<この記事にはTVアニメ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』の最新話までのネタバレが含まれます。ご注意ください。>

 『ガンダム』シリーズではインパクトが強い最期を遂げる女性キャラクターが多いです。そして、『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』でも、新たに切ない死を迎えたキャラクターが生まれたと話題になっています。

◆爆弾解除に失敗! 無念のムダ死に──ジュンコ・ジェンコ『機動戦士Vガンダム』より

 シュラク隊のリーダーであるジュンコ・ジェンコの最後は、生身の死だったうえウッソの目の前だったことでガンダムファンの間でも印象に残っている人が多いです。爆弾を解除するのに失敗したうえ、結果的にムダ死にだったことも悲惨さを際立たせています。

 ジュンコは面倒見がよく、初期のメンバーからも「姉さん」と呼ばれて慕われていました。戦闘でもカテジナ・ルースのリグ・シャッコーの攻撃から、身を挺してウッソを守るなどシュラク隊のリーダとして、お姉さんとしてしっかり役割をこなしています。

 宇宙要塞カイラスギリーの主砲ビッグキャノンに爆弾を設置されたときも、ウッソを守って受けた負傷をおして解除に向かう行動力と責任感の強さを見せました。ここまではカッコイイお姉さんなのですが、爆弾を目の前にして「どうやったら止められるの?」と明らかに知識がない様子。

 ウッソに退避するように促されますが、勝算もないのになぜか強引に爆弾の解除をしようとして失敗。その結果、生身のまま爆死するという最期を遂げることになりました。

 しかも、悲しいことに爆弾が爆発しても、主砲ビッグキャノンの発射には支障がなかったのです。結果的にジュンコは完全にムダ死にだったことも、ファンへの衝撃が大きかった要因となりました。

◆最期に幼い息子を思う姿に視聴者はショック!──シイコ・スガイ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』より

 シイコ・スガイは一年戦争の活躍で魔女と呼ばれるようになったスゴ腕パイロットで、クランバトルに参加して赤いガンダムを操るシュウジによってコックピットにビームサーベルを刺し込まれて死亡。U.C.0085では既に結婚していて、一児の子を持つ女性の凄惨な死にネットが騒然となりました。

 シイコは元地球連邦軍のパイロットで、一年戦争では軽キャノンに乗って100機以上の敵モビルスーツを撃破したユニカム(撃墜王)です。しかし、見た目はものすごく地味で、アマテからも有能なパイロットには見えないといわれるほどでした。

 このギャップと独特の色気から、登場するやいなや癖に刺さるキャラとして一部ファンからの人気が急上昇。彼女は一児の母として生活を送っていましたが、最初のマヴの命を赤いガンダムに奪われた因縁からクランバトルに参加。

 シイコはゲルググに乗ってアマテを圧倒すると、シュウジの赤いガンダムに対しても有利に戦いを進めます。彼女が得意とするスティグマ攻撃は、小型ワイヤーフックを敵機に引っ掛けるというもの。

 『進撃の巨人』の立体起動装置のように、ワイヤーを利用して相手を中心に急加速、軌道変更することで立体的な攻撃を仕掛けます。最後はその負荷によってゲルググが壊れるほどの渾身のスティグマ攻撃を見せますが、赤いガンダムに背後に回り込まれるとコックピットにビームサーベルを刺し込まれて死亡。

 ゆっくりビームライフルを刺されるシーン、最期に幼い息子を思い浮かべる母親の想いが視聴者に強い印象を与えました。また、地味な見た目に加えて既婚者で子持ち、元エースというレア属性の組み合わせによって癖を突き刺された視聴者が続出。

 その様子は癖のスティグマを打ち込まれたと表現されるほど、強烈なインパクトを残しました。それだけに彼女のあまりにも早い退場は一部のファンにとっては大きな傷跡となっており、そういう意味でもまさにスティグマ作りな女といえるでしょう。

◆恋人のセリフがより悲壮感を重くする──ケーラ・スゥ『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』より

