『北斗の拳』といえば、ケンシロウといったメインキャラ以外にも、荒廃した舞台に特徴的なモブキャラたちが登場し、その世界観を彩っていました。実は、こうした背景やモブキャラに関しては、原哲夫先生はアシスタントに任せていたケースが多かったそうです。そのアシスタントの中には、ジャンプファンなら誰もが知るあの漫画家もいたといいます。
◆成長過程を示してくれた原哲夫先生
原先生のアシスタントを務めていた一人が、『ろくでなしBLUES』や『ROOKIES』で有名な森田まさのり先生です。『北斗の拳』のオフィシャルウェブサイトで行われた、『北斗の拳生誕30周年記念特別インタビュー「北斗語り」』によると、森田先生が漫画家となる前に原先生のアシスタントをしていたことが語られています。
漫画家のアシスタントといえば、下書きの線を消したり、黒い部分をベタ塗りしたり、トーンを貼ったり、直接作画に影響しないような部分を手伝うイメージがあると思います。しかし原先生の場合、森田先生の話ではまるまる1ページを渡され任されたそうです。
つまり、背景やモブキャラをアシスタントが描くことになるので、かなり責任が大きかったと考えられるでしょう。一方で森田先生は、徐々にトビラ絵の背景やケンシロウのカラーの色塗りと任される仕事が大きくなり、ご自身の成長過程を確認できたといいます。
そんな森田先生ですが、『北斗の拳』における名シーン「ラオウ昇天」のページの背景も描いていたと、2017年12月5日の『日本経済新聞』のコラムで明かしています。
「ラオウ昇天」といえば、宿敵・ラオウが「わが生涯に一片の悔いなし」の名セリフとともに自らの拳を突き上げ、天を割りそのまま絶命する場面です。この割れた天を描いたのが森田先生だったことは、作品ファンのみならず衝撃の事実ではないでしょうか。
ちなみに、森田先生が原先生のアシスタントを務めていたのは、奇しくもこの「ラオウ昇天」が掲載される週までだったといいます。
──「ラオウ昇天」といえば、同サイトのインタビューで原先生が「必ず描きたかったシーン」と語っていました。そんな原先生の熱意がこもった1ページの背景を任されたことからも、森田先生がいかに信頼していたのかが伝わってきます。
〈文/fuku_yoshi〉
《fuku_yoshi》
出版社2社で10年勤め上げた元編集者。男性向けライフスタイル誌やムックを中心に、漫画編集者としても経験を積む。その後独立しフリーライターに。現在は、映画やアニメといったサブカルチャーを中心に記事を執筆する。YouTubeなどの動画投稿サイトで漫画やアニメを扱うチャンネルのシナリオ作成にも協力し、20本以上の再生回数100万回超えの動画作りに貢献。漫画考察の記事では、元編集者の視点を交えながら論理的な繋がりで考察するのが強み。最近では、趣味で小説にも挑戦中。X(旧Twitter)⇒@fukuyoshi5
※サムネイル画像:Amazonより 『「北斗の拳 究極版」第10巻(出版社:コアミックス)』



