『ガンダム』シリーズの人気の高さはシリーズを越えた他作品でのパロディからもうかがい知ることができます。

 もはやパロディの域を越えてモビルスーツ自体が登場しているアニメや、声優や台詞の引用、果てはガンダムを使ってアイドルの気持ちを表すなんてことも──。

◆サンライズの底力──『焼きたて!! ジャぱん』&『銀魂』

 『焼きたて!! ジャぱん』や『銀魂』は『ガンダム』シリーズと同じサンライズ製作のアニメなので、パロディと言いつつ、原作そのままのモビルスーツが登場していました。

 『焼きたて!! ジャぱん』第29話「迫撃!!ブラックジャぱん誕生!」では黒い三連星そっくりのパン職人が登場。東和馬の作った竹炭入りのクロワッサンを食べたところ、3機のドムに搭乗しジェットストリームアタックを破られる名シーンを再現しています。

 ドムを倒したガンダムはノーベルガンダムに変更されており、コクピットに乗っている梓川雪乃はシーマ・ガラハウそっくりのコスプレという、『ガンダム』シリーズ内でも作品を越境した、ここでしか見られない映像になっていました。

 『銀魂』は原作の時点より多数のパロディが見られましたが、中でもアニメの第232話~第236話の蓮蓬篇に注目です。

 この長編ではエリザベスのルーツである蓮蓬という宇宙傭兵部族が描かれ、頑侍(がんさむ)という対侍用機動兵器が登場します。この頑侍、顔にモザイクがかかっているものの、どう見てもガンダムにそっくりで、発進シーンでは「翔べ!ガンダム」がBGMでかかるなど、隠す気があると思えないほどです。

 版権元がサンライズであることを活かして、訴えられても大事にならない、なかば脱法的なパロディネタでした。

◆この声は、ガンダムキャラ勢ぞろい!?──『名探偵コナン』&『ケロロ軍曹』

 『ガンダム』シリーズの人気キャラクターを演じた声優を積極的に起用することで、パロディネタを散りばめている作品もあります。

 『名探偵コナン』では安室透、赤井秀一がそれぞれアムロと赤い彗星のシャアに対応し、下の名前もそれぞれを演じる声優の古谷徹さん、池田秀一さんから付けられています。

 赤井秀一の初登場回である第230話~第231話「謎めいた乗客」に登場する容疑者の名前も『ガンダム』シリーズに大いに縁のある富野由悠季監督と安彦良和さんから付けられたもので、『ガンダム』シリーズへのリスペクトが込められています。

 『ケロロ軍曹』は作中でケロロ自身が趣味としてガンプラ作りをしているところからもガンダム愛があふれていますが、出演歴のある声優も多数出演しています。

 ケロロ自身がカテジナ役の渡辺久美子さんであることを筆頭に、クルルがギンガナム役の子安武人さん、ガルルがガトー役の大塚明夫さんなど、挙げるときりがありません。

 極めつけは『超劇場版ケロロ軍曹』では作者を思わせる漫画家の役に古谷徹さんを配しており、ガンダムを慕うケロロの気持ちが結実したかのようです。

◆もはやただの『ガンダム』オタクトーク──『GTO

 『GTO』に登場したガンダム三兄弟はその名のとおり、『ガンダム』好きの中学生3人組です。

 修学旅行で同室になったIQ200の天才少女、神崎麗美に対して、どのガンダムが好きかを当てっこするという不毛極まりないオタクトークを浴びせました。

 三兄弟と言っても血縁関係はなく、ガンダム好きの同好の士としてつるんでいます。

 部屋番号の「0080」を見て『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』の話をし始めたり、好きなガンダム作品から性格がわかるという「ガンダム占い」を始めたりします。

 演じているのはアムロ、ドモン、ヒイロと言った『ガンダム』シリーズで主役を演じた声優ばかりなこともネタの切れ味を鋭くしており、シャアの台詞を引用しながら嬉々として会話する姿はまぎれもなくただのガンダムオタクでした。

◆アイドルアニメにおける『ガンダム』──『アイカツ!』&『ラブライブ!

 『アイカツ!』シリーズも『ラブライブ!』シリーズも『ガンダム』シリーズと同じサンライズ製作作品です。

 それ故か本格的なパロディシーンもある一方で、サンライズ製作でガンダムを使えるからこその表現がありました。

 『アイカツスターズ!』では奔放な二階堂ゆずがどこかへ行かないためにお付きの生徒がガンダムのハイパーバズーカで捕獲ネットを飛ばしていましたが、第51話では白銀リリィがガンダム試作2号機のアトミックバズーカを使用。アトミックバズーカの接続から発射までのギミックの再現度が高く反響の大きいものになりました。

 『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』の第13話「みんなの夢を叶える場所」の冒頭では、お台場がフェス会場と言うこともあり、ユニコーンガンダム立像がそのまま登場します。

 しかしただ背景としてカメオ出演的に描かれていたわけではなく、ライブ中はデストロイモード、降雨による中断中はユニコーンモード、ライブ再開後は緑色のデストロイという具合に、アイドルたちの心情にそって姿を変え、ライブを盛り上げる演出として活躍しました。

〈文/雨琴〉

 

※サムネイル画像:Amazonより

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