『機動戦士Zガンダム』におけるシャアの愛機である百式。肩に描かれ百の文字と、それまでのシャアのイメージを払拭するような金色の機体色が特徴的です。そんな百式の特徴ですが、これらはデザイナーではなく、突然、富野由悠季監督が提案したものだといいます。
◆赤色はもう古い? 富野監督のひらめきが変えたシャアの象徴
百式はクワトロ・バジーナとして活動していたころのシャアの愛機です。当時、「赤い彗星」の異名を持つシャアの専用機が、金色になったことはファンにも驚きを持って迎えられました。そんな百式の色と、肩の百という文字は、元々富野監督のひらめきから生まれています。
『別冊アニメディア 機動戦士Zガンダム』(出版社:学習研究所、1986年3月30日)によると、元々百式という名前ですらなく、00100型という名前のネモの発展機でした。
しかし、ある日のバンダイとの会議で富野監督が「肩に百を入れます」「赤色は古い金色にしよう」と突然言い出したようです。結果、肩に百の文字が刻まれた、百式という機体が完成したようです。
なお、プラモデル『1/100 MSN-00100 百式』の説明書などでは、「M・ナガノ氏が100年保つMSになるよう」と願いを込めて、百式と名付けたと解説されています。 M・ナガノとは、百式の原案をデザインした、永野護氏を元ネタとした架空の人物です。
そのため、百式の名前や、色は永野氏がつけたと勘違いされているケースもあります。しかし、先述した通り、百式の名前と色に関して永野氏は関与していないといいます。
ちなみに、『別冊アニメディア 機動戦士Zガンダム』(出版社:学習研究所、1986年3月30日)では、Zガンダムのプロトデザインも掲載されていますが、その中に肩にZの文字が刻まれたデザイン案があります。おそらく、富野監督はここから着想を得て、百式の肩に百の文字を刻んだのではないでしょうか?
──富野監督の突発的な提案が、「シャアは赤」という固定観念を塗り替え、金色のモビルスーツという新たなアイコンを確立させました。クリエイターのひらめきが、のちに重厚な設定として結実していく様こそ、『ガンダム』という作品を深化させる原動力だと、改めて実感させられます。
〈文/北野ダイキ〉
※サムネイル画像:バンダイ ホビーサイトより 『「HGUC 1/144 百式」(C)SOTSU・SUNRISE』


