『機動戦士ガンダム』にて、カイ・シデンや、ハヤト・コバヤシの乗機として知られるガンキャノン。ヒロイックなガンダムに対して、マッシブな印象を受けるフォルムが特徴的です。そんなガンキャノンですが、元々ガンダムとなるべくデザインされていたといいます。
◆ガンキャノンは幻の主役機? 没案から名機へ転生した驚きの経緯
『機動戦士ガンダム』にてガンダム、ガンタンクと並び、地球連邦軍のV作戦で生み出されたガンキャノン。トリコロールカラーや、ツインアイを有するガンダムに対して、真紅の機体色に、ゴーグル型のセンサーを有するガンキャノンはより兵器的なデザインに感じられます。
そんなガンキャノンですが、実は元々ガンダムとなるべくデザインされていました。『オリコンニュース』が2019年4月1日に配信した「大河原邦男、モビルスーツの生みの親が語るザク誕生秘話「ガンダムへの反骨心」」という大河原邦男氏へのインタビュー記事によると、元々ガンキャノンは安彦良和氏がガンダムのデザイン案として提出したものがベースとなったと語られています。
当時、大河原氏と安彦氏は、「それまでのロボットデザインから抜け出したい」というオーダーを元に、ガンダムのデザインを進めていました。そして、安彦氏が提案したのが『宇宙の戦士』のパワードスーツをモチーフにしたロボットだったのです。
一方の大河原氏は、宇宙服をベースとしたロボットを提案しました。ただ、どちらも主役ロボット向きではなかったため没となります。
その後、大河原氏が改めて提案した、侍ベースの機体がガンダムのベースとなりました。一方、安彦氏の提案したデザイン案は、主役機にはなれなかったものの、ガンキャノンとして流用されます。
ちなみに、主役機の没案が、別の機体として流用されるのは珍しくありません。たとえば、『∀ガンダム』に登場するスモーもその1機です。『ターンエーガンダム全記録集1』(出版社:講談社、2000年1月1日出版)によると、スモーは元々∀ガンダムの没案でしたが、のちにデザイン性を評価され敵勢力の主力機として登場しました。
なお、アニメ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』ではガンダムがシャアに奪取されたことで、ガンキャノンをベースとした、軽キャノンが連邦の主力機となっています。これは、ガンキャノンが元々主役機としてデザインされていた経緯を、元ネタにしているのかもしれません。
──主役機としては選ばれなかったデザインが、のちに連邦軍の中核を担う中距離支援機として花開いた。その経緯は、デザインの妙といえるでしょう。
〈文/北野ダイキ〉
※サムネイル画像:バンダイ ホビーサイトより 『「MG RX-77-2 ガンキャノン」 (C)創通エイジェンシー・サンライズ』


