アムロ・レイの生涯のライバルとして知られるシャア・アズナブル。『機動戦士Zガンダム』(以下『Zガンダム』)ではクワトロ・バジーナを名乗り、主人公であるカミーユ・ビダンの導き手として活躍しました。そんなシャアですが、初期案では彼が主人公としてシロッコと戦う案があったといいます。
◆主役はシャアとアムロ? シロッコと激突する「幻のZガンダム」
『Zガンダム』におけるクワトロは、あくまでカミーユの師匠的ポジションとして活躍しています。作中では、カミーユにとっては最も身近なニュータイプの先輩として、彼の成長に貢献していました。
しかし、『機動戦士Zガンダム 完全収録版 別冊アニメディア』(出版社:学習研究社、1986年3月30日出版)に掲載された初期案ではシャアが、『Zガンダム』の主人公を務める予定だったと語られています。
初期プロットによると、ア・バオア・クーから脱出してから7年後、シャアは地球連邦政府に幽閉されていたアムロと結託。腐敗した連邦と戦いつつ、次世代のニュータイプを守るため立ち上がります。そして、シャアの元にかつてのホワイトベースのクルーも集い、連邦の勢力に対抗していくのです。
しかし、そんなシャアの前に、強大な敵が立ち塞がります。それが、パプテマス・シロッコです。シロッコは、シャアも超える才能の持ち主とされており、たった1人でもティターンズに対抗できる勢力を持っているとされています。
そんなシロッコの圧倒的力を前に、徐々にシャアは追い詰められていきました。ですが、カミーユら第二勢力が、次の時代を構築するだろうという希望も生まれつつ、物語が終了するというのが一連の流れです。
ちなみに、初期案ではシャアのニュータイプとしての感応は失われていると設定されていました。そして、戦場に赴くのは、刺激のある局面に直面すれば、感応を取り戻せるかもという淡い期待があるからとも語られています。アニメ本編でもこの設定の名残があるのか、シャアはシロッコに「ニュータイプの成り損ない」と罵倒されていました。
──アムロとともに次代を守るはずだった初期案に対し、映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』では人類に絶望し敵対する道を選んだ事実は皮肉なものです。しかし、この決裂があったからこそ、アニメ史に残る2人の決着が描かれたともいえるでしょう。
〈文/北野ダイキ〉
※サムネイル画像:Amazonより 『「機動戦士Zガンダム Define シャア・アズナブル 赤の分水嶺」第15巻(出版社:KADOKAWA)』