 ケーラ・スゥはギュネイ・ガスの乗るヤクト・ドーガとの戦いの際に、コックピットから放り出されて人質に取られます。生身の状態でモビルスーツに握りつぶされてしまったため、恋人のアストナージには見せられない無残な姿となってしまいました。

 ケーラは地球連邦軍独立部隊のロンド・ベルに所属しており、パイロットとしてはアムロに次ぐ実力の持ち主です。しかし、ギュネイの乗るヤクト・ドーガには手も足も出ず、生身の状態で捕まってしまいます。

 ギュネイはケーラを人質にして、アムロに武装の解除を要求。アムロはいわれたとおりにフィン・ファンネルを外しますが、ギュネイは放熱板を外してだまそうとしていると勘違い。

 これによって放たれたギュネイの敵意に対して、過剰に反応したフィン・ファンネルが反撃をしてしまいます。この結果、ケーラはヤクト・ドーガに握り潰されて戦死することとなりました。

 ちょっとしたすれ違いから生まれてしまったこの惨劇。そして見るも無残な姿となって恋人が待つ戦艦に帰還したことを考えると、『ガンダム』シリーズの中でもトップクラスに悲劇的な最期といえるでしょう。

 また、アストナージの「サラダを一緒に食べるんじゃなかったのか!?」というセリフは、悲壮感がただよい、彼女の死をより一層重いものにしました。

◆連邦軍の兵士に襲われ……──キキ・ロジータ『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』より

 現地民ゲリラ一派の指揮官の娘であるキキ・ロジータは、『機動戦士ガンダム 第08MS小隊ミラーズ・リポート』でミケルとともに行方不明になっていたシローやアイナと再会を果たしました。しかし、小説版では連邦軍の兵士に襲われる中、舌を噛んで自ら命を絶つという悲しい結末を迎えています。

 『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』は、ガンダム版ロミオとジュリエットといわれています。そして、戦争の生々しさやリアリティを強調するように描かれていることが特徴です。

 この作品では戦争に正義も悪もないというテーマが随所に描かれており、特に小説版ではそれが強く打ち出されています。それもあって主人公はヒロイック的思想を持つ、理想に燃える青年士官シロー・アマダ。

 彼は戦場でジオン軍のアイナと出会い、彼女のことを知ってお互い惹かれ合うことで戦争で敵対していても分かり合えると悟ります。しかし、逆に連邦軍が正義というわけでもなく、シローたちが戦ってジオン軍を退けた地で悲劇が生まれることに……。

 小説版での現地民のキキが連邦軍の兵士たちによって襲われるという展開は、まさに戦争に正義や悪はなく凄惨な結末をもたらすものであることを表すストーリーといえるでしょう。キキは兵士たちに襲われている最中に、想いを寄せるシローの名前を叫んで舌を噛んで自ら命を絶ちます。

 これが戦争の現実であり、非常事態となる戦場では日常では考えられない悲しみが生まれてしまうということなのでしょう。なお、この悲劇を知ったシローとアイナは、生まれた自分たちの娘にキキという名前を与えています。

 

 ──車のエアバッグには手りゅう弾の技術、お掃除ロボットには地雷処理の技術が使われています。人類の歴史は争いとともに発展してきたといえますが、もたらす悲劇を考えると戦争が地球からなくなる未来が訪れることを願うばかり。『ガンダム』という作品には、キャラクターの死を通じて視聴者にそういったことを訴えかける側面もあるのだと思われます。

〈文/諫山就 @z0hJH0VTJP82488

《諫山就》

アニメ・漫画・医療・金融に関するWebメディアを中心に、フリーライターとして活動中。かつてはゲームプランナーとして『影牢II -Dark illusion-』などの開発に携わり、エンパワーヘルスケア株式会社にて医療コラムの執筆・構成・ディレクション業務に従事。サッカー・映画・グルメ・お笑いなども得意ジャンルで、現在YouTubeでコントシナリオも執筆中。

 

※サムネイル画像:Amazonより

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