『機動戦士Zガンダム』(以下、『Zガンダム』)の主役機であり、主人公機としては初の変形機構を有しているZガンダム。ウェイブライダーと呼ばれる航空機形態の秀逸さは、今もなお語り継がれています。そんなZガンダムですが、初期案ではシャトルのような形をしていたといいます。
◆ Zガンダムは「空飛ぶシャトル」だった? 傑作機の衝撃の初期案
『グレートメカニックG 2018 SUMMER 』(出版社:双葉社、2018年6月1日出版)によると、『Zガンダム』の企画が進んでいたころ、世間では変形ロボットが人気を博していました。それを受け、『Zガンダム』の主役機にも、変形機構を取り入れることを制作現場に要望します。
富野由悠季監督もこれを了承しますが、変形機を登場させる意味やデザインへの理由づけに苦悩したようです。そのため、デザイン決定までに膨大な時間がかかり、その過程でさまざまなZガンダム案が生まれました。
その中の一つに、『機動戦士ガンダム』でメカニカルデザイナーを務めた、大河原邦男氏が描いたデザインがあります。『機動戦士Zガンダム 完全収録版 別冊アニメディア』(出版社:学習研究所、1986年3月30日出版)には、その一部が掲載されており、中には背部のユニットがシャトルに変形し、モビルスーツ部分は寝そべるだけという非常にシンプルなものもありました。
作画のしやすさ、玩具化した際の壊れにくさには優れているものの、現在知られるZガンダムからはかけ離れています。最終的にこの案は没になりますが、前述の『グレートメカニックG 2018 SUMMER 』によると、大河原氏の案の中にあった背面の可変翼が前方に回るという変形方法は、Zガンダムの決定稿に取り入れられました。
また、大河原氏のデザイン案はのちに、『HOW TO BUILD GUNDAM WORLD 3 MOBILE SUIT Ζ GUNDAM』(出版社:ホビージャパン、1986年5月10日出版)にて、シャトルガンダムとして立体化されています。
──シャトルを背負うような初期案は没となりましたが、そのギミックは決定稿へと継承されました。変形ロボットブームという要請に対し、何人ものデザイナーが試行錯誤した末に、今もなお愛される可変モビルスーツが生まれたのです。
〈文/北野ダイキ〉
※サムネイル画像:バンダイ ホビーサイトより 『「MG 1/100 ゼータガンダム Ver.Ka」(C)創通・サンライズ』


