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 『ガンダム』に登場するモビルスーツ・ザクにはさまざまな裏話が存在します。実は第1話で、ガンダムがザクのコクピットをビーム・サーベルで貫くシーンは富野由悠季監督の奥さんが色彩を担当したとか──。ほかにはどんなエピソードがザクには隠されているのでしょうか?

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◆あの名シーンをいろどったのは「家族の絆!」

 『機動戦士ガンダム』第1話「ガンダム大地に立つ!!」のクライマックス。アムロが初めて搭乗したガンダムがビーム・サーベルでザクを貫くシーンは、『ガンダム』シリーズを象徴する名場面として語り継がれていますが、実はこの印象的な止め画の彩色を担当したのが、富野由悠季監督の奥さんでした。

 『MS図鑑:ザク』(双葉社、202169日発行)によれば、当時、奥さんは制作現場にアルバイトスタッフとして参加しており、この歴史的な一コマを手がけることになったといいます。家族総出で作品を支えた、当時の制作現場の熱気が伝わってくるエピソードです。

 のちに「ガンダム神話」の起点となったこの一枚が、監督夫人の手によっていろどられていたという事実は、ファンにとって特別な意味を持つでしょう。

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◆歩く音が記念日になった!

 印象的な名前「ザク」の由来は、意外にもシンプルなものでした。

 前述の『MS図鑑:ザク』によれば、この名前は地面を踏みしめて歩く音「ザクザク」から来ています。重量感のある量産型モビルスーツが戦場を闊歩する様子から、その音をそのまま機体名に採用したのです。

 この名前にちなんで、39日が「ザクの日」としてファンに親しまれています。

 「3(サ)・9(ク)」の語呂合わせから生まれたこの記念日には、毎年ザク関連のイベントやSNS投稿が盛り上がりを見せており、GUNDAM Official Websiteでも特別企画が行われています。

 歩く音から名付けられたメカが、40年以上を経て記念日が制定されるほどになった事実は、ザクの人気の高さを物語っているのではないでしょうか。

◆一つ目以外は自由が生んだ傑作デザイン

 ザクの特徴的なデザインは、メカニックデザイナー・大河原邦男氏の手によるものです。その独創的な造形が生まれた背景には、意外な理由がありました。

 Webメディア『ファッションプレス』が201585日に掲載した記事「【インタビュー】大河原邦男 - メカのデザインは無限大、ガンダムからヤッターマンまで - 上野では展覧会」において、同氏は「敵メカは玩具にならないのが通例でしたので私の好きにデザインしました。監督からの条件は、モノアイ(1つ目)のロボットというだけ」と語っています。制約があった主役機のガンダムと違い、敵役のザクはほぼ自由にデザインできたのです。

 大河原氏はこの自由度を活かし、「アパレル時代に描いたスーツのシルエット」をザクに組み入れました。また、「ガンダムが直線的だったので、曲面を意識した」とも語っており、主役機との対比を意識したデザインだったことが分かります。

 左右非対称のパイプ、ゴツゴツとした装甲、そして何よりあの印象的なモノアイ──。これらすべてが「“やられ役メカ”だからこそ実現できたデザイン」でした。

 結果的に、この「敵だから自由」という発想が、ガンダムを凌ぐほどの人気メカを生み出すことになったのでしょう。

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◆その数140種類越え!──“やられメカ”から「裏主役」へ

 自由な発想が生んだザクは、驚異的な広がりを見せ、「ザク」の名を冠する機体は140種類以上存在します(『MS図鑑:ザク』より)。

 基本型のザクIIをはじめ、指揮官機、陸戦型、水中型、砂漠型など、さまざまな戦場に対応した派生機が開発されました。

 中には、ジオン軍が連邦軍のジムに偽装するためにザクをベースに作った「ゲム・カモフ」や、一年戦争後に連邦軍が接収して運用した「ザクタンク」など、驚きの変化球も存在します。

 これほど多くのバリエーションが生まれた理由は、ザクが「量産機」と設定されていたことにあります。戦場のニーズに応じて改修・改造されていく様子は、リアルな兵器としての説得力を持ちました。

 ザクは当初、主役ガンダムを引き立てる“やられメカ”として誕生しましたが、その無骨なデザイン、リアルな量産機という設定、140種類を超えるバリエーション、そして数々のエピソードによって、いつしか「ガンダムのもう一人の主役」と呼ばれる存在になっていったのです。

 

 ──『MS図鑑:ザク』で、富野監督が「ガンダムよりザクの方がよほど好き」と語ったように、制作者自身がこのメカに特別な愛着を持っていたことも、ザクの魅力を高める要因になったはずです。

 名前の由来、記念日の制定、自由なデザイン、そして豊富なバリエーション……。そのすべてが、ザクという存在の奥深さを物語っています。

 作品誕生から45年以上の時を経てもなお、ザクは多くのファンに愛され続けています。あの緑の量産機は、これからも「ガンダムの裏主役」として、作品世界を支え続けていくでしょう。

〈文/コージ〉

 

※サムネイル画像:バンダイ ホビーサイトより 『「MG 1/100 MS-06F ザク Ver.2.0」 (C)創通・サンライズ』

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