時代も違います。これまでのファンはどういう姿勢で迎えるべき作品なのでしょうか。

◆実は改題されていた!『奪還のロゼ』はどんな内容なのか?

 『コードギアス 奪還のロゼ』は、これまでの『コードギアス』シリーズとは異なる主人公、異なる時代を描いて、シリーズの歴史をその先に進めていく新作となっています。

 舞台となるのは前作にあたる映画『コードギアス 復活のルルーシュ』の5年後である光和7年です。

 元貴族たちが建国宣言したネオ・ブリタニア帝国に占領された合衆国日本・旧ホッカイドウブロック。ここで“ナナシの傭兵”の異名を持つ傭兵の兄弟アッシュとロゼが、レジスタンス組織「七煌星団」からの依頼を受けて、囚われの身となったホッカイドウブロック領主の娘である皇サクヤを奪還するべく、ネオ・ブリタニアに挑んでいくという内容です。

 兄のアッシュは運動能力や操縦技術、弟のロゼは情報収集や指揮能力に秀でていて、兄弟それぞれに得意分野が違うところも特徴です。このコンビが果たしてどんな物語を展開していくのでしょうか。

 気になるポイントは弟のロゼの方だけがタイトルとなっていたり、クレジットでも兄よりも弟の名前が先に並んでいる点です。一見ダブル主人公にも思えますが、比重としては弟の方が物語の重要な立ち位置を担うのかもしれません。

 そもそもこのタイトルも当初は“奪還のゼット”という別の名前で発表されていた企画でした。発表以降に「Z」の文字が実際の戦争のプロパガンダでシンボルとして多様されるようになってしまったことから、変に意味合いが乗らないように、という配慮で改題されています。

 『コードギアス』シリーズは実在の国名が作中に登場したり、戦争や反乱といった要素がストーリーに絡んでくるシリーズなだけあって、慎重にそれらのテーマを扱っている姿勢がこの配慮からは感じられます。

◆ルルーシュは登場するの?そもそも今ルルーシュは?

 今回の新シリーズで気になることと言えば、やはり従来の主人公であるルルーシュが登場するのか? という点です。現時点ではルルーシュの登場は明言されていないので、登場するのかどうかは分かりません。ただし、ルルーシュの登場は十分期待できるでしょう。

 前作『コードギアス 復活のルルーシュ』は、タイトルにもあるようにルルーシュの“復活”を描いた物語となっていました。この映画は最終的にL.L(エル・ツー)とC.C(シー・ツー)の二人が世界に残るギアスの欠片を探す冒険として続編が作れる余地を残して物語は幕を下ろします。それはつまり“今後もルルーシュの活躍が描ける”ように出来ており、『コードギアス 復活のルルーシュ』以降が舞台となるのであればなおさら登場を期待できるでしょう。

 また、以前にスピンオフシリーズで制作された『コードギアス 亡国のアキト』シリーズも主人公がルルーシュではなくE.U.軍の特殊部隊員のアキトとして制作されました。しかし作中では正体を隠したルルーシュが途中で登場しており、『コードギアス 反逆のルルーシュ R2』へと繋がる橋渡しの役割も担いました。

 物語の重要な役割を担っていくのか、はたまた今後の展開へと繋がる役割を担っていくのか扱い方はまだ分かりませんが、せっかく再登場の余地を残している今、全くノータッチでシリーズは終えないのではないでしょうか。

 ちなみに今回の『コードギアス 奪還のロゼ』の監督を務めるのは『ギャラクシーエンジェル』や『セイクリッドセブン』などのTVアニメシリーズの監督を務めた大橋誉志光氏。監督が変わってしまうことに不安を感じる人もいるかもしれないですが、従来のシリーズの監督・脚本を務めた谷口悟朗氏や大河内一楼氏は今回、ストーリー原案として参加しています。

 もともと『コードギアス』がシリーズ化できるプロジェクトとして依頼されたという作品で、それをふまえたケジメとして谷口氏は『コードギアス 復活のルルーシュ』を制作したことも当時語られています。

 これまでの『コードギアス』シリーズを描いてきた二人が作ってくれた今後の物語の余地をいかにして紡いでいくのか。『奪還のロゼ』はまさにその“第1歩目”という意味が乗ってくるだけに、ファンにとっては見届けておきたい作品となりそうです。 

〈文/ネジムラ89〉

《ネジムラ89》

アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレターを配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi

※サムネイル画像:YouTubeチャンネル『コードギアスチャンネル CODEGEASS Channel』より


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