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※この記事にはTVアニメ・漫画『北斗の拳』のネタバレが含まれます。ご注意ください。

※本記事はTVアニメ・漫画『北斗の拳』に関するライター個人の考察・見解に基づくものであり、公式の設定や見解とは異なる場合があります。

 マッド軍曹は、実力だけならもっと出世できたのかもしれません。しかし新作アニメ『北斗の拳』の神の国編を見直すと、彼が「軍曹止まり」だった理由も見えてきます。さらにバー店主ジョニーの防犯意識など、脇役の描写に残る素朴な疑問を掘り下げます。

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◆マッド軍曹が「軍曹」止まりだった本当の理由

 「たわば」という断末魔で強烈な印象を残したマッド軍曹(サージ)。GOLANの兵士たちの教官を務める重要人物でもあります。そんなマッドの階級は「軍曹」。ここで疑問なのは、彼が軍曹だった理由です。

 『ONE PIECE』などの漫画作品でもお馴染みですが、一般的な軍隊における階級は、元帥を頂点として大将・中将・少将・大佐・中佐・少佐……、さらに大尉・中尉・少尉・曹長……、そしてようやく軍曹となります。

 GOLANのボスは今後登場するカーネル大佐ですが、トップが大佐だとしても「ちょっと低すぎでは?」と疑問に思う人もいるかもしれません。

 ちなみに新作アニメ第6話で、ケンシロウが道中で倒した名前のない脇役のワイヤー使いの階級は、原作では「少佐」だったと判明しています。強キャラ感を漂わせていた少佐ですが、その実力はケンシロウにまったく及びませんでした。

 一方でマッド軍曹の攻撃は目を見張るものがありました。彼の武器である「吸血ニードルナイフ」は、あっさりとケンシロウの分厚い筋肉を突き破っていたのです。しかも、1本目に関してはケンシロウの虚を衝いた的確な攻撃とも言えるでしょう。

 少佐のお付きの雑魚たちがナイフを飛ばしてもヌンチャクで簡単に弾き返されたのを見ると、マッド軍曹の攻撃がいかに鋭かったかが察せられます。つまり、戦闘面だけを見れば、マッド軍曹は少佐以上の実力を持っていたとも思えるのです。

 しかし、ここで改めてGOLANの成り立ちを振り返りたいと思います。彼らは元特殊部隊レッドベレーの生き残りです。さまざまな国に特殊部隊があるので一概にいえませんが、基本的に通常部隊では対応困難な特殊任務を請け負うことに特化した部隊を特殊部隊と呼びます。

 その特殊任務というのが、主に人質救出・敵地潜入・破壊工作・テロ対策などがほとんど……。つまり、基本は隠密行動が必須の部隊なのです。

 さて、ここで改めて少佐とマッド軍曹を思い返してみてください。

 少佐は冷徹で口数が少ない一方、マッド軍曹はガサツでとにかくうるさいキャラクターです。どんなひいき目で見てもマッド軍曹に隠密適性は皆無でしょう。ほぼほぼ間違いなく、これが原因でマッドは階級が上がらなかったのではないでしょうか? まさに口は災いの元とはよく言ったものです。

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◆「ROB BAR」の店主にまつわる謎

 ケンシロウとバットがオアシスに到着してすぐ、タダ飯を食わせろと大男に襲われていたのが「ROB BAR」の店主・ジョニーです。バットがすかさずジョニーと交渉し、1日半の食料をもらう条件で助けることとなりました。

 ケンシロウによって助けられたジョニーは約束通り食料を渡すのですが、注目したいのはその食料が厳重に仕舞われていた分厚い鉄製の金庫……。なんとジョニーは平然と客前で金庫を開けていたのです。

 さらに、金庫の外見上は少なくとも鍵らしきものが見当たらず、ハンドルを回せば開けられそうな構造でした。もしハンドルを回すだけで開くのなら、タダ飯をせがんでいた大男でも簡単に開けられそうです。

