北斗四兄弟の次兄・トキは、ラオウの実の弟でありながら独特な設定をもつキャラクターですが、彼の裏設定はのちにさまざまな形で明かされています。
◆実はケンシロウより先に「聖帝の身体の謎」に気づいていた? トキに関する2つの裏設定
聖帝・サウザーは、心臓と秘孔の位置が通常と左右表裏逆という“身体の秘密”により、「北斗神拳では倒せない」とラオウにも恐れられていました。
サウザーとの闘いの中で秘密に気づいたケンシロウでしたが、実は彼より先にトキはこの謎を解明していたのです。
2人の対決を見守っていたラオウは、ケンシロウが苦戦する姿を見て、早くも勝利宣言をするサウザーに対し「おごるなサウザー!!」「きさまの体の謎はトキが知っておるわ!!」と発言しています。また、それを裏付けるように、倒れたケンシロウにトキが歩み寄ろうとするシーンが描かれています。
しかし、伝承者として自分自身で謎を解明する必要があると悟っていたケンシロウは、トキを制止し、その後の闘いの中で見事に謎を解明して勝利しています。
これは、医学に精通していたトキだからこそ、誰よりも先に気づくことができたといっていいでしょう。
また、トキが病におかされた原因は「死の灰」によるものですが、その具体的な経緯は何度も変更されています。
初期の連載では、シェルターにケンシロウとユリアを入れたものの満員になり、トキだけが入れず「被ばく」したためとされていました。
ところが、「周りのほとんどが子供ばかりなのだから、子供を肩車でもすれば入れるのでは?」など読者から多くの疑問の声が上がったといわれています。TVアニメ版では、シェルターのドアが故障したため、自らの力で外側からドアを閉め続けたと変更されました。
また、新OVA『真救世主伝説 北斗の拳 トキ伝』(2008年 レーベル:アミューズソフト)では、核戦争以前から難病におかされており、ケンシロウの北斗神拳伝承の意志を揺るがせないようにするため、自ら死の灰を被ったように改められています。
さらに、『銀の聖者 北斗の拳 トキ外伝』(2010年 出版:新潮社)では、ケンシロウたちが向かったシェルターが、シェルターへと続く“エレベーター”に変更されています。エレベーターの重量オーバーでトキは入れず、ケンシロウたちが来る前に重量を軽くするために荷物を外へ捨てる描写もありましたが、トキは既に死兆星を見ていたことから、敢えて自らを犠牲にする形で死の灰を被ったと改められています。
──今なおスピンオフ作品で描かれ続けるトキは、ある意味ケンシロウを超える人気キャラクターだといえるでしょう。
『銀の聖者 北斗の拳 トキ外伝』のタイトルが象徴しているように、トキは「救済」と「自己犠牲」に殉じたキャラクターで、まさに「聖者」といえる人物でした。
そんな儚くも清らかな彼の生き方が、読者をいつまでも惹きつけてやまないのかもしれません。
〈文/相模玲司〉
《相模玲司》
大学卒業後、編集プロダクションに入社。メンズファッショ誌の編集に従事したのち、フリーランスの編集・ライターとして独立。アニメ・漫画関連のムック本の制作や、週刊誌のWeb版でアイドルの取材記事やサブカルチャー記事の作成に携わる。
※サムネイル画像:Amazonより 『「北斗の拳【究極版】」第7巻(出版社:徳間書店)』



