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 兵器として「完成していない」まま、戦場に送り出された機体がある──。

 『ガンダム』シリーズには多くの名機が登場しますが、その華々しい活躍の裏に、致命的な欠陥が隠されていたケースは少なくありません。実は圧倒的な強さを見せつけたビグ・ザムもその一つです。

 稼働時間はわずか20分以下、ビーム兵器を2基同時に使えない設計ミス、そして設計を無視して生産された個体まで。いずれも、劇中では語られなかった「不都合な事実」です。

 知っているようで、意外と知らない。そんな機体の“裏の顔”を、資料や書籍をもとに読み解いていきます。

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◆稼働時間はたった20分? ビグ・ザムの致命的な欠陥

 一年戦争末期のソロモン攻略戦において、ジオン公国軍のドズル・ザビ中将が自ら搭乗したモビルアーマー、ビグ・ザム。地球連邦軍の艦隊を次々に粉砕する姿は、まさに動く要塞です。

 2015年6月に出版された『機動戦士ガンダム MS大全集2015 MOBILE SUIT Illustrated 2015』(出版:KADOKAWA/アスキー・メディアワークス)によると全周囲に配置された28門ものメガ粒子砲と、正面からのビーム攻撃を無効化するIフィールド・ジェネレーターの搭載は、当時の兵器体系からすると、性能を誇っているといいます。しかし、この無敵とも思える性能こそ、運用上の致命的な欠陥を生む原因にもなっていました。

 書籍『宇宙翔ける戦士達 GUNDAM CENTURY』(出版社:みのり書房、1981年9月27日出版)によると、ビグ・ザムには4基の超大型熱核反応炉が搭載されています。しかし、宇宙空間では、この巨大な反応路から生まれる廃熱を、処理するのが難しかったようです。そのため、ビグ・ザムの最大稼働時間は、わずか20分以下だったと解説されています。

 ビグ・ザムはソロモン陥落の瀬戸際で投入され、アムロ・レイのガンダムによって撃破されました。しかし、稼働時間の制限を踏まえると、仮にガンダムに勝利できても、熱暴走によって沈黙し帰還できない可能性が高かったのではないでしょうか。

 ドズルの「ビグ・ザム量産の暁には、連邦なぞあっという間に叩いてみせる」という言葉は有名ですが、この稼働時間の問題を解決しない限り、量産したところで戦術的な勝利を得ることは難しかったのかもしれません。

◆連邦とジオンの禁断のハーフ? ハイザックを襲った致命的な設計ミス

 『機動戦士Zガンダム』に登場した、ティターンズの量産モビルスーツであるハイザック。

 プラモデル『HGUC 1/144 ハイザック』に付属する説明書によると、ジオン軍の象徴ともいえるザクを参考に、連邦の技術も導入して開発されたといいます。つまり、連邦とジオンのハーフともいえる機体です。

 書籍『ENTERTAINMENT BIBLE 機動戦士ガンダムMS大図鑑 PART.2 グリプス戦争編』(出版:バンダイ出版、1989年3月1日出版)によると、一年戦争後の連邦は財政状態が芳しくなかったため、既存機体のマイナーチェンジ機を主に運用していたといいます。ハイザックは、そんな情勢の中、一年戦争後初めて新規に開発された量産機です。

 本機は、まさに一年戦争後の連邦を象徴する機体ですが、実はビーム兵器を2つ同時には使えないという欠点を抱えていました。この欠陥は、ハイザックの特殊な構造が原因となっています。

 2004年8月に発売された、プラモデル『MG 1/100 ハイザック』の説明書によると、本機の動力系統はジオン由来の流体パルス駆動と、連邦由来のフィールド・モーター駆動を併用する方式を採用していたことが分かります。

 この動力系統を混合した影響構造が複雑になり、エネルギー供給用の経路を確保する余裕がなくなっています。これをエネルギーの供給ケーブルを装甲外部に露出することで解決しようとしていますが、それでもビーム兵器を1基ドライブさせる分の経路しか確保できませんでした。

 結果、ビーム兵器を2つ同時に使えないという欠点が生まれたのです。そして、書籍『マスターアーカイブ モビルスーツ RGM-79 GM』(出版社: SBクリエイティブ、2010年9月16日出版)によると、ハイザックにおける技術混合が招いたトラブルから、連邦系技術のみ使用した機体の開発が推進され、ガンダムMk-Ⅱが開発されたと言及されています。

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◆設計無視の個体まで存在した 初期型ジムのズサンな実態

 一年戦争を勝利に導いた地球連邦軍の立役者といえば、名量産機RGM-79 ジムの名を挙げないわけにはいきません。ガンダムのデータを基に開発された本機は、高い汎用性と生産性を両立し、圧倒的な物量でジオン公国軍を圧倒しました。

 しかし、その輝かしい戦歴の陰には、兵器としてあってはならないレベルの品質欠陥を抱えた、初期ロットの存在があります。

 書籍『機動戦士ガンダム一年戦争全史 U.C.0079-0080「下」』(出版:学研プラス、2007年4月1日出版)によると、ジオン軍のモビルスーツの脅威に晒されていた連邦軍上層部は、現場に対して一刻も早いジムの実戦配備を要求していましたといいます。さらに、徹底した低コスト化の圧力もかけられていたようです。

 こうした切迫したスケジュールと、低コスト化の影響を受け生産されたのが、先行量産型のジムとなります。本機の性能は、本来の設計で想定されていた定格性能よりも大幅に引き下げられていました。

 結果、設計上の性能を発揮できず、耐久性にも難がある、カタログスペックからは程遠い粗悪品となってしまったのです。驚くべきことに、中には設計を無視して生産された個体すら存在したと語られています。こうした、戦時急造品特有の杜撰な工程には、戦争末期における連邦内の混乱がうかがえるでしょう。

 また前述の書籍によると、その後生産ラインが整うと、RX-78シリーズの基礎設計を踏襲して開発された、本来のRGM-79が供給されるようになりましたといいます。それらは極めて優れた対MS格闘性能と汎用性を持っていて、性能はジオン軍の傑作モビルスーツ、ゲルググにも匹敵するポテンシャルを発揮したのです。

 

 ──兵器としての輝かしい戦績の裏には、技術の過渡期ゆえの歪みや、切迫した戦況が生んだ致命的な欠陥が潜んでいました。そのため、これらはたんなる設計ミスではなく、当時の情勢を色濃く反映した歴史の縮図ともいえるでしょう。

〈文/北野ダイキ(ガンダム担当ライター)〉

 

※サムネイル画像:バンダイ ホビーサイトより 『「1/550 ビグザム」(C)創通エージェンシー・サンライズ』

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