命がけの戦いを生き延びたガンダムキャラたちの中には、その後の活躍や動向について明かされている人物もいます。
やりたい放題に見えたヤザンがティターンズ時代を後悔していたり、ジュドーがどうやら大規模NGOのリーダーになっていたり──。
◆「人を癒して生きていきたい」カミーユは医者に
カミーユは漫画『機動戦士ガンダム ムーンクライシス』にて、月面のグラナダ市で医者として暮らしている描写があります。
『機動戦士Ζガンダム』の終盤でシロッコと決着をつけたカミーユは精神疾患を発症。続く『機動戦士ガンダムΖΖ』の作中でもファに介護してもらったり、ダブリンの街で爆撃から避難する際には病室を抜け出したり、不安定な状態にありました。
その後ジュドーたちと別れ、ファとともにグラスゴーで生活を始め、『ΖΖ』最終話では海岸でファと寄り添う姿から、病状は快方に向かっていることがうかがい知れました。
そして『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の時代、『機動戦士ガンダム ムーンクライシス』では、ネオ・ジオン総帥となったシャアの演説を、カミーユは街頭モニターで目撃します。
ブライトの所に行くかどうか、ファから尋ねられたカミーユは、医学生として「人を癒して生きていきたい」と言う気持ちを明らかにしました。
カミーユは自身が精神疾患から癒された経験があるからこそ、人を癒していく人生を選びたかったのかもしれません。
◆ジュドーは木星でじいさんになった!?
ジュドーは『機動戦士ガンダムΖΖ』の最終話でルーとともに木星船団公社の一員として木星圏に旅立った後、木星じいさんになったといわれています。
木星じいさんとは、長谷川裕一先生の漫画『機動戦士Vガンダム外伝』に登場するグレイ・ストークの異名です。
ストークはΖΖガンダムを補修したらしきガンプと言うモビルスーツを愛用しており、同作者の『機動戦士クロスボーンガンダム』シリーズにもたびたび登場しています。
ストークは木星船団公社のリーダーで、『クロスボーンガンダム』シリーズにおける木星帝国の暗躍や、ザンスカール帝国の起こした戦争など、地球圏でくり返される戦乱に嫌気が差しており、コロニーを改造した冬眠船で太陽系外に移民する計画を立てています。
小型モビルスーツが主流の時代においてもガンプを駆り続け、ウッソと共闘し移民を妨害に来たザンスカールのゾロアット部隊を退けました。太陽系外に脱出した後の動向は分かっていません。
ちなみにゲーム作品ではストークの声もジュドー役の矢尾一樹さんが演じています。そしてジュドーとストーク双方の関係者から、同一人物であることを匂わせる掛け合いが交わされることも、ジュドーが木星じいさんになったといわれている理由でしょう。
◆ジョブ・ジョン──老獪なマッドサイエンティスト
一年戦争を生き延びたジョブ・ジョンはマッドサイエンティストになっていました。
『機動戦士ガンダム デイアフタートゥモロー ―カイ・シデンのメモリーより―』で、ジョブがカイに対して語ったところによると、一年戦争時代、ホワイトベースクルーの中で正規軍人であるにも関わらず、アムロら民間人よりも活躍することができなかったことを責められ、耐えられなくなり軍を除隊。サナリィに入社しました。
そして漫画『機動戦士ガンダムF90』シリーズではフォーミュラ計画に携わり、F90の開発責任者であり、F91の機体設計も行っています。
一年戦争時代にアムロと交わした言葉が原因となり、ニュータイプに対する劣等感と、ニュータイプ故の不幸へのやりきれなさを同時に抱いた彼は、F90のニュータイプ専用兵装開発のために13歳の子供までパイロットの対象にするくらい倫理観がマッドになっていました。
加えてF90が奪取された際も「良いデータがとれそうだ」と、修羅場をかいくぐってきた人物とはいえ、公には言ってはいけないような感想を漏らすマッドサイエンティストっぷりを発揮しています。
◆ヤザン──ティターンズ時代を後悔!?
ヤザンは『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』において、ヴァースキ・バジャックの偽名を使って再び連邦軍に所属しています。
ティターンズに参加していたころについては、「思想も無いのに思想組織へ入って酷い目にあった」と語り、「大失敗」と後悔していました。
それもそのはずで、ヤザンは戦闘狂のイメージが強い一方で、実際に暴力を振るったシーンは少なく、『Ζ』の作中でもコロニー落としや毒ガス作戦などの非人道的作戦には嫌悪感を示しています。
ヤザンは『ΖΖ』の序盤でジュドーを焚きつけてΖガンダムの強奪を目論みますが、ジュドーがアーガマとともにシャングリラを去った後の動向は謎でした。
その後ヴァースキと言う偽名を名乗ることで再び軍籍を獲得し、モビルスーツ隊ナイトイェーガーの中隊長に就任しています。
ナイトイェーガーではジムナイトシーカーに搭乗しており、ガブスレイが装備していたフェダーインライフルやハイザックのシールド、そして海ヘビ等、ティターンズ系の装備を愛用しています。
──完結した物語のその後、職業や名前を変えて第2の人生を送るキャラクターたち。後悔のない人生にしたいのは現実も物語も同じなのかもしれません。
〈文/雨琴〉
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