 どちらにせよ、防犯対策に気を使っているのかいないのか疑問が残ります。しかし、結論からいうと、バーの防犯面はある程度担保されていたのだと考えられます。

 まず着目したいのが、なぜか大男は金庫にある食料すべてではなく、自分の食べる分だけをタダにしろと要求していた点です。実はこれには大きな理由があったのではないでしょうか。

 このあと、バーにGOLANたちが女性を探しに入ってきます。ジョニーは「あいにく今日は……」と言うのですが、このやり取りからバーでは日常的に女性を斡旋していた可能性が考えられます。

 つまりGOLANが「ROB BAR」のいわゆるケツモチをしていたと推察できるのです。問題が起こったときにGOLANが介入してくるとなれば、大男がバーの食料に手を出さなかったことにも納得がいきます。

 つまりバーの防犯は、厳重な金庫だけでなく、GOLANの存在そのものが抑止力になっていたのかもしれません。

 そんな「ROB BAR」にはもう一つ気になる点があります。それは食料の入荷問題です。ジョニーが集めた食料は、「なんだって揃っている」と豪語するほど品揃えが豊富でした。

 しかし、バットとの会話の中で、食料が盗品であるようなことが匂わされています。この世紀末の世界で、いったい誰が食料を調達していたのでしょうか?

 真っ先に思い浮かぶのはケツモチをしているGOLANですが、その可能性はかなり低いでしょう。なぜならGOLANの態度からジョニーを搾取する側であったことは明白で、わざわざジョニーのために食料を与えていたら、後々どんな要求をされるか分からないはずです。

 次に考えられるのが、ジョニーが単独で集めている可能性です。確かにあの厳重な金庫を開けていたので、力はそれなりにあるでしょう。しかし、大男に襲われていたところを見ると、ケンカの腕っぷしはそれほど強くないハズ。つまり、ジョニーが単独であれだけの食料を集めるのは至難だと考えられます。

 そうなると、やはり誰かバイトを雇っている可能性が最も高いでしょう。しかし、相手を襲うような屈強な人間を雇うのはなかなか厳しいと思われます。なぜなら、肝心の食料を奪ったあとに値切られる可能性があるからです。

 そこで考えられるのが、バットのような小回りが利く子どもたちです。たとえば、ジョニーが食料品を扱っている人間の気を引いている間に、裏からこっそり子どもたちに商品を盗ませる、といったような作戦を使っていたのかもしれません。

 子どもならバットも言っていたように「食う量は多くない」し、ジョニーの方が立場は上になりやすいので少ない報酬でも雇いやすかったのでしょう。実際、ジョニーは大男に大怪我を負わされそうな局面でも、バットが提示した2日分の食料をちゃっかり1日半に値切っていました。日頃から、子どもの扱いや値切ることに慣れていたのではないでしょうか?

 ジョニーは多少の小ずるさが見え隠れするキャラクターですが、世紀末の世界においてあれだけの成功を収めているのですから、やはり商売人の嗅覚としては天性の才覚があったのかもしれません。

 

 ──新作アニメをみると、脇役たちにもそれぞれの個性がしっかりと描かれていることが分かります。ケンシロウやバットたちだけではなく、その周囲のキャラクターたちにも目を向けることで、意外な発見が見えてくるかもしれません。

〈文/fuku_yoshi〉

《fuku_yoshi》

出版社2社で10年勤め上げた元編集者。男性向けライフスタイル誌やムックを中心に、漫画編集者としても経験を積む。その後独立しフリーライターに。現在は、映画やアニメといったサブカルチャーを中心に記事を執筆する。YouTubeなどの動画投稿サイトで漫画やアニメを扱うチャンネルのシナリオ作成にも協力し、20本以上の再生回数100万回超えの動画作りに貢献。漫画考察の記事では、元編集者の視点を交えながら論理的な繋がりで考察するのが強み。最近では、趣味で小説にも挑戦中。X(旧Twitter)⇒@fukuyoshi5

 

※サムネイル画像:アニメ『北斗の拳 -FIST OF THE NORTH STAR-』公式サイトより 『「北斗の拳 -FIST OF THE NORTH STAR-」第6話 場面写真 (C)武論尊・原哲夫/コアミックス, 「北斗の拳」製作委員会』

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