<この記事にはTVアニメ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』最新話までのネタバレが含まれます。ご注意ください。>
やはり劇場公開以降もサプライズだらけだった──!?
1月にTV放送に先駆けて劇場で物語の序盤の上映を果たした『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』(以下、『ジークアクス』)ですが、4月よりスタートしたTVアニメでもついに劇場で上映以降の内容が放送されるようになり、その内容で毎週視聴者に驚きを与えてくれています。
◆結局劇場公開された『Beginning』とTV放送シリーズの違いはなんだったのか?
劇場公開向けに構成など独自のものとなっていると明言されていたのが、1月17日から劇場公開を果たした『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』でした。
TV放送される内容のどれだけのパートが上映されたのかや、どこまで構成が変わっているのかは当初不明でしたが、結果的にはTVアニメシリーズの第1話〜第3話を一本の長編として構成し直したものが『Beggining』であると、以降の放送内容から分かりました。
中でも驚きだったのが第2話「赤いガンダム」です。作中でもエピローグ的な立ち位置の内容で、シャア・アズナブルが本来は乗り込むはずのなかった連邦軍のモビルスーツに搭乗したことで本来の一年戦争の流れとは異なる事態が起こる様子が描かれています。
劇場公開時に入場者プレゼントとして配布された小冊子では、“劇場公開版とTV放送版では大きく構成が異なっていて、劇場先行版でしか味わえない”と明示されていました。
そのため、その一年戦争のパートはTV放送がないのかもしれないという予想の声も多かったのですが、結果的には時系列を前後させたり、いくつか割愛されたシーンが含まれてはいるものの、TV放送でも“一年戦争の流れがシャアがガンダムに乗たことにより変わった”とはっきり分かるようにはできていました。
◆第4話以降もサプライズの連べ打ち! ガンダムファンを驚かせるポイントとは?
結局、劇場で先行して『ジークアクス』を楽しんでいた人たちにとって完全新作となったのは第4話「魔女の戦争」からでした。
この第4話の冒頭から早々に驚きが用意されていて、第3話でクランバトルに参戦したばかりのはずのマチュは、第4話時点であっという間にいくつもの戦いを経ていて、そこそこ名の知れた存在になってきているところまで話が進んでいるのでした。
この話のテンポ感の早さにまず多くの視聴者が驚かされたわけですが、さらにはその第4話のキーマンとなる新キャラクターのシイコ・スガイが登場するモビルスーツが“ゲルルグ”という呼称で登場したことに衝撃が走ります。
本来ゲルルグという名称の機体は別で存在していたはずなのですが、今回のジークアクスでは当初の歴史とは違い歩みを経た結果、ガンダムを簡易的に量産したモデルとされるジムという機体に類似したデザインの機体の名前として登場しています。
シャアがガンダムを奪ったことで、ガンダムに類する系譜がジオンサイドに移って、ジークアクスでは本来とは違った系譜を経ていると明示された演出でした。
こういったサプライズは第5話「ニャアンはキラキラを知らない」にも登場。ベースとなったTVアニメ『機動戦士ガンダム』(1979)でも登場した黒い三連星ことガイア、オルテガ、マッシュが登場。
3人組だったはずのチームもこの世界では、マッシュが市長になって秘書と不倫報道が出るという紙面でだけでの登場となり、残されたガイアとオルテガはジオンを追われて落ちぶれたままクランバトルに臨んでいたと判明します。
ただし彼らの搭乗している機体はおなじみのドムと呼ばれるしっかり彼らの代名詞的なモビルスーツ。しかもコンビネーション技として有名なジェットストリームアタックを今回のアニメシリーズでも再現してくれていたりと、元のシリーズを知っている人こそニヤリとさせてくれる要素がいくつも用意されていました。
『ジークアクス』は現在、マチュがガンダムやシュウジ、クランバトルといったものと出会って人生を変えていくというストーリーを軸としながら、元の『機動戦士ガンダム』とどう世界が変わったのかという「もしも」の演出が味付けとして乗ったシリーズとなりました。
細かな用語なども実は元のアニメシリーズに登場していたりと、詳しければ詳しいほどニヤリとさせるものとなっているだけに第6話以降もこういったサプライズがいくつも待ち受けているのでしょう。
果たしてマチュは地球に行けるのか、という物語の期待に加えてもう一つ「どんなもしもが待っているのか」が大きな楽しみのシリーズとなっているのです。こうなってくるとシャアだけでなく、本来の主人公であったアムロの「もしも」の登場も実現されるのかもしれません。
〈文/ネジムラ89〉
《ネジムラ89》
アニメ映画ライター。『FILMAGA』、『めるも』、『リアルサウンド映画部』、『映画ひとっとび』、『ムービーナーズ』など現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。映画『ミューン 月の守護者の伝説』や映画『ユニコーン・ウォーズ』のパンフレットにライナーノーツを寄稿するなどその活動は多岐にわたる。noteでは『アニメ映画ラブレターマガジン』を配信中。X(旧Twitter)⇒@nejimakikoibumi
※サムネイル画像:https://www.gundam.info/feature/gquuuuuux/story/2/より
機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス) 公式サイト
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