『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(以下、『逆襲のシャア』)の主役機であるνガンダム。左側にだけ装備されたフィン・ファンネルがもたらす、左右非対称の独特なデザインは、今でも高い人気を誇っています。そんなνガンダムのフィン・ファンネルですが、元々マントとしてデザインされていたそうです。
◆ νガンダムのファンネルはマントが原型? 機能と美学を両立した意匠の妙
『逆襲のシャア』にて、アムロの最後の搭乗機として活躍するνガンダム。本体は、初代ガンダムに原点回帰したシンプルなデザインが特徴的です。そんな本機にインパクトを与えているのは、機体背部の左側に装着されたフィン・ファンネルでしょう。
シャア・アズナブルとの最後の戦いに挑むため、用意されたサイコミュ兵器は、ネオ・ジオンの最新鋭の機体相手に有効な働きでした。そんなフィン・ファンネルですが、当初はマントとしてデザインが進められます。
『グレートメカニックG 2017WINTER』(出版社:双葉社、2017年12月18日出版)によると、νガンダムのデザインにあたって、富野由悠季監督から「ガンダムにマントをつけたい」というオーダーがされていたようです。
元々、富野監督はνガンダムには、本体に変形や合体機構も取り入れないシンプルな機体にしたいと考えていました。そこで、オプション兵装として、機能性を持たせたマントを装着させることが決定したといいます。
そして、何人ものデザイナーから、νガンダムのデザイン案が上がってきますが、中々ピンとくるものはなかったようです。メカ的機能を持ったマントをモビルスーツに取り入れるのは難しく、中には布のマントをそのままつけたようなデザインも上がってきたと語られています。
そんな中、メカデザイングループであるヴィジャルデザインから、「マントが分離してフィン・ファンネルになる」というアイデアが出ました。この案を土台に、片側だけにファンネルがついた、ペリース(左肩だけにマントをかけるスタイル)を思わせる独特のデザインが生まれたそうです。
──情緒あふれるファッションと、兵器としての機能美が融合した結果、片側だけに武装を装備した唯一無二のシルエットが完成。富野監督が出した難問を、技術的アイデアで突破したこの形状こそ、リアルロボットの極致といえるかもしれません。
〈文/北野ダイキ〉
※サムネイル画像:BANDAI SPIRITS公式Webサイトより 『「MG RX-93 νガンダム(ニューガンダム)」 (C)創通・サンライズ』


