シャア専用機といえばシャア専用ザクなどが挙げられますが、実は小説やゲームでは、シャアがリック・ドムやガンダムに搭乗したりしています。また、ガンダムNT-1(コードネーム、アレックス (ALEX))は、もともとアムロ専用機として作られたわけではありませんでした。どこがニュータイプ専用機なのでしょうか?
◆知られざる「シャア専用モビルスーツ」の世界
『機動戦士ガンダム』で活躍したシャアの専用機ですが、小説版やゲームでしか登場しない専用機の中には、リック・ドムや、まさかのガンダムもあります。さらにシャア専用ザクとジオングにまつわる有名シーンから、パイロットとしてのシャアのこだわりを知ることができます。
●小説版では決戦兵器──リック・ドム
シャア専用リック・ドムは小説版で、ザクを破壊されたシャアが搭乗した最後の愛機です。
小説版の『機動戦士ガンダム』ではジオン軍のモビルスーツはザクとリック・ドムしか存在しないので、アニメ版におけるゲルググやジオングのポジションに当たります。
シャア専用リック・ドムは特別高い推進力を持っていますが、推進力が高すぎるあまり小回りは利かず、シャアの反応速度に対応しきれていませんでした。
専用機に限らず小説版のリック・ドムは、テレビ版と異なりビームバズーカやビームサーベルと言ったビーム兵器を装備しています。
それでも性能的にはガンダムどころかジムにも敵わないものですが、アムロとの決戦時に、シャアに帯同したルロイはリック・ドムでアムロの乗ったガンダムを撃墜しています。
シャアとアムロが分かり合えたかもしれない、テレビ版とは異なる可能性が開かれた瞬間に起きた悲劇でした。
●まさかの赤いガンダム──キャスバル専用ガンダム
キャスバル専用ガンダムは、連邦の白い悪魔と呼ばれたガンダムと同型の赤いガンダムです。
ゲームの『ギレンの野望』シリーズで、シャアが早い段階でザビ家から離反し、ジオン・ダイクンの息子のキャスバル・レム・ダイクンとしてネオ・ジオンを発足した場合、ニュータイプの象徴として建造します。
性能面もカスタマイズされた結果、運動性に特化した接近戦向きのモビルスーツになりました。
『ギレンの野望』以外のゲームに登場することも多く、シャア専用ザクよろしくキックをするところからも、接近戦に特化していることがうかがえます。
通常のガンダムとの違いは、カラーリングだけでなく、腰のV字マークや、シールドの星型マーク(連邦軍のマーク)がないことです。
詳しく読む⇒シャアがガンダムに搭乗!? 知られざる「シャア専用モビルスーツ」の世界
◆ガンダムNT-1(アレックス)は「アムロのため」に作られたワケじゃない?
『機動戦士ガンダム0080ポケットの中の戦争』で活躍したガンダムNT-1(コードネーム、アレックス (ALEX))は地球連邦軍の数少ないニュータイプ専用機で、ホワイトベースのアムロに届けられる予定でした。
同時代のジオン軍のモビルアーマーにはブラウ・ブロやエルメスなど、ニュータイプ用の武装を装備している機体がありますが、そのような装備のないガンダムNT-1のどこがニュータイプ専用だったのでしょうか。
●元々はアムロ専用機ではなかった
アムロがサイド7で初めてガンダムに乗りこんだ日が、宇宙世紀0079年9月18日です。一方でガンダムNT-1の開発が始まったのは同年の8月なので、アムロがガンダムに乗る前から開発がスタートしていたことになります。
媒体によっては、「ガンダムNT-1はアムロのために開発された」と表現されることがありますが、正確にはアムロ専用機として最終調整されたのでしょう。
そもそも地球連邦軍は、シャアの父であるジオン・ズム・ダイクンが提唱したニュータイプ論やジオニズムとは反目しており、ニュータイプの実在さえ疑っていた状況でした。
ニュータイプが何者なのかも分からないそんな中で開発がスタートしているので、当然ジオン軍のようなサイコミュ兵器の開発には遅れをとっています。
●どこがニュータイプ専用なのか?
サイコミュ兵器などのニュータイプ専用装備がない中で、ガンダムNT-1のどこがニュータイプ専用にアレンジされていたのかというと、高い反応性です。
ニュータイプというのは、ビーム兵器が発射されてから目視で避けるくらい反応性が高いらしいことは連邦軍側も把握していました。
のちにアムロのガンダムにも施されるマグネットコーティングはもちろん、グリプス戦役の頃には当たり前のように各機に採用されていた全天周囲モニターとリニアシートを初装備しています。
またスラスターの増設と大型化により、総推力はアムロのガンダムの3倍近くまで向上し、宇宙世紀のガンダムタイプでもトップレベルのスラスター推力があります。
通常の3倍の専用機と聞くと、シャア専用ザクを意識したスペックだったのかもしれません。
総重量もアムロのガンダムと比較して3分の2まで軽量化されており、ニュータイプの高い反応速度と機動性によって戦闘を有利に進める意図があったのでしょう。
一方、耐久性を補うための装備としてチョバムアーマーもありますが、機動性を損なわないためにアーマー自体にもスラスターがついています。
しかしニュータイプが登場する際は被弾を前提としない分、余剰な装備になるので、アムロの下に届いていたら、チョバムアーマーは使用されなかったかもしれません。
詳しく読む⇒ガンダムNT-1(アレックス)は「アムロのため」に作られたワケじゃない? どこが「ニュータイプ専用」なのか?
〈文/アニギャラ☆REW編集部 @anigala01〉
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