観た人にサプライズのある作品の話をするのは難しいものでして、『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)-Beginning-』もまさにそんな渦中の作品となっています。

 作品の公開まもなくSNSでは観た感想をあげる人が多くいる一方で、感想と言っても具体的に何が起きていたのかは明かさない声もあり、それよりも「早く観た方がいい」と観る前に内容を知ってしまわないように注意を促す声もよく上がっています。

 既に公開が始まっている映画なのですが、いったい何が起きているのでしょうか。

◆映画の中にはサプライズが隠されている? 公式からも「ネタバレへの注意」があった?

 この映画が公開されたのは1月17日なのですが、その直前の16日にBANDAI SPIRITS ホビー事業部のX(旧Twitter)公式アカウントが注意を促す投稿をしています。

 映画の公開の同日に作品に登場する機体のプラモデルが発売されることに伴い、商品内の作品に関わるネタバレにつながる内容の投稿や配信を配慮するようにというお願いでした。映画の広報とは別に、タイアップ商品の販売元がネタバレに関してこういった発表をするのは珍しいです。

 しかし、実際に映画を観てみると、確かに事前の予告映像では作品の根幹とも言える部分でまったく触れられていない、秘密の設定や内容などが含まれています。特例として事前にこういった注意喚起を促すのも無理はないサプライズにもなっていました。

 それを踏まえると劇場で驚く楽しみが奪われないように注意喚起をすることは、すぐに劇場に足を運べない人へのコンテンツを提供する側からの優しさでもあり、いち早く触れてくれた人への体験の担保ともいえます。

◆話してほしいのに話題にしてもらえない! 『ジークアクス』の画期的な対抗策は?

 一方で映画の本編内にサプライズが隠されているとはいえ、映画を観た人がその内容について公に触れにくいのは観た側としては苦しいし、制作や配給側としても本編の話をもっとしてほしいという気持ちもあるでしょう。

 その点に関しては、既に映画を観た人のためだけのチャットルームを作るという解決案に挑戦しています。

 ガンダムの公式YouTubeチャンネルである『ガンダムチャンネル』にて、ネタバレ無制限フリーチャットを公開しました。

 “フリーチャット”とは称していますが、YouTubeを活用しているので厳密には“動画”のページです。

 YouTubeでは事前に投稿する動画を予約して配信する機能の「プレミア予約」があるのですが、このプレミア予約した動画のページは、動画が公開日時をまだ迎えていなくても視聴者は動画のチャット機能だけを使えます。

 そのシステムを利用して、動画の公開日時を2年以上先に設定することで、長期間利用できるチャットルームをYouTubeに設立することに成功しています。

 また、コメント欄も動画が公開されていなくても使えるので、アニメーションの制作を担当していた株式会社カラーの公式アカウントがコメント欄で質問募集も行っています。

 具体的な回答の機会が決まっていないので、「今後なんらかの機会に答えられるかも」という前提での募集となっていますが、既に100件以上の返信が付いています。

 昨今はネタバレに気をつけないといけないような映画が増えてきていますが、観た人も楽しめるような場を設ける例として、今回の『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)-Beginning-』のアイディアは他の映画でも活用していけるでしょう。

◆ネタバレ禁止の厳戒態勢の期間は短いか?  新たな映像も発表

 ただしこういった取り組みをしていながらも、公開の初週末を明けた1月20日には公式から新たな情報が発表されています。「ネタバレ注意」とタイトルに付けられているものの、公開前には公にしていなかった“もの”も含まれるプロモーションリールが公開されました。

 確信的なネタバレ内容を明言しているわけではないものの、新情報が早くも明らかにされていることからも公式サイドとしてもちょっとずつ隠していた要素も公にしていくという姿勢の表明として受け取れるかもしれません。

 今や情報の拡散が簡単にできる時代なので、映画の本編に隠された秘密をどのタイミングで宣伝などで明かしていくのかは難しいところ。その点でも『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)-Beginning-』は今後の映画の興行も参考にできる例といえます。

〈文/ネジムラ89〉

《ネジムラ89》

アニメ映画ライター。『FILMAGA』、『めるも』、『リアルサウンド映画部』、『映画ひとっとび』、『ムービーナーズ』など現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。映画『ミューン 月の守護者の伝説』や映画『ユニコーン・ウォーズ』のパンフレットにライナーノーツを寄稿するなどその活動は多岐にわたる。noteではアニメ映画ラブレターマガジンを配信中。X(旧Twitter)⇒@nejimakikoibumi

 

※サムネイル画像:https://www.gundam.info/feature/gquuuuuux/news/video-music/01_16192/より


機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス) 公式サイト
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