『ガンダム』シリーズでおなじみのマスクやサングラスなどで顔を隠している、いわゆるマスクの人。彼らがマスクを被っている理由はさまざまです。正体や傷を隠すというノーマルなものをはじめ、中にはふしだらだったり自分の中のスイッチを入れたりと一風変わった理由もあります。

◆正体を隠すというまっとうな理由

 『機動戦士ガンダム』のシャア・アズナブルをはじめ、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のプロスペラなど自分の正体を隠すためにマスクを被っているキャラクターは多いです。仮面とは本来顔を隠すためのものですから、しごくまっとうで納得の理由でしょう。

 シャアはザビ家へ復讐するために、ジオン・ズム・ダイクンの息子であることを隠してジオン公国軍に入隊。ヤケドの傷を隠すという理由で、上官に相対する場面でも仮面を装着したまま。

 『機動戦士Zガンダム』ではシャアであることを隠すために大きなサングラスをして、クワトロ・バジーナという偽名を名乗っていました。プロスペラもシャアと同じく命をねらわれたことがあり、それ以降は偽名を名乗って仮面で正体を隠しています。

 ただし、彼女の場合は娘・スレッタと接するときに仮面を外す場面もありました。また、プロスペラは長い間ガンダムに関わったことでデータストームに蝕まれており、仮面にはそれによって生じた身体障害を補助するという側面もあります。

 『機動武闘伝Gガンダム』でゲルマン忍者の装束を身にまとったシュバルツ・ブルーダー。彼はドモン・カッシュの兄であるキョウジをコピーしたアンドロイドであり、周りにそれを気づかれないようにマスクで顔を隠しています。

 『新機動戦記ガンダムW』のゼクス・マーキスが顏を隠している理由はシャアと同じです。彼は亡国サンクキングダムの王子ミリアルド・ピースクラフトであり、国を滅ぼしたOZに復讐するため名前や顔を隠して軍に入り込みました。

 ゼクスは実の妹と敵対する立場となったり、OZの後に連邦や連合軍へ反乱する組織に所属したりしています。地球へ向けて質量兵器落としを行うなど、行動面でもシャアとの共通点は多いといえるでしょう。

◆自分の中のスイッチを入れるため

 『ガンダム Gのレコンギスタ』のマスクが付けている四ツ目の仮面は、自分を攻撃的な性格に切り替えるためです。また、『機動戦士ガンダムF91』の鉄仮面ことカロッゾ・ロナは自分の弱さを隠すためであり、2人ともいわば仮面を被ることでスイッチを入れて性格を変えているといえるでしょう。

 カロッゾは見た目とは裏腹に自己評価が著しく低い男です。妻のナディアをシオという男に奪われたことで、自分は情けない人間であると考えるようになり仮面を外さないことを宣言。

 情けなくて「合わせる顔がない」「穴があったら入りたい」という気持ちで、ゴツイ鉄仮面を被って強く見せようとしているのでしょう。この2人にはほかにも共通点があり、マスクの仮面はモビルスーツを操作するときの補助モニターとなっています。

 また、視線で照準を合わせるなどの補助機能をサポートする性能も装備。カロッゾもラフレシアの脳波コントロール用に、頭部には多くのコネクタがあります。

 『機動戦士ガンダムUC』のフル・フロンタルが、マスクを着けているのは「ただのファッション」と述べています。しかし、シャアを演じるために装着している側面もあり、仮面を着けることで演技のスイッチを入れていると考えられるでしょう。

◆「女性を見るときに視線を隠す」「潔癖症」という一風変わった理由

 『∀ガンダム』で独特な形の赤い暗視グラスを着けているハリー・オードは、「女性を見る視線を隠すために使っている」と理由を明かしています。また、『機動戦士Vガンダム』のクロノクル・アシャーは、潔癖症のため白いマスクを着用していました。

 ハリーはどういう意味で女性への視線を隠しているのかは謎です。月の女王ディアナの親衛隊であるため、彼女をジロジロ見るのは不敬だという理由の可能性もあります。

 しかし、彼はロラン・セアックの女装姿に惚れてしまったこともあり、女性を異性として見るストレートな視線を向けてしまいがちなのかもしれません。そのため、ふしだらな視線がバレないように隠している可能性も考えられるでしょう。

 白い目出しマスクを装着しているクロノクルは、主人公・ウッソの宿敵のような存在です。そのため、シャアのようにマスクに何か意味があるのかとガンダムファンならワクワクさせられてしまいますが、地球の埃を嫌って防塵用の覆面を着用しているだけ。

 たんなる潔癖症のため宇宙ではマスクを着けておらず、キャラクターのディティールまで作り込まれていることを感じさせられます。しかし、『ガンダム』シリーズでおなじみの仮面キャラを出すため、潔癖症という口実でクロノクルをマスクの人にした可能性も否定できないでしょう。

◆顔の傷や老化を隠すため

 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』のネオ・ロアノークは頭部と顔の上半分、『機動戦士ガンダム00』のミスター・ブシドーは顔の大部分を覆う仮面を身に着けています。彼らが仮面を被っているのは、顏の傷を隠すという理由でした。

 この2人の共通点は多く、ネオ・ロアノークは大戦で死んだと思われていたムウ・ラ・フラガです。ミスター・ブシドーは刹那・F・セイエイのガンダムエクシアと相討ちになって負傷するも生還したグラハム・エーカー。

 どちらもそのときに負った傷を隠すためにマスクをしています。また、ムウ・ラ・フラガは記憶操作で、ネオ・ロアノークとして偽りの記憶を植え付けられていました。

 ミスター・ブシドーは周りがそう呼んでいるだけで、グラハムが自称していたわけではありません。いわば2人とも自らの意志で新しい名前を名乗っていたわけではなく、他者から与えられたということです。

 また、『機動戦士ガンダムSEED』のラウ・ル・クルーゼは、傷ではなく老化を隠すために仮面を着けていました。彼はクローンのため人より早く衰える病気を抱えており、それがバレないように顔を隠す必要があったのです。

 なお、ラウ・ル・クルーゼは最初のテレビ放送では1度も素顔をさらすことはありませんでした。そういう意味では、『ガンダム』シリーズのマスクの人の中でも筋金入りのマスクマンといえるでしょう。

 

 ──『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』の舞台は宇宙世紀ですが、『機動戦士ガンダム』で描かれた一年戦争とは異なる展開を迎えるパラレルワールド。そのストーリーがどのように展開されるかが注目されますが、新たなマスクの人が登場するのかも見どころです。

〈文/諫山就 @z0hJH0VTJP82488

《諫山就》

アニメ・漫画・医療・金融に関するWebメディアを中心に、フリーライターとして活動中。かつてはゲームプランナーとして『影牢II -Dark illusion-』などの開発に携わり、エンパワーヘルスケア株式会社にて医療コラムの執筆・構成・ディレクション業務に従事。サッカー・映画・グルメ・お笑いなども得意ジャンルで、現在YouTubeでコントシナリオも執筆中。

 

※サムネイル画像:Amazonより

※タイトルおよび画像の著作権はすべて著作者に帰属します

※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

※無断複写・転載を禁止します

※Reproduction is prohibited.

※禁止私自轉載、加工

※무단 전재는 금지입니다.