『機動戦士Zガンダム』の続編となる『機動戦士ガンダムZZ』(以下、『ガンダムZZ』)。アムロ・レイやシャア・アズナブルといった、お馴染みのキャラクターは本編に登場しません。しかし、初期案では主人公ジュドー・アーシタのライバルとして、シャアが立ち塞がる予定だったといいます。
◆シャアが『ガンダムZZ』のラスボスに? 映画化で消えた幻のライバル案
『ガンダムZZ』はシャングリラの少年、ジュドーを中心とした群像劇的な側面の多い作品です。そのため、アムロやシャアのようなお馴染みのキャラクターは登場せず、序盤は『ガンダム』には珍しいユニークな作風で描かれています。
そんな『ガンダムZZ』ですが、初期案ではジュドーのライバルとして、シャアが立ち塞がる予定でした。『別冊アニメディア 機動戦士ガンダムZZ PART.2完結編』(出版社:学習研究社、1987年3月1日)によると、初期案でシャアはハマーンと手を組んで連邦の敵となります。
そして、ハマーンが地球への進軍を開始するころ、シャアは連邦高官を亡き者にするため、部隊を率いて動き出すのです。そして、連邦政府に地球人の、宇宙移民を確約させたのち、シャアはハマーンの軍に合流。
それから幾度も、シャアはジュドーの前に立ち塞がります。ジュドーはシャアと敵対する中で、徐々に戦士として成長していくというのが一連の流れです。つまり、本作のシャアは、ジュドーの成長を促す教師のような役割を与えられていました。
最終的に、シャアはハマーンを裏切り、彼女を討ち取ります。その隙にアーガマの面々も、ハマーンの操り人形となっていたミネバ・ザビを救出し保護。その後、ジュドーはシャアと最後の戦いに挑むのです。
しかし、『アニメージュ 1988年3月号』(出版社:徳間書店、1988年3月10日出版)によると、これらの企画はアニメ放映中に、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(以下、『逆襲のシャア』)の制作が決定したため幻のプランとなりました。なお、アニメ初期にはこの設定が残っていたからか、オープニングに1カットだけシャアが登場しています。
──『ガンダムZZ』には、ジュドーの成長を促す教師としてのシャアや、ハマーンへの反旗など、幻のプロットには壮大なドラマが眠っていました。この路線の変更が、のちに傑作『逆襲のシャア』へとつながったと考えると、アニメ史における大きな分岐点だったといえるでしょう。
〈文/北野ダイキ〉
※サムネイル画像:Amazonより 『「評伝シャア・アズナブル《赤い彗星》の軌跡」(出版社:講談社)』